プロローグ side熱斗
「熱斗!」
「パパ!!」
急いでいたのか仕事着である白衣を着たまま病院に駆け込んできた光祐一朗。
病院内では光熱斗と、その母であり祐一郎の妻である光はる香が手術室の前の椅子に座っていた。
「よかった……無事だったんだな……」
「よくないよパパ!永愛が!!」
「落ち着け熱斗。そうだな、今のはパパの言い方が悪かった」
熱斗は興奮したように祐一郎に詰めた。
目の前の手術室の扉の上では『手術中』のランプが点灯しており、現在は中でオペをしている事がわかる。
「ごめんな熱斗。お前が事故に巻き込まれたと聞いて職場から飛んできたんだ。道中で事情は聞いたよ」
「うん……永愛が俺を庇って、代わりに車に……」
暗い雰囲気が場をつつんだ。
現在手術を受けているのは
今日はメイルがビアノの稽古でおらず、2人で遊んでいたのだが、熱斗の不注意で道路に飛び出したところ車が走ってきて、熱斗を突き飛ばすことで永愛が代わりに轢かれてしまった。
「パパ……どうしよう……永愛が死んじゃったら……俺……!」
「大丈夫だ熱斗。永愛君は必ず助かるさ」
「そうよ熱斗!無事に起きてきた永愛君に一緒にお礼を言いましょう?」
「……うん……」
自分のせいだと感じている熱斗は意気消沈しており、心配そうに肩を抱く祐一郎だった。
その時、『手術中』のランプが消え、扉から医者の先生が出てきた。
「お医者さん!永愛は!?」
「落ち着け熱斗。すみません先生、永愛君はどうなりました?」
「まだなんとも言えません。なんとか命は繋いでおりますが、本人の気力次第でしょう。これ以上は永愛君の体力的にも様子を見る他ありません」
「そ、そんな……」
はる香は口元を押さえ泣きそうになる。
熱斗と祐一郎は何も言えず、手術室の方をじっと見ることしかできなかった。
「……永愛君に何かあれば
「永愛……」
永愛の父、
祐一郎もそんな路挑の事を気にかけており、1人前の科学者になった後も相談や家族ぐるみでの付き合い、時には喧嘩してまた仲直りするような友と呼べる間柄だった。
今はタイミングが悪くアメロッパで暮らしており、この場にはいない。
「私の力不足で申し訳ありません……」
「いえ、先生。ありがとうございます」
「グスッ……永愛……」
しばらく泣いて呆然としていた光一家だったが、0時を過ぎようとしていたため、さすがに帰宅することにした。
……そのままお礼も言えずに永愛と別れることとなるとは、熱斗達にはまだ知らないことだった……
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翌日
「ええ、ええ、はい、わかりました。その方がいいでしょう。はい、熱斗には私から伝えます。はい、ありがとうございました」
祐一郎は朝早くから電話をしていた。
熱斗は自分の名前が呼ばれたため意識をそちらに向ける。
「どうしたのパパ!?もしかして永愛が!?」
「熱斗、落ち着いて聞いてくれ。永愛君は安静にするため父親のいるアメロッパの病院に移ることになった」
「え!?」
隣で聞いていたはる香も驚きのあまり目を見開いていた。
熱斗はまだ理解が追いついておらず祐一郎に詰めよる。
「え!?どういうこと!?永愛は治らないの!?」
「そうじゃない。むしろ元気になるために遠い国の病院に行くことになったんだ。」
「そんな……じゃあ、永愛とはもう会えないの!?」
「…………しばらくは会うことができないだろう……」
「そんな……!嫌だよ俺!永愛にお礼も言ってないのに!」
泣き叫ぶ熱斗を抱きしめる祐一郎とはる香。無理もなかった。まだ熱斗は小学1年生である。
1歳年上の永愛のことをとても慕っており、兄弟のように感じていた。
それこそ昔亡くなった本当の兄弟である彩斗兄さんがいれば、三人兄弟に見間違えられるほどだっただろう。
「……熱斗くん!熱斗くん!!」
「ロックマン……?」
熱斗が腰のホルダーに付けていたPETから声が聞こえた。
熱斗のネットナビであるロックマンである。
「熱斗くん!永愛くんとは離ればなれになっちゃうけど、ネットの世界では会いに行ける!ボクが熱斗くんの声を届ける!きっと元気になった永愛くんとまた会えるようになるために、ボクが傍にいるから」
「ロックマン……うあああああぁぁぁあ!!!」
ロックマンの暖かい言葉に遂に泣き崩れてしまう熱斗。
祐一郎は心の中でロックマンにお礼を言うのだった。
(ありがとうロックマン。君がいてくれて本当によかった)
本作の主人公君は次からです。
ヒロイン化するならどっち?
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まりこ先生との禁断の恋…!
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ゆりこ先生とのいちゃらぶでしょ
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まりこ・ゆりこの双子セットで!
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先生たちとの恋愛はちょっと…