ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第12話

 ルーシィからの電話を聞いたルキウスは彼女が話す事態の重さに冷や汗を感じながらも、姉を不安にさせない様にゆっくりと落ち着いて話したのだった。

 

「まずルー姉に確認したい事は、いつも俺が非常用に用意している粉末状にしたスープの素は持っている?」

 

『っ!? う、うん! 持っているよ!!』

 

「それなら、ルー姉の発……。真の料理人は食材を選ばす(マスターシェフズ・マインド)私の愛を受け取って(クッキング・ラヴァ)で作ったスープを彼女に飲ませて。

 

 だけど、もしもアンジェリカさんが上手くスープを飲めないなら神々に捧げる私の拝礼(ディヴァイン・サービス)をして確実に回復させるんだ」

 

『分かったわ! やってみる!!』

 

 ルキウスから指示を受けたルーシィは携帯電話をスピーカーモードにして、床に倒れ込んでいるアンジェリカを近くのソファーに寝かせた。

 

 そして、急ぎキッチンへ向かい御守り代わりに常に持ち歩いている粉末状のスープの素で調理を始めたのだった。

 

 このスープはルキウスが世界各地の食材を厳選して、ルーシィと共に開発したレシピを元に作られていた。

 

 彼女は強化系念能力者でその能力は回復や補助を得意とするとても貴重なヒーラーである。

 

 真の料理人は食材を選ばす(マスターシェフズ・マインド)は自身のオーラを使い食材や調味料の品質や味などを極限まで高めて、最高級の料理に仕上げる事が可能となる能力だ。

 

 これは自身の調理スキルによって上昇効果が変動する制約の元で構築されていて、副次的な効果で食材に限らず他人に対して傷や失った血液など生命力を回復させる能力である。

 

 この能力によって元から最高品質であるスープを彼女の発によって更に強化しながら、苦しむアンジェリカへ副次効果を使いながら介抱するのだ。

 

 そして、更に念には念を入れた強化系単体のもう1つの能力・私の愛を受け取って(クッキング・ラヴァ)

 

 これは、ルーシィが調理する料理に対して食した者へ様々なバフ効果を与える能力である。

 

 (スープ)料理を食せば傷や病、毒物や念能力などに対しての全体的な回復力の増強を行える能力だった。

 

 元々、彼女は9歳時点で無意識的にこれらの能力を使っていたが、7年前から強化系や変化系などの系統別修行をした事でこれ程の能力に至ったのだった。

 

 ルーシィは迅速且つ丁寧にスープを作り上げると早速アンジェリカへ少しずつスープを飲ませた。

 

 しかし、予想通りアンジェリカの状態では上手く飲む事は出来ず、小スプーンで垂れた1滴でさえ時折咽せ込んでしまっていた。

 

 衰弱状態の彼女はルーシィから少しずつ与えられるスープを本能的に必要な物であると感じてはいた。

 

 だから、たくさんスープを飲みたいと言う欲求と衰弱した体で齟齬が起きてしまい上手く食べられずにいたのだった。

 

 そこで、こう言う時の為にある最後の能力、神々に捧げる私の拝礼(ディバイン・サービス)は他者に影響を及ぼす彼女の切り札である。

 

 その効果は、私の愛を受け取って(クッキング・ラヴァ)で作った料理を自身が食し円を発動する事で、円の中にいる者達へ同様の効果を付与する能力である。

 

 ただし、直接食べた時の効果値を100%とした時に付与出来る効果値は最大でも80%であり、まだまだ放出系が未熟なルーシィでは効果値は最大でも60%が限度だった。

 

 だから、ルキウスはあくまでも奥の手としてルーシィに指示していた。これは効果値もそうだけど他2つとは違いオーラの消費が激し過ぎるので、今の実力のルーシィでは長時間は出来ないからだった。

 

 アンジェリカは意識が朦朧としながらも呪念を受けた事により精孔が開いた状態となりオーラが迸っていたが、邪本に込められた仕掛けにより全開状態ではなかった。

 

 この邪本は[呪われし魔女の邪経典]と呼ばれる代物だ。この邪本は読んだ者を徐々に衰弱させる呪いが込められており、その呪いはギリギリ精孔が開く程度である。

 

 それは単純に念能力を覚醒させて強制的に耐久力を上げさせるだけではなく、制御出来てい無いオーラが迸る事でその後の衰弱を促進させる非常に悪質な代物だった。

 

 人をジワジワと苦しませて挙句の果てに衰弱させて殺す為だけに作られた代物だった。

 

「ルー姉、アンジェリカさんの状態だけど……。恐らく彼女の状態は呪いの籠った念能力による攻撃を受けている状態だと思われる」

 

『っ!? それじゃ、アンジェリカちゃんを助ける手立てはっ……!?』

 

「正直言って本来なら5割にも満たないけど、ルー姉のヒーリング能力があれば8割まで上がると思う。

 

 残りの2割は彼女の生きたいと願う強い意志が必要だから、何とかして声を掛け続けて欲しい。

 

 今、この電話をしながら仕事用の携帯でアンジェリカさん宅近辺の病院や警察関係者に連絡を入れている。

 

 十中八九、ルー姉がベランダの窓を割って入ったから近所から通報がある筈だ。

 

 色々面倒な事になりかね無いから警察には俺から事情を説明して、病院の方は懇意にしている先生に来てもらう。

 

 だから、ルー姉はアンジェリカさんにスープを飲ませながらヒーリングを続けてくれ」

 

『分かったわ!』

 

「俺も直ぐにそちらに向かう。今からじゃ、どんなに早くても夜に到着するからそれまで諦めずに彼女のケアを頼むよ」

 

『任せて!!』

 

 ルーシィの力強い掛け声を聞いたルキウスは電話を切るとこれまで積み重ねてきた一つ星(シングル)ハンターとしての権力を使った。

 

 警察関係者や病院関係、出来るだけ早く帰宅する為に空港関係も全て抑えて部屋に戻った。

 

「何やら慌ただしいご様子でしたが……」

 

「申し訳ないですが、家族と友人がトラブルに巻き込まれたみたいなので直ぐにここを発ちます」

 

「それはっ……!?」

 

「えぇ、早くお行きなさいな」

 

「ありがとうございます。鑑定の結果や情報は詳細と共にいつもの場所へ送って下さい」

 

「分かりましたぞ」

 

「それとこの後に来るブハラ達へ伝言を頼みます」

 

「分かりましたから、早くお行きなさい」

 

「本当にありがとうございます。それでは、また今度お礼をさせて下さい。では」

 

 自分達の事は二の次で良いからと家族の安否確認を優先する様に促してくれた夫妻に感謝を告げてルキウスは急ぎアンジェリカの家に向かったのだった。




ルキウスの姉ルーシィは強化系ヒーラーでした。
ルーシィの発の系統は以下の通り。
・真の料理人は食材を選ばず
強化系と変化系

・私の愛を受け取って
強化系

・神々に捧げる私の拝礼
強化系と放出系

能力を作るのが楽しい反面、難しいと思いました。
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