ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第16話

 ジャポンに到着したルキウス達一行は事前に連絡していた通り、空港にてウイングとその弟子ズシと会った。

 

「お久しぶりです、ウイング先輩」

 

「お久しぶりです、ルキウス君。それに初めまして、みなさん。私はウイングと申します。

 

 聞いているかも知れませんがルキウス君の兄弟子だった者です。今は心源流拳法の師範代を行っています。

 

 そして、この子は私の弟子のズシ。心源流拳法の門下生でまだまだ未熟では有りますが、どうか仲良くしてあげて下さい」

 

「押忍ッ! 自分、ズシと申します! これから、よろしくお願いするッス!!」

 

「うん、俺はルキウス。俺の弟子達と共に君も鍛えるからよろしくね。俺の事は呼びやすい言い方で良いから」

 

「押忍ッ! よろしくお願いします、ルキウス先生!!」

 

「よろしい。それでは、ウイング先輩」

 

「えぇ。では皆さん、我々の拠点に案内しますよ」

 

 そう言う訳でウイング達が修行する拠点まで向かうのだが、それも修行の1つと考えて空港からおよそ30kmを走って向かう事にした。

 

 10km/時の速度で向かう速度ではあるが、オーラに目覚めたばかりのアンジェリカも難なくついて来れていた。

 

 彼女は元々、趣味でシリアルキラーについての現地調査やオカルトや幽霊、怪奇現象などについて実際に体験しに行く位にはアグレッシブな性格だった。

 

 だから、元企業勢配信者だったとは言え目的地までの距離をギリギリではあるが走破したのだった。

 

 今年のハンター試験に合格したポックルや惜しい所まで試験を進めたポンズは少し息が上がるだけでまだまた全然余力があった。

 

 しかし、ルキウスやウイングだけでは無くウイングの弟子である少年ズシと一般人であるルーシィ達が、汗すらかかずにまるで試験官達の様に平然としている光景は信じ難い思いで一杯だった。

 

「さて、準備体操は済んだので早速修行に取り掛かろう。まずはズシ君とポックル君の課題を理解する為に組み手を行って貰う」

 

「っ!? ルキウス先生っ!? それはっ……!?」

 

「勿論、理解しているよ。それを含めて2人の課題だ。ズシ君は練を禁止する代わりに全力で戦って欲しい。

 

 ポックル君は念能力の基礎を身に付けた者達がどう言う存在なのかをしっかりと理解して欲しい」

 

「分かりました。ズシ、手加減無用で頼む」

 

「っ!? 押忍ッ!! よろしくお願いするッス!!」

 

 突如始まったズシとポックルの組み手。年齢差を考えれば体が出来上がっていないズシよりもハンター試験を合格したポックルが有利なのは明白だ。

 

 しかし、それでもルキウスはズシが勝つと言う前提で模擬戦を組まされており、ジャポンに向かう移動中に念能力についての概要を教えて貰ったポックルとポンズはその力を見極めようとしていたのだった。

 

 お互いに向かい合うズシとポックルだったが、まずは先制攻撃と言わんばかりにポックルが脇腹目掛けて蹴りを放つ。

 

 大人でもマトモに食らえばかなりのダメージを与える良い蹴りだったがズシは難なくその蹴りをガードし、蹴った本人はその感触がまるで大木を蹴った様な感覚に驚いていた。

 

 ポックルはそれを感じてズシに連続して攻撃を与えるが、あまりに良い感触は与えられず逆に重い一撃を受けて後退する。

 

 ハンター試験に居たキルアと言う少年を彷彿するズシにポックルとポンズは驚きながらも組み手は続いたのだった。

 

「そこまで!!」

 

「2人とも、組み手は終わりです」

 

「押忍ッ! ありがとうございましたッス!!」

 

「……ありがとう、ございました」

 

 組み手の結果は言うまでも無い。ほとんどノーダメージなズシと比べてポックルは酷くボロボロだった。

 

「さて、これで理解してくれたかな?」

 

「はい……」

 

「たしかに、プロハンターに成れたポックルがこんなにも一方的にやられるなんて……」

 

