ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第1話

 ここはクカンユ王国の南東に位置する農耕地帯に建てられた家の一室。そこには1人の女性がLive配信をしながらPC画面の中に表示されるコメントを読んでいた。

 

「コメント、ありがとう! もう直ぐね、久しぶりにルー君が帰ってくるからそろそろ配信を終わるね!」

 

 コメント:ルー君 is 誰!?

 

 コメント:Luckyちゃんの彼氏!?

 

「違うよぉ。ルー君は私の弟だよぉ」

 

 コメント:あの噂の弟君でしたか……。

 

 コメント:本当に実在する人物だったんだね。設定じゃなくて。

 

「もう! そんなに変かな……??」

 

 コメント:いや、流石にプロハンターは設定が盛り過ぎ。

 

 コメント:それも、10代前半でプロハンターは流石に無理。

 

 コメント:だよな! 

 

 コメント:実名出してくれたら、俺等も信じられるけど……。

 

「それはダメなんだって。プロハンターの実名公開はハンター協会からキツくお叱りを受けちゃうからさー」

 

 コメント:まぁ、そうだよな……。

 

 コメント:それでLuckyちゃんのチャンネルが閉鎖したら嫌だもん。

 

「そういう事。それじゃ、みんな! また、次の配信まで! 次回はなんと! 

 

 ホロホロ所属のアンヘルちゃんとコラボ配信だから是非来てくれると嬉しいな! またねー!!」

 

 様々なコメントを読み上げて配信を切ったLuckyと呼ばれた女性、ルーシィは蹴伸びをしてパソコンを閉じる。

 

 彼女は数年前から動画配信サービス・コメコメ動画よりVirtual・Streamer、通常V・Sの個人勢として活動していた。

 

 そんな彼女には3つ歳下で自慢の弟ルキウスと言う美食ハンターで活躍するプロハンターが、久しぶりに家に帰ってくるのを待っていたのだった。

 

 ルーシィは前日から仕込んでいた食材を使い、ルキウスが帰ってくるまで調理を始めた。

 

 慣れた手つきで素早く正確に行う調理姿は誰が見ても熟練の料理人のそれだった。

 

「ただいま〜」

 

「久しぶりだね、ルー君!」

 

「1年近く家を空けちゃってごめん、姉さん。メールや電話で連絡とっていたけど大丈夫だった?」

 

「もう! 私は姉なんだから、子供扱いしないでちょうだい」

 

「ごめん、ごめん。それより、久しぶりに姉さんの料理が食いたいから飯にしようぜ?」

 

「はい、はい」

 

 呆れるルーシィの背中を押すように厨房へ誘導したこの男こそが、美食ハンターとして活動する彼女の自慢の弟だった。

 

 ルキウスのプロフィールを簡単に説明すると彼は11歳と言う若さでハンター試験を合格した天才だった。

 

 11歳と言う若さは歴代のハンター試験を見ても異例の速さで、彼が受けた276期ハンター試験では合格者は僅か6名と言う人数を見てもその実力は本物だった。

 

 ルキウスとルーシィの実家は現在住んでいるクカンユ王国から離れたミンボ共和国の最東端にある料理屋だった。

 

 祖父母の代までは王都で宮廷料理長をする家系だったそうだが、両親の代に政争で負けて辺境に追いやられたらしい。

 

 そして、もう一度宮廷料理長の座に返り咲く為に両親は姉を使って画策していたが色々あって結果的には失敗に終わった。

 

 ただ、精神的にボロボロだった姉ルーシィの療養とその原因となった両親を含む関係者達との関係を断つ必要があった。

 

 だから、ルキウスはハンターライセンスの特権を使い7年前に情報の隠蔽を行ってから、なんだかんだ今に至る感じだった。

 

「お待たせ、ルー君。それじゃ、食べよっか」

 

 テーブルに並べられた沢山の料理に腹の音が鳴る。ルキウスは久しぶりに食べる姉の料理に夢中になって食したのだった。

 

 ルーシィの料理は幼い頃からその片鱗を見せる程に天才的だった。それは無意識に念能力を使っており、調理をする事で食材の品質や味を向上させる力があった。

 

 ルキウスはそんな姉のフルコースを6歳の頃に食した結果、元より才能もあって衝撃のあまり全身の精孔が開いたのだった。

 

「そう言えば、堅の維持だけど10分出来る様になったの!」

 

「おぉ、おめでとう。10分の堅の維持が出来る様になれば、天空闘技場の200階上位クラスのオーラ量……。一層、プロハンター目指してみる?」

 

「いや、良いよ。私は今の暮らしに満足しているからさ」

 

「そっか……」

 

「そう言えば、次のアンヘルちゃんとのコラボを経て1ヶ月後にホロホロ所属のV・S達とオフコラボのイベントがあるんだ」

 

「ん? 了解。その辺りのスケジュールは空けておくよ。俺も今年は仕事入れずにゆっくりしたいし、日程が決まったら護衛で付いて行くよ」

 

「いつもごめんねー」

 

「まぁ、俺が言うのもアレだけど物騒な世の中だからね……。両親達(アイツ等)の件もいつ流れ弾が飛んでくるか分からないし、気にしなくて良いよ。

 

 それよりも、アンヘルさんって確か姉さんと同時期にV・Sの企業勢でデビューした女性だっけ?」

 

「そうだよー。5年前の私が20歳だった時にデビューしたV・Sなんだよー。ゲーム実況系のV・Sで特にホラーやシリアルキラーが好きなんだよ。それがどうしたの?」

 

「いや、さ……。結構な頻度で姉さんとコラボしてくれているから、手紙か何かで感謝したくてね。イベントの時にでも何か贈ろうと思ったんだよ」

 

「もう、ルー君は私の弟でしょ。あっ。でも、そのイベントでアンヘルちゃんとプレゼント交換があるから、その時に何か渡すのが良いかも?」

 

「了解。何か良さ気な物を見繕っておくよ」

 

 ルキウスとルーシィは話を終えると再び食事を再開して家族の時間を謳歌したのだった。




1話と2話は主人公を含めたオリキャラ周りのお話。
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