ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第27話

 200階クラスの闘士ギドとの戦いに向けた修行から10日が経過した。1日に3回もの応用訓練を行ってきたお陰かポックル達は大分スタミナが付いてきた。

 

 それに伴いオーラ量もググッと増えて先週まで安定して出来ていなかった練が行える様になっていた。

 

 更に持ち前の高い資質によって練度の差はあるがゴン達は凝の習得まで可能となっていた。今は安定的に凝が出来る様に鍛錬を重ねていた。

 

 ポックル達とは一歩遅れてポンズとアンジェリカはウイングが行うかくれんぼでの訓練により、絶を習得して数日前から練と並行して周の修行に取り掛かっている。

 

 やはりゴンやキルア、ポックルとは違いオーラ量がまだ足りていないので、周どころか練も儘ならない状態だった。

 

 その為、彼女達に関しては修行メニューの一部を変えて重りの強度を強化する周から、短剣術を教えながら武器を強化する周の訓練を行っていた。

 

 ポンズとアンジェリカは練が出来ない関係上、水見式を行ってはいないので正確な事は言えないが、ゴン達に比べてオーラの強さが明らかに強化系よりも遠い系統の様に思えたからだった。

 

 ポンズは蜂達を操る事から操作系っぽい事はなんとなく分かるが、アンジェリカは本人の意向もあって短剣術の習得から周の訓練を行った。

 

 200階クラス以降で彼女の使用する武器は数ヶ月前にルキウスから貰ったベンズナイフ。

 

 まさか彼女自身も使う羽目になるとは思っても見なかったが、ある意味運命だと思い使用感に慣れようとしていた。

 

 また、強化系やその隣にある系統はステゴロが強いので武器は要らないが、ポンズの様な操作系気質なタイプは武器は必須だったので訓練内容に関しては彼女も喜んでいた。

 

 そして、訓練を続けていき更に数日が経過してギド対ポックルの試合当日を迎えたのだった。

 

 両者共にリングへと上がる。全身を覆い隠す服装のギドは不気味な笑みを浮かべる。

 

 多少、念能力が使えるとは言え長年200階と言う舞台で勝ってきた自分には敵わないと思っての笑いだった。

 

 対してポックルの装備はハンター試験でも使っていた痺れ毒を塗っている弓矢一式だ。

 

 ルキウス達の修行を受けておよそ2ヶ月の間に苦手意識があった近接戦闘が大分改善したとは言え、身内以外で初めての念能力者とのバトルに万全の準備を整えたのだった。

 

「ほう……。弓矢か……」

 

「何か文句でも?」

 

「いいや、無いさ。200階クラスはあらゆる武装が許可されている。弓矢もルール上は特に問題ないだろう」

 

「それで、アンタは武器を使わないのか?」

 

「クックック……。あぁ、勿論使うとも。だが、それは試合が始まってのお楽しみと言うやつだ」

 

 顔を見せないギドではあるがその声色はポックルを嘲っており、ポックルも彼の言葉を聞いて不快感を抱いていた。

 

『時間になったので、これよりポックル選手とギド選手の試合を始める! 試合開始!!』

 

 この試合の審判役が開始時間を過ぎた事を確認すると直ぐに試合開始の宣言を行った。

 

 審判役の宣言と同時にポックルは直ぐに後退してギドから距離を取り、自身が得意とする間合いで弓を構えた。

 

 矢は多少多めに持って来たが無限にある訳ではないので、まずは距離を保ち相手の出方と能力の把握に努めたのだった。

 

 ポックルは生粋の狩人であるので、この対応は基本に忠実でセオリー通りと言えるだろう。

 

 しかし、この場所は狩人が得意とする森の中ではなく周囲に隠れる遮蔽物が無いリングの上だ。ポックルの対応にギドがほくそ笑んだ。

 

「グッヘッヘ……。俺が初戦で良かったな。お前が念を使えるなら死ぬ事はないだろう! 戦闘円舞曲(戦いのワルツ)!!」

 

「っ!? オーラの籠った独楽かっ!?」

 

