ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第18話

 ルキウスとウイングの合同修行を始めて2週間以上が経過した。全体的にかなり重りのある生活に慣れて来たので、ポックル達の修行負荷を少しずつ上げていった。

 

 ポックルとズシに比べて重りを軽く設定したアンジェリカとポンズは、今では彼等と変わらず100kgの重りを装備して訓練を行っている。

 

 修行開始時は重りありのウォーキングだったメニューも早歩きやジョギングと進化させ、型の訓練は軽い組み手を交えるまでに負荷を高めていった。

 

 特にズシは身体能力や強度の向上に加えて体力面や継続したオーラ出力の向上により、今まで培って来た基礎が土台となり急速にオーラ総量を増やしていった。

 

 17日前とは比べ物にならないオーラ量に本人も戸惑いを隠しきれなかった。その総量は軽く2倍近くまで跳ね上がっていた程だ。

 

 そして、修行前に苦戦していた練の応用技である凝がこれほど簡単に出来るとは思ってもみなかった。その事実に修行の手応えを感じていた。

 

 また、念能力に覚醒したばかりのアンジェリカは纏を習得して絶の修行に取り組んでいた。

 

 相変わらずこの中では体力面に不安を抱える彼女であるが、戦闘面に関して言えば呑み込みが早かった。

 

 元々、活発的な性格で両親が存命だった頃に習っていたダンスが功を奏して、高い柔軟性とバランス力が相まって誰よりも実力を伸ばしていた。

 

 ルキウスの修行によって肉体と精神に多大な負荷を受けながら、ウイングによる燃の精神修行とルーシィの食事療法を繰り返したポックルとポンズ。

 

 急速に強い肉体へと作り変えられた2人はその身に宿す元々のポテンシャルもあり、それは突然花開いた。

 

「……っ!?」

 

「これ、はっ……!?」

 

 いつもと同じ様に瞑想で心を落ち着かせながら燃の修行をしていた時、体からキラキラ光る湯気の様なエネルギーが全身から噴き出したのだった。

 

「おめでとう! 2人とも!!」

 

「それがオーラと呼ばれる生命エネルギーだ」

 

「今、2人の体にある精孔が一定以上開いています。さぁ、いつも燃を行う要領でその状態でオーラを留めてみて下さい」

 

「っ!? は、はいっ!!」

 

「分かりましたっ!!」

 

 全身から噴き出したオーラを体に留める基本技能。四大行の1つにして念能力の基本の纏。

 

 燃を行う際にウイングより纏を行うイメージを持ったまま点を行って来た2人は、その要領で少しずつオーラを体に留める事に成功した。

 

「2人とも、良いです」

 

「それが念能力の基本であり四大行が1つ、纏だ。気分はどうだ?」

 

「何と言うか……。温かい粘膜に身を包まれている様な感じです……」

 

「でも、不思議と不快感は無くて……。まるで、生まれた時からずっとあった様に思えるわ……」

 

「オーラはどんな生命にもある力だ。それは人間だけでは無く動物や植物、ポンズさんの蜂達にも宿っているんだ」

 

「そう、なんですか……。もしかして、私が(この子)達を操れるのは……?」

 

「俺はそれもあるって思っている」

 

 ポンズの質問を受けたルキウスが答えると、彼女は何処かホッとした様な長年の回答を貰えた様な表情をしていた。

 

 自身が蜂達と仲良くなったのはかなり幼い頃の話だった。元から養蜂家の家に生まれたポンズは蜂達と仲良くするのは当然だった。

 

 蜂達が作る蜂蜜が自分達の家計を支えていたからでもあるが、ポンズは他の人よりも蜂達との方が心を通わせられたからだった。

 

 その事について自分がおかしいと思う様になったのが思春期を迎えた頃で、その時には既にこの特殊能力を持っていたのだった。

 

「念能力は各分野の天才と呼ばれる一握りの者達が、その存在を知らずに使っているケースがあります」

 

「その最たる例が俺の姉ルーシィで、ポンズさんも天才側の人間であると俺は見ている。

 

 きっと生まれ持った才能だけでは無く、ポンズさんが蜂達と向き合い続けた努力の結果もあるとは思う。

 

 そう言う1つの事を極めようとした結果、念能力が発現して特殊能力へと進化するんだ」

 

「私もルー君に教えて貰えるまで無意識に使っていたから、ポンズちゃんが戸惑う気持ちは分かっているわ」

 

「ルーシィ……。ありがとう」

 

 家族からは褒められて来た能力で自慢の力だったが、他人から見れば異質過ぎる力に疑念が無かった訳では無い。

 

 だからこそ、念能力を使う彼等の言葉には説得力と共に納得が行ったのだった。

 

「さてと……。折角、全員念能力に目覚めた事だから修行をした先で念能力はどう言う事が出来るのかについて見て貰おうと思う」

 

「ルキウス君、これを使って下さい」

 

「ありがとう、ウイング先輩。ここに、先輩が用意して下さった鋼鉄の鎧を纏ったカカシがあるね? これを今から動かず、触れずに破壊してみよう」

 

「っ!? 動かずにっ……!?」

 

「破壊するってっ……!?」

 

 [そんな事が可能なんですかっ……!?]

 

「勿論可能だ。ただ、人によって得意不得意があるからそれも含めて今後の修行でのモチベーションくらいに思って欲しい」

 

 鋼鉄の鎧を纏ったカカシから少し離れた位置に立つルキウスは、カカシに対して右手を向けるとオーラ収束して球体を作り出して放った。

 

 念弾と呼ばれる収束したオーラを弾として放つそれはあっという間に距離を縮めるとカカシにぶつかり、激しい轟音と共にカカシを爆散させたのだった。

 

「これはオーラを収束し弾として留めた物を放つ念弾と呼ばれる技術だけど、これを見ても分かる通り通常の銃火器に比べて圧倒的な破壊力がある」

 

「念弾は念能力の基本である纏と練の力強さに比例して、その威力や到達距離が強くなる技能です」

 

「分かり易く念弾を披露したけど、正直言って四大行をマスターするだけでも念に目覚めていない時と比べて計り知れない程の力を宿す」

 

「念能力は扱いを間違えれば簡単に人を殺せる技術です。それは散々口を酸っぱく教えて来ましたが、これで更に良く理解出来ましたね?」

 

「はい……」

 

「確かに、これは一般人には教えられないわね……」

 

 [念能力を覚えていない人からしたら見えない拳銃の様な代物か……]

 

「そう言う事。一先ず、第一ステージはクリアしたので少し予定を繰り上げて3日後に天空闘技場へ向かうよ。

 

 そこで今日まで培った修行の成果を発揮しながら、みんなには闘士(ファイター)として勝ち進んで貰おうと思う」

 

「天空闘技場でフロアマスターを目指す200階クラスで活動する闘士達は念能力者です。念を学びながらその戦闘経験も積めるこの環境を上手く活用して下さい」

 

「そして、天空闘技場で200階まで勝ち上がればファイティングマネーとして合計すると大体3〜4億Jは稼げると思う。

 

 特に今後プロハンターとして活躍したいと思っているポックル君やポンズさんにとって、生活や活動する資金となるのでそれもモチベーションにすると良いさ」

 

 4億Jと言う大金に加えて念能力者との戦闘経験など得られる物が多過ぎる事にポックル達は更にやる気を増していた。そして、3日後に向けて各々が修行に熱を上げたのだった。

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