ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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本日、3話目
もう少し物語を加速させます


第20話

 50階へ向かったルキウス達は初回のファイトマネーである152Jを受け取りジュースを購入した。

 

「本当に懐かしい……。昔と全く変わんないな、この金額……」

 

「ルー君、そうなの?」

 

「うん。初戦は勝っても負けてもジュース1本分で50階クラスを勝てば5〜6万J。負けたら40階に落ちてファイトマネー無しだったかな?」

 

「5万J……!?」

 

 [結構、貰えるんですね……!!]

 

「勝つ度に賞金額が上がるのであればモチベーションになるわ!」

 

「それで、最終的に4億Jまで貯金が出来るとしたそれは確かに夢があるなぁ……!」

 

「まぁ、気楽に行きましょう。焦らず確実に進んで行きましょう」

 

「そうですね!」

 

 殺伐とする控え室で和気藹々とする一団はとても異様な光景だった。年齢も性別もバラバラな集団だが、何か自分達とは一線を画す様な空気感に飲まれていた。

 

 しかし、控え室に2人の少年達が入室した事で空気が変わった。それはゴンとキルアである。

 

「あっ! やっぱり!!」

 

「よぉ! 久しぶり」

 

「え? ゴン君!?」

 

「それに、キルアっ!? なんでここに!?」

 

 ハンター試験組であるポンズとポックルはゴン達との再会に驚きを隠せなかった。

 

「なんでもなにも、天空闘技場(ここ)は金を稼ぎながら強くなるには打って付けの場所だろ?」

 

「俺達、武者修行に来たんだよ!」

 

「アンタ等もここにいるって事はそうなんだろ?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「私達、ルキウスさんに弟子入りしたの」

 

「ハンターとしての力を付けながら活動資金を得る為な」

 

「へぇー。そうなんだ……」

 

「まっ! 運悪く相手になっても手加減してやらねえから覚悟するこったな」

 

「それよりも、君! 名前はなんて言うの!?」

 

 キルアのかなり上からの発言に空気を読んだゴンは友達の言葉を遮る様にズシに詰め寄った。事実、自分達がここにいるのは同世代の子と仲良くする為だった。

 

「押忍ッ! 自分、ズシと言うッス」

 

「私はこの子の師匠をしているウイングと申します」

 

「ウイング先輩は俺と同門で兄弟子だったんだ。それで、俺も弟子を取ったから一緒に鍛えようって事になり合流する事になったんだ」

 

「ふーん。なるほどね……」

 

 どう言う繋がりでハンター試験のサポートをしていたルキウスがウイングと仲良さげにしていたのか、ちょっと気にはなっていただけにキルアは納得する様な表情を見せるとアナウンスがなった。

 

『これより58階Aリングにてズシ様とキルア様の試合を開始します』

 

「あっ! もう俺の番じゃん」

 

「押忍ッ! キルアさん、よろしくお願いしますッス!!」

 

「あぁ、よろしくな。ゴン! 俺は先に60階に行っているから、お前も早く来いよ!!」

 

「あぁ、うん……! 分かっているよ、キルアッ……!!」

 

 あまりにも露骨過ぎる意気込みに居た堪れなくなったゴンはウイング達に頭を下げて控えを出た。

 

 丁度、その時にゴンの対戦アナウンスも出たのでそそくさとリングへ向かったのだった。

 

「ズシ、彼はかなり出来ますが使用するのは纏までです」

 

「彼等はネテロ会長も一目を置く存在だから、プレッシャーを掛かるけどたくさん学んで来なさい」

 

「っ!? 押忍ッ! 自分、たくさん学んで来るッス! 行って来ます、師範代!! ルキウス先生!!」

 

 ネテロが一目を置く存在と聞きズシは更に気合を入れてリングへと向かった。

 

 ルキウス達はズシとキルアの一戦こそが勉強となると思い、彼等の試合が中継されているロビーでアナウンスを待ちながら観戦したのだった。

 

 キルアとズシが戦う58階では既に熱気と興奮が冷め止まなかった。大人達を退けた10代の子供同士の戦いの結果が気になっていたのだった。

 

 天空闘技場では闘士達のファイトマネーを支払う為に観客達から賭け金を貰って賭け試合をしている。

 

 キルアとズシでは格闘技を駆使するズシの方が勝率が高いと判断されてしまい、その結果に不服なキルアが不機嫌さをまるで隠そうともしなかった。

 

 対してズシは開始前の段階から構えを解かずに静かに待ち構えた。一朝一夕では身に付かない隙の少ないズシの良い構えと自身の動きを見逃さない意思の強さにキルアも表情を変えた。

 

「それでは、試合開始!!」

 

 審判の合図と同時にキルアは不敵に余裕の笑みを浮かべながら、ゆっくりと歩く様にズシに近付いて行った。

 

 まるで友人に近付く様な敵意の歩みだがその空気を肌で感じるズシは正拳突きを放つ。

 

 しかし、その拳は空を切りキルアが消える様に目の前から居なくなり、突然首筋に嫌な予感がしたのでガードと同時に裏拳をかました。

 

「っ!? へぇー。見た目に合わない良い一撃。やるじゃん」

 

「押忍ッ! キルアさんこそ、自分と同じ人間を殴った気がしないほどの防御力だと思ったッス!!」

 

「ふーん。まっ、褒め言葉として受け取ってやるよ。それじゃ、これからはちょっと力を入れっから、な!!」

 

 笑みを深めたキルアはさっきよりも更に早く動いて攻撃に回った。ズシの一撃を受けて彼もまた並の常人じゃ無いと思い、150階相当の闘士に向けた攻撃にシフトしたのだった。

 

 キルアの猛攻に致命的なダメージこそガードしていたズシであるがキルアと自分では戦闘経験や身体能力、強度がまるで違い過ぎる。

 

 彼が言った通り多少(7割くらい)力を出しているだけなのに観客達や審判もキルアの速度に目が追い付かず、念を習得したポックル達もその速度を追うのが精一杯だった。

 

 [ルキウス君、あの子は一体……!?]

 

「彼がさっき俺達が言っていた150階以上で偶にいる天才かな?」

 

「念能力を身に付けずにこれほど動けるのはかなりの逸材ですね……」

 

「ですね……。俺達プロハンターの世界だけじゃ無くて裏の世界ではあんな子供がプロの殺し屋だったとか偶にある。

 

 だから、子供だからって舐めて掛かると死ぬ事もあるからポックル君やポンズさんは特に気を付ける事だね」

 

「いや、それは今年のハンター試験で分かっています……」

 

「私も、大丈夫です……」

 

「そうか。それなら良かった」

 

 ハンター試験中のキルアがまるで力を発揮していなかった事実に固い表情を浮かべたポックル達を見て、ルキウスはホッと胸を撫で下ろしたのだった。

 

 僅かな油断が命取りになるのはルキウスを含めたプロハンター全員に言える事だったからだ。これが教訓となって良かったと安堵したのだった。

 

 そして、彼等の試合途中ではあったがアンジェリカを皮切りに次々と名前が呼ばれてリングへと向かう。

 

 天空闘技場では賭け試合をする関係上、団体や同じ流派での闘士達で試合を組む事はない。八百長のリスクを減らす為だ。

 

 受付人数が少ない場合は同門同士で闘う場合もあるが、200階未満のクラスではそう言う事態はほとんどないので安心して戦いに挑めたのだった。

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