ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第10話

 ゼビル島での4次試験が終了した。20人前後居た受験者達も残り9人まで絞られて彼等が最終試験に進出したのだった。

 

 残った面子を見て念能力者のヒソカとギタラクルは順当としてハンゾーやキルア、クラピカなどが残った中で、ゴンが残った事にメンチ達は動揺を隠せなかった。

 

 確かにゴン=フリークスと言う少年は、12歳と言う年齢の割には高い身体能力に加えて光るモノを持っているとは思っていた。

 

 それでも、基本的に全員一律で公平に行うハンター試験において彼はまだ淡い印象が強かった。

 

 正直言って同い年のキルアと比べると天と地ほどの差があり、最終試験まで残るとは思っていなかった。

 

 確かに11歳と言う幼さでハンター試験を合格したルキウスと言う前例はあるが、彼はその時に既に念能力を身に付けていたので比較の対象にはなっていなかった。

 

 受験者9名がビーンズによって集められた部屋にネテロやこれまで審査して来た試験官達と一緒にルキウスが入室する。

 

 別に試験官では無いから入室する必要は無いが、大師匠であるネテロからの呼び出しには逆らえなかった。

 

 部屋に入ったネテロは最終試験に残った受験者9名の内、6名がルーキーである事実に喜び祝福した。

 

 ルーキーの合格率は大体3年に1人くらいだが、一定の周期で合格者がいない年が数年続くと今年みたいに一気に出るとネテロが言う。

 

「最終試験は3日後。ハンター協会が運営するホテルで行う。それまでの間、十分英気を養っておきたまえ」

 

「質問! 最終試験って言うのは何をやるんだ?」

 

「ヒ・ミ・ツ!」

 

「なにぃっ!?」

 

「ホッホッホ〜! っと、そうじゃった。最終試験まではワシを含めた試験官には接触を禁ずる。試験内容が漏れたらつまらんからのう」

 

「なっ!?」

 

「……だが、ルキウスさんは試験官では無いから接触は良いと考えても?」

 

「勿論じゃ。折角じゃから多方面に手を伸ばしている現役のハンターから話でも聞くと良い。ルキウスは試験官室の入室を禁ずる。良いな?」

 

「了解です。そう言う訳だ。メンチ、ブハラ」

 

「りょうかーい」

 

「分かったわ」

 

「それじゃ、3日後に楽しみにしておれ。ホッホッホ!」

 

 ネテロがとても楽しそうに笑って退室するとメンチ達試験官も次々と出て行ったのだった。

 

「こうして改めて話すが……。まずは最終試験まで残った事、おめでとう」

 

「そりゃ、どうも。お世辞でも、現役ハンターのアンタに言われると嬉しいぜ」

 

「世辞では無いんだけど……。まぁ、良いさ。それで、君達はどんな事を聞きたいんだ?」

 

「それじゃ、聞くけどよ……。最終試験って何をやるんだ?」

 

「それは答えられない。何せ本当に何も聞いていないからね。力になれなくて申し訳ない……」

 

「それでは、ルキウスさんがハンター試験に来た理由を教えて欲しい」

 

 頭を下げるルキウスに対して、クラピカは彼が話せるであろう話題を振ったので素直に答えた。

 

 ブハラ達とは友人であり同業者なので、彼からの助っ人要請があって暇だったから来たと言う事実を伝えた。

 

「ねぇ! そう言うのって普通にあるの?」

 

「無い事はないかな? 特にメンチみたいな専門分野に熱くなりやすいタイプが試験官だと、トラブルがあった時のストッパーや予備役として許可が出る事は結構ある」

 

「へぇー。そうなんだ。それじゃ、ルキウスさんが受かった時の最終試験ってどんな感じだったの?」

 

 ゴンの質問に受験者達は一気にルキウスへ注目した。今回の最終試験は答えられないが、彼が受かった時の試験は答えてくれるかもと思ったからだった。

 

「俺の時の? 別に良いぞ」

 

「っ!? 本当っ!?」

 

「あぁ、その辺りの口止めはされていないし。だけど、それが今回の最終試験と同じかどうかは別として聞いてくれよ?」

 

「あぁ、勿論だぜ!」

 

「俺の時はハンター試験の合格を懸けた宝探しだったな」

 

「宝探し?」

 

 正直、意外過ぎる試験内容にクラピカだけではなくレオリオやハンゾー達も首を傾げたので、ルキウスはハンター試験がどの様に決まるのかを改めて説明した。

 

「そうだ。ハンター試験は2次試験でも言った様に試験官の裁量で試験内容や合否が決まる。それはあの時にも言ったと思う。

 

 例えば俺達美食ハンターが試験官に選ばれたら、試験内容は料理に関するテーマになる場合が多い。それはある意味分かりやすいとは思う。

 

 美食ハンターではなく、そうだな……。例えば医療ハンターだったらヒントや情報を与えた状態で、断崖絶壁にある薬草を最終的に試験官へ納品すれば良いみたいな内容とかな?

