ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第14話

 声を失ったアンヘルこと、アンジェリカ=マクラバーンを弟子にした次の日。彼女は退院に向けて早速念能力の修行を開始した。

 

 先ずは纏が出来る様に概要を説明しながら、同時に燃える方の燃について精神修行を同時並行しながら過ごしていた。

 

 元々、アンジェリカには特に目立った外傷はないが懇意にしている先生の計らいで精密検査をする為に数日入院する事に決まった。

 

 その間にルーシィは昨日のオフコラボが出来なくなった簡単な事情をファンに話し、アンジェリカが所属するホロホロ企業にはルキウスが代わりに伝達した。

 

 ホロホロ企業も所属するV・Sが突然声を失った事に焦り、急遽アンジェリカの病室へ向かうとそこにいた一つ星(シングル)ハンターのルキウスから事情を説明をされて信じ難い気持ちで一杯だった。

 

 アンジェリカの担当マネージャーは自分では対応出来ないと悟り、ルキウスを連れてホロホロ企業の本社にいる社長へ案内した。

 

 そもそもハンターライセンスを所持しているプロハンターってだけでもかなり希少な存在なのに、更にその上にいる優秀なプロハンターがこんなに若い青年なんて予想だにしていなかった。

 

 社長達はルーシィが配信中に話していた事は事実なんだと驚きながらも、ルキウスはアンジェリカの考えを代弁して活動休止の意思を伝えたのだった。

 

 社長達としても自社の管理体制の不備によって所属配信者がこうなってしまった事に申し訳ない気持ちで一杯だった。

 

 だから、彼等はルキウス達の事情を受け入れて直ぐに公式からアンジェリカの活動休止を発表し、それに至るまでの管理体制の不備を公式で謝罪したのだった。

 

 その際に公式からは昨日のオフコラボ企画の際に来た視聴者に紛れたアンチからの贈り物が原因である事を伝え、そのアンチに関してはプロハンターが既にハントした事を伝えた。

 

 この公式の発表に多くのV・Sを含むその視聴者達は驚愕の嵐に包まれていた。その誰もがそのプロハンターがルーシィの弟であると確信したからだった。

 

 アンジェリカに邪本を送ったアンチに関してはルキウスが彼女の病室を訪れる前に居場所を突き止めて、彼女が弟子入りした後で警察組織とハンター協会に事情を話してから即逮捕した。

 

 その際にはルキウスが過去に人脈を形成した友人のブラックリストハンター達や検察官達の協力があってこその早業だった。

 

 彼等が協力したのは単純に恩返しの為でもあった。ブラックリストハンター達は幼き日のルキウスが協力しなければ死んでいた人物達で、検察官達は犯罪者に報復され掛けた時に助けられた過去があった。

 

 アンチの逮捕にはそう言う人達の協力とルキウスがお金と権力に物を言わせた情報収集で証拠を揃えた。

 

 そもそもの話ではあるが件のアンチはその邪本がどう言う代物か知らなかったとは言え、それをブラックマーケットで購入してアンジェリカを害する意思があって送った。

 

 その行為によって殺人未遂が起きたので情状酌量の余地は無い。それに加えてブラックマーケットの使用は普通にアウトと言うこともあり、警察の突入の際に暴れた事もあって罪状が加算されていった。

 

 ハンター協会としても一般人が使える裏サイトの中に念能力が込められた邪本が売られていた事は看過出来ない。

 

 だから、件のアンチを捕縛する一環でその本の提供者を賞金首認定にする形式でルキウスに協力したのだった。

 

 一通り仕事を終えたルキウスはルーシィが取ったホテルに向けて帰路に着く。これで一安心と息を吐こうとした時に電話が鳴った。

 

『あの、すみません……。こちらはルキウスさんのお電話でよろしかったですか……?』

 

「ん? その声はポックル君だね?」

 

『っ!? はい! 俺はポックルです!!』

 

「それで、どうかし……。もしかして、ハンター試験落ちちゃったのかい……?」

 