「これが念能力に覚醒した者とそうじゃ無い者達の明確な差だ。ズシ君は裏ハンター試験内容である基礎訓練を行っている最中だが、それでもポックル君位を一方的に狩れる程度の実力があるんだ」

 

「分かっています……。いや、分からされました……。ハンター試験を合格したからと浮かれていた気持ちは無かったとは言いませんが、まさかここまで実力が足らなかったとは思いませんでした……」

 

 どう言う経緯であれハンター試験に合格した事であった自信が、唯の自惚であった事実をポックルは受け止めた。

 

 そして、ジャポンに来る前にルキウスが言っていた自身がまだライセンスを持っただけの段階と言う言葉に納得していたのだった。

 

 ルキウスとしても少し可哀想にも思ったがプロハンターの世界を早い段階で知る事は彼の人生にも良いと思い厳し目に行ったのだった。

 

「それをこの段階で理解してくれただけでこの組み手はやった甲斐があったと思う。では、次にズシ君の課題について話をしよう」

 

「押忍ッ!! よろしくお願いするッス!!」

 

「まず君の夢は天空闘技場のフロアマスターとなり、2年に一度行われるバトルオリンピアで優勝すると言う事で合っているかな?」

 

「押忍ッ! ルキウス先生の言う通りッス!!」

 

「では、元バトルオリンピア優勝者として君の課題を指摘するが……。ズシ君の課題は念能力を解除した素の身体能力の低さにあるね」

 

「っ!? 身体能力の低さッスか……?」

 

「そうだね。君はさっきの組み手でポックル相手に手加減したかな?」

 

「いいえっ! そんな事はしていないッスよ!!」

 

「そうだろう。しかし、それは同時に念能力者としてとても大事な身体能力が低い事の証明でもある。

 

 本来であれば、オーラに目覚めていないポックル君程度であれば一撃で沈める位の力量差が存在していても不思議では無い。

 

 だけど、言い方は悪いけどズシ君の攻撃をポックル君は何とか耐えた。これは彼の頑張りも勿論あったけど君自身の未熟さが露呈した結果でもある」

 

「それはっ……」

 

 ルキウスの指摘にズシは言い淀んでしまった。自分でもその部分に関して自覚はあったらしい。

 

「オーラの総量は基本的に纏と練を繰り返して行う事で増えていくけど、それは修練者が持つ素の身体能力の高さに依存する傾向が強い。

 

 オーラを増やすにしろ使うにしろ、それに耐えられるだけの強い肉体が無ければ伸びが悪くなるのは至極当然であるからな……」

 

「それじゃ、自分は……」

 

「そうだ。君の課題は素の身体能力の強化である。まぁ、それはポックル君やポンズさん、アンジェリカさん達と同じ事だ。

 

 それについては来月、天空闘技場へ向かうまでの間に課題をクリア出来る様に準備しているから安心してくれ」

 

「押忍ッ!! ご指導、ありがとうございましたッス!!」

 

 ズシはルキウスの指導について感謝の意を込めて一礼する。こう言う踏み込んだ部分の指導はウイングはあまりやらなかったからだ。

 

「ウイング先輩、取り敢えずこんな感じで進めようかと思います。基本的に体力面や戦闘面は俺が担当します」

 

「分かりました。では、私は燃やす方の燃や纏などの四大行を見ましょう」

 

「ありがとうございます。姉さんは俺とウイング先輩のサポートと料理面でみんなを支えて欲しい。

 

 勿論、姉さんにも課題として堅を30分以上維持する事と俺やウイング先輩と組み手を行って貰うから覚悟して欲しい」

 

「っ!? 分かったわ! 頑張るね!!」

 

「それじゃ、来月に向けて気張って行こうか」

 

 こうしてポックル達はルキウスやウイングの指導下で、来月向かう天空闘技場での本格的な修行の前段階を開始したのだった。




ズシの身体能力ってアニメや原作を見る限り年齢に対しては高い方なんだろうけど、ゴンと比べても見劣りしてしまう……。
恐らく、念能力の習得速度に関してそう言う身体能力の強さが関係していると思いました。
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