 

 それだったら別に危険を冒してまで自身で薬草採取する必要は無く、チームを組んだり交渉したり出来るし薬草知識に詳しければ受験者を騙す事も可能だ」

 

「っ!? 確かに!」

 

「正にハンターの資質を見極めるにはピッタリだな」

 

「でも、1次試験はマラソンだったぜ?」

 

「それ以外の例外ってどんな事を求められるの?」

 

「それ以外の例外だと……。専門分野以外でハンター全般に必要な基礎身体能力で振るいに掛ける場合もある。

 

 どんなに優れた知性や功績、人脈を持っていたとしても最後は身体能力の高さが物を言う世界だからな……。ハンター試験はハンターとして最も重要な資質を見極める場所だ。

 

 そして、それは最終試験でも変わらないんだ。だから、4次試験に通った全員を合格にする事もあれば、全員不合格にする事もある」

 

「アンタの時の最終試験の詳細はどうだったんだ?」

 

「俺の時はそうだな……。最終試験まで12人残って受かったのは6人だったな。トリックタワー風の施設を使った謎解きあり宝探しだった。

 

 ルーキーは俺1人で他はベテランだったけど、宝探しに人数指定や協力の有無は言及されていなかったからチーム組んでそのまま合格したな」

 

「それってアリなの?」

 

「まぁ、無しじゃ無いから俺はハンターやれているし。だけど、今回はネテロ会長が試験官だからちょっと不明……」

 

 ルキウスはネテロ会長が性格が悪いと言う事を知っていた。だから、彼が考える最終試験がどうなるのか分からず苦い顔をしていた。

 

「ネテロ会長ってどう言う人なの?」

 

「あの人はガチガチの武闘派ハンターだぞ? だけど、頭が固い武闘家タイプでは無くお茶目で悪童みたいな少年心を持っているけどな……。

 

 それと心源流拳法って流派の頂点で、実力の一端を知る者達から武の神の様に崇められている人外だな」

 

「マジ……?」

 

「マジだ。それとハンター業界の噂だけどあの世界的に有名な殺し屋一家のゾルディック家が、どんなに金を積まれてもネテロ会長を殺せないから受けないらしい」

 

「なっ……!?」

 

「まぁ、その辺の真偽は不明だけどな……。ただ、ネテロ会長は全盛期からかなり力が衰えたとは言え、それでも人類最強クラスはあるからな……。

 

 その人が最終試験の試験官をやるなら、順当に考えればハンター協会員との対人戦とかじゃないかな? 

 

 あの人は若者に試練を与えて、それを乗り越えるみたいな瞬間が見たいとか考えるタイプだし。確証は無いけどね」

 

 あくまでも今語ったのはルキウスが予想する最終試験である。だから、確証が無い情報に苦笑いしたのだったが、それでもレオリオ達にとっては有り難い話だった。

 

「いいや、これだけ聞ければ十分だ」

 

「うん! 俺も勉強とか言われたらどうしようも無かったけど、それなら何とかなりそうな気がするよ!!」

 

「まぁ、ハンターは自身の専門分野の知識と最低限度のマナーは必須だけど、ハンター試験に必要なのは知識よりも知恵や考察力だからな……。

 

 ハンターには色々な分野があってそれぞれに合った専門分野を探求するから、最終試験が常識問題系の筆記試験(ペーパーテスト)だったら流石に全ハンターが正気を疑うと思うよ。

 

 そして、もしも仮に極々僅かな神の気まぐれで筆記試験だったとしても試験官にバレずにカンニングする協力型のギミック系か、俺の時の宝探しに使った謎解き系じゃないかな……?」

 

「なるほど……」

 

「それくらいあり得ないくらいの確率なのか……」

 

「それを聞いてホッとしたぜ……」

 

「だな……」

 

「これで、安心してハンター業界の事を聞ける」

 

「俺に答えられる範囲なら答えるさ。さて、何について聞きたい?」

 

 ポックルを皮切りにハンゾーやレオリオなどからハンターについての質問を受けてルキウスは答え続けた。

 

 また、その際にもしも万が一試験に落ちた場合を考えて強くなってお金も稼げる天空闘技場についても教えておいた。

 

 ルキウス的に言えば全員受かっても不思議じゃ無いほど、ここにいる面々は何かしらに優れた受験者達だったので人材発掘の意味でも教えた。

 

 その辺りはやはり師匠であるビスケの性格や直近で話したウイングが弟子を取った事に影響を受けたのだろう。

 

 ついでと言わんばかりに何か困った時用に支援する為の連絡先をヒソカとギタラクル以外のメンバーと交換しておいたのだった。

 

 ヒソカとギタラクルに関しては仕事以外では関わりたく無い部類の人間で、この2人に関しては寧ろ不合格になって欲しいとさえ思っていた。

 

 また、彼の話はハンターに興味が無かったキルアでさえも面白いと思うくらいには様々な体験談があった。

 

 そして、1日が過ぎてアナウンスがあり受験者達はネテロからの面接を受けて更に時間が経過したのだった。

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