『あっ、い、いえ! お陰様で何とか最終試験に合格してプロハンターになれました!』

 

「おぉ、それは良かったじゃん。おめでとう、ポックル君。それで、電話を掛けたって事は何か困った事でもあるのかい?」

 

『困った事では無いのですが、ルキウスさんにお願いがあって……! 俺を貴方の弟子にして欲しいんです……!!』

 

 ルキウスはあまりに必死な頼みをするポックルの言葉を直ぐには否定せず、何故自分の弟子になりたいのかについて質問をした。

 

 その質問に対してポックルは最終試験会場へ向かう時に聞いたルキウスのプロハンター活動にとても感銘を受けていた。

 

 ルキウスは友人であり同業者のブハラ達に言う様にメインとなる美食ハンターがあれど、自身でも色々な専門分野を中途半端に齧っていた。

 

 しかし、その内容を聞いたポックルはプロハンターになったばかりの自身では到底得られない実績の数々で、とても同世代の行った功績には思えなかった。

 

 それくらい彼に取っては衝撃的過ぎてしまい、プロハンターとして未熟な自分はこの人の近くでそのイロハを学びたいと心から尊敬しての行動だった。

 

「それで、俺の弟子に……? ん? でも、ポックル君の目指すハンターは幻獣ハンターだよね? そっちは良いの?」

 

『確かに、俺の目指すハンターは未知の生物を見つける幻獣ハンターです。それは変えられません。

 

 でも、俺は思うんです。美食ハンターと幻獣ハンターって食べる事を目的にしているか、見つけて保護する事を目的にしているかの違いじゃ無いかと思いました』

 

「確かに、君の言う通りだね。美食ハンターはマイナー過ぎて馬鹿にされがちだけど、実は色々な専門分野が複合したハンターなんだ」

 

『そうなんです! だから、ルキウスさんの近くで学んだ知識や経験は必ず今後の活動で活かせます!

 

 そして、今後の俺が優秀な(シングル)ハンターになれば貴方は二つ星(ダブル)ハンターの昇格条件が満たせる筈です!』

 

「ふむ……。悪く無い条件だ。良いよ。その話に乗った。君を俺の弟子にしよう」

 

『っ!? ありがとうございます!!』

 

「それで、俺の現在位置や今後の予定を教える前に弟子として君に聞きたい事があるんだけど……」

 

『うん? 何ですか、それは?』

 

「ポックル君ってさ……。4次試験で落ちた蜂使いのポンズって女性の連絡先とか交換していない?」

 

『えっ? ポンズ、ですか……? 確かに、連絡先は交換していますが……。それが、どうしましたか?』

 

「実は人材発掘的な意味で彼女も弟子に出来たらって思ってね……。正直俺としては彼女は受かる側だと思っていたから、連絡先を聞けなかったんだよ」

 

『っ!? そうなんですかっ……!?』

 

「彼女も君と同じくらい良いハンターになれると思っている。だから、君の方から彼女に連絡を取ってこっちと合流して欲しいんだ」

 

『分かりました。あっ、でも……』

 

「お金の方は口座を教えてくれるなら送金するから安心して。俺の弟子になるのであれば、独り立ちするまでの間は金銭面は俺が支援する。その辺も含めて交渉材料にして欲しい」

 

『分かりました! それでは、また後ほど会いましょう!!』

 

 ポックルからの電話を切りルキウスは小さくガッツポーズをして喜んだ。彼程の優秀な新米ハンターはハンター協会から裏ハンター試験官が出来る一つ星ハンターとマッチングさせる事が多い。

 

 それは、二つ星ハンターに昇格する条件に自身が取った弟子が一つ星に昇格する事であるからだ。

 

 しかし、そのマッチングは新米ハンターの近くにいる一つ星ハンター且つ近い専門分野である事が望ましいので、中々お互いに良いマッチングは難しかった。

 

 だから、ルキウスはこれ程の好条件且つ人柄も良い優秀な新米ハンターをヘッドハント出来た事に喜びを感じていたのだった。

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