「グッヘッヘ! 果たして、お前にこの独楽達が見切れるかな?」

 

 数十個にも及ぶオーラの籠った独楽がお互いに激しくぶつかり、弾き合いながらまるで生き物の様にポックルを襲う。

 

 しかし、ポックルも馬鹿ではない。纏を維持しながら焦らず冷静になりその能力を見極めて反撃の準備をしていた。

 

 ルキウス達の訓練では見られなかった戦闘系の念能力。自身に向かって飛んでくる独楽達をギリギリで躱しながら理解を深めていく。

 

 念能力を覚えて2ヶ月と少し。まだまだ師匠であるルキウス達には及ばないが、それでも強くなったと実感出来る程に成長した。

 

 弾かれた独楽がポックルを襲ってしまい回避が間に合わず、攻撃が当たる瞬間的に練でガードを試みる。

 

「ぐっ……!?」

 

 独楽と言う小さな見た目に合わない重い一撃を受けて後方に吹き飛ばされる。ガードはしていたが審判よりヒット宣言を受けた。

 

 審判は闘士達のレベル差があると判断した場合、闘士を守る為に早めに試合を終わらせる事がある。今の一撃でそう判断された。

 

 独楽の一撃はまるで大男に殴られた痛みだが許容可能なダメージだった。もしも、自身の纏だけでガードしていたら骨に響いていたかもしれない。

 

 ギドの舞踏独楽がポックルを襲う。だが、彼も負けじと弓矢を構えて針の穴を通す様に周で強化した矢を撃ち放った。

 

 まさかのポックルが放つ反撃にギドは一瞬硬直して動きが鈍る。独楽を回避しながら行う曲射に油断から度肝を抜かれた。

 

 だが、ポックルの曲射はギドの左腕を掠らせるだけで終わった。彼の強みは正確無比な射撃能力だが、それは固定大砲として運用をした場合の時だ。

 

 今回の様なアクロバティックな動きをしながらの曲射はまだ慣れていなかった。

 

 無茶な動きで矢を放ったポックルへ向かいギドの舞踏独楽が彼を襲う。練でガードしたポックルだったがあまりの猛攻にリングから弾き出された。

 

「グッヘッヘ! 惜しかったな!! だが、今の攻撃を受ければ流石のお前でも、無事、で、は……!?」

 

「……確かに、お前の言う通り、身体中が物凄く痛い。練でガードしたのに全身打撲状態みたいな感覚だ」

 

「お、まえっ……!? なに、を、したっ……!?」

 

「俺の矢には即効性の痺れ毒が塗られていてな。さっき掠った時に毒が全身に回ったのだろう。

 

 なに、死ぬ様な毒じゃないさ。2日、3日もすれば尿と共に体外へ排出される。審判さん、カウントをお願いします」

 

 リングに戻ったポックルは痺れ毒で動けず独楽に籠められたオーラを維持出来ないギドを場外へ投げ飛ばした。

 

 流石のポックルも痺れ毒で倒れる相手に死体蹴りするほど鬼畜ではないし、何よりも思った以上に独楽のダメージと疲労感で一杯だった。

 

 場外に転がったギドはなんとかして立ちあがろうとするが上手く体が起こせず、審判のカウント10以内にリングへ戻る事が出来なかった。

 

「ギド選手がカウント10以内にリングへ戻らなかったのでK.Oと見なし、勝者ポックル選手!!」

 

 劇的な幕開けに観客席からポックルを称える様な歓声が巻き起こったのを聞いて、ホッと一息吐いたポックルは地面に背を預ける様に倒れ込んだ。

 

 今回は相手が自分を格下であると侮り油断していた事で勝てたが、油断や慢心無く全力で襲われていたら確実にポイントを奪われて負けていたかもしれないと思った。

 

 ただ、同時にポックルはこの勝負に勝てた事で漠然と修行していた念能力について深く知る事が出来た事に喜びを感じていたのだった。




ちょっと日常生活に支障が出るレベルでネットが不安定になったので、色々と機器周りやらを調べていたら投稿できませんでした。
申し訳ないですが、投稿頻度を落とします。
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