ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第17話

 ズシやポックル、ポンズやアンジェリカ達はルキウスによる身体能力と体力向上の修行としてとあるアイテムを渡されていた。

 

「あ、あの……。ルキウスさん……?」

 

「ん? どうかしたかな?」

 

「いえ、これって……」

 

「見ての通り重りだよ。ハンター専用サイトで事前に購入していたとは言え、前もって届いていたから本当に良かったよ」

 

 [あの、これってどのくらいの重さがあるんですか……??]

 

「両腕や両足、頭や胴体、それに靴を含めて全部で100kgだよ」

 

「ひゃ、100っ……!?」

 

「まぁ、今日は初日だからアンジェリカさんは50kgスタートでポンズさんは頭と靴を抜いた80kgスタート。

 

 ズシ君とポックル君は念能力者とプロハンターなんだから手加減せず100kgスタート。勿論、ズシ君は俺の修行中は周を怠らない様に。

 

 これからの修行はこれを毎日身に付けて生活して貰うし、来月向かう天空闘技場へ行った後も装備して貰うから早い内に慣れる事を勧めるよ」

 

「こんな原始的なトレーニングで本当に……?」

 

「気持ちは分からんでも無いけどこれが意外と馬鹿にならないんだ。まぁ、その結果は来月分かるから早速始めよう」

 

 各自、早速と言わんばかりに重りを装備して貰ったが歩く事どころか立っている事さえままならない状態だった。

 

 その上でズシに関しては纏の応用であり物にオーラを纏わせる周と言う技を教えた事で、身体能力や精神力だけでは無くオーラ量や体力面の増強を図ったのだった。

 

 ルキウスが最初に始めた修行は重りに慣れる為のウォーキングと空手をモチーフにした型の訓練である。

 

 10kmのウォーキングで全身を使った有酸素運動を行いながら体に重りを慣らさせて、そのまま戦闘を意識した型の訓練で天空闘技場でも使える様に磨き上げた。

 

 そして、ルーシィが作る料理で身体疲労や体力だけでは無く、強い肉体にする為の様々な栄養素を効率的且つ最大効果で摂取させて午後の訓練に臨ませた。

 

 午後の訓練内容は念能力覚醒組であるアンジェリカとズシはそれぞれに合った纏と練の修行を行い、未だ覚醒していないポックルとポンズはオーラの覚醒や精神鍛錬を促す燃を行った。

 

 しばらくの間は午前中は体力面や身体能力の増強、昼食を挟んで午後は念能力や精神鍛錬を行いながら成長を促すつもりだ。

 

 原始的なトレーニングに対して若干疑いの目で見ていたポンズだったが初日を経て考えが一変していた。

 

 ルキウスが言う様に馬鹿に出来ない程、肉体と精神に対しての疲労感がヤバかったからだ。

 

 下手するとハンター試験よりもキツイまであった。それは今年のハンター試験に合格したポックルも同意見だった。

 

「みんな、お疲れ様。夕食の準備が出来ているからたくさん食べてね!」

 

 お出しされるルーシィの美食に疲労感で一杯だったポックル達はかき込む様に食事を平らげた。

 

 ルーシィの料理は弟のルキウスだけでは無く、同じ美食ハンターであるメンチやブハラ達すらも魅了する美食である。

 

 更に彼女の発である真の料理人は食材を選ばず(マスターシェフズ・マインド)私の愛を受け取って(クッキング・ラヴァ)を使った料理で回復力を増強している。

 

 それは即ち、修行で受けた肉体的且つ精神的なダメージがルーシィの料理を食す事で、ポックルやポンズでさえも自覚出来る程に回復していく状態にあった。

 

 これは修行効率を最大化する為には必須級の能力でありながらも、味はまさに天に昇る様な極上の美食であるので手を止められなかった。

 

 そして、この恩恵を最も効果的に受けたのはウイングの愛弟子であるズシだった。

 

 ズシの修行メニューは本来なら四大行をマスターした者が行う発展系の修行メニューである。

 

 それ故にポックルやポンズ、アンジェリカとは比べ物にならない程の修行負荷を掛けられている。

 

 それはウイングの指導方針である焦らずコツコツ堅実にと言う考え方では到底考えられない修行だった。

 

 単純に今までの修行の数十倍は辛いと思った修行だったが、同時にズシの心には充実感があった。

 

 多くの修行仲間を得てライバル意識が働きながらも、自身の修行は今までやってきた修行が活かされ念能力に対する理解力が深まっていたからだ。

 

 ある意味今までの修行は、師範代であるウイングが教えた事だからとそのまま鵜呑みにして教えを守ってきた。

 

 今自身がやっている修行がどう言う目的で、どんな事が出来る様になるのかあまり深く考えずにやっていたのだった。

 

 だけど、ルキウスから周と言う纏の応用技を教えて貰い実際にやってみた事で、ウイングが徹底した纏と練の大切さをより身に沁みて理解する事が出来たのだった。

 

 夕食が終わり各々が少しでも強くなろうと外で自主練習に励む中で、ズシはウイング達の元を訪れていた。

 

「姉さん、準備は出来ている?」

 

「勿論!」

 

「それじゃ、これより堅の維持を行う修行を開始する。ズシ君はまだオーラ量が全く足りていないから、明日に響かない程度で頑張ってみて」

 

「押忍ッ!!」

 

「気合い十分ですね。それでは、開始しましょう」

 

 ウイングの合図で彼を含めた4人は一斉に纏と練の応用技である堅の維持を開始した。

 

 ウイングは本来教える側であるが、ポックルやポンズ達の修行に影響を受けてビスケから指導を受けていた修行時代を思い出していたのだった。

 

 更に言えば、昔世話した弟弟子が今の弟子と一緒に訓練をしている光景を見て、師匠として兄弟子としての威厳を示したい気持ちもあった。つまり、負けず嫌いであった。

 

 堅の維持は並のオーラ量では持続が出来ない。その為、20秒も経たずにズシが堅を解いてしまう。

 

「ズシ、休み休みで良いですから30分の維持をやり遂げてみなさい」

 

「っ!? お、押忍ッ……! 師範代っ……!!」

 

 息も絶え絶えな状態で崩れ落ちる体をゆっくりと起こし、弱々しい練を行うズシを見てウイングは微笑んだ。

 

 そして、30分の堅を維持する訓練が終わり全身汗だくなルーシィとズシを横にしてルキウスとウイングは堅を続行する。

 

 3時間以上も堅を行っているにも関わらず疲労感を見せない2人は、今後の修行について雑談を交えながら話す。その光景を見てズシやルーシィは改めて2人の凄さを感じたのだった。




ルーシィのイメージは金髪のフワッとした元気系ポニーテールなお姉さん。
アンジェリカのイメージは赤髪の目隠れ流し目系なお姉さん。
ルキウスは金髪で短髪なただのシスコン。
年齢的には、アンジェリカの方が2歳歳下でルキウスより1歳上の23歳を予定しています。
ご了承の程よろしくお願いします。
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