ポックル対ギドの勝負から2日後。試合の疲れや怪我を癒したポックルが修行に戻った。
本来なら大した怪我をした訳では無くても1週間から10日は休養に努める様にする所だが、本人の強い意思により試合で受けたダメージを回復したら復帰すると言う約束を交わしていた。
「さて、ポックル君。ギド選手と言うか念能力者同士のバトルはどうだった?」
「正直、得られた経験が一杯でまだ頭の中が整理出来ていません。でも、少なくとも今までの修行が無駄だったとは思わず、むしろまだ足りなかったとすら感じました」
「よろしい。その感覚を忘れずに修行に励むと良い。今回はリングの上で勝敗を決める為のポイントと言う制限された戦闘だが、実戦では相手も最初から殺す気で来る事を忘れてはいけない。
ポックル君が痺れ毒を使った様に相手の念能力次第では、たったの一撃を受けただけで死ぬ事もある。そこは肝に銘じて戦う様に」
「っ!? 分かりました!」
「では、ズシにゴン君とキルア君。君達はポックル君とギド選手の戦いをどう見ましたか?」
「押忍ッ! 自分には出来ない考え抜かれた良い戦法だったッス!」
「まさに、狩人の戦いって感じだね」
「でも、念能力ってあんな事も出来るんだなって思った。ありゃ、独楽の威力じゃねえよ」
「そうですね……。ギド選手の独楽も君達が現在学んでいる周を使った能力です。
しかし、恐らくではありますが彼は自身のオーラが得意とする系統とは違う別の系統で能力を使ってしまった」
「別の系統……?」
[念能力には得意不得意の方向性があるんですか?]
「勿論あります。それを知るには四大行最後の発を行う必要があります。そして、これがその系統を記した六性図です」
「オーラの系統は強化系、変化系、放出系、具現化系、操作系、特質系の6つに分類されるんだ」
「この系統は基本的に生まれ付きの資質で決まっている事が多いわ。ちなみに私は強化系ね!」
「私も強化系に属しています。自身のオーラはその系統の1つに属しており、隣り合った系統が相性が良いとされます」
「んん? つまり、どう言う事……?」
「つまり、自分の系統は超得意で隣り合った系統はかなり適性ありだけど、離れるほど苦手になるって思ってもらえれば良いさ」
「ギド選手の能力は独楽を操作する操作系念能力でしたが、あの威力を鑑みると本人の系統は私達と同じ強化系に属していたと思います」
「つまり、あの威力で実際には適性外の能力だったと……?」
「そうだね。もしも、ギド選手が自身にあった強化系念能力を使っていたらポックル君にまず勝ち目は無かったと思うよ」
「念能力バトルでは自分の系統で戦うのがセオリーだからね!」
「質問! それを知る為の方法は?」
「心源流には水見式と言う系統別オーラの判別方法があります。これから、実際にやってみましょう。ズシ、手伝ってくれるかい?」
「押忍ッ! 師範代!!」
ウイングに促されるがままズシは普段から修行で使うグラスへ水を入れてその上から葉っぱを乗せた物を持って来た。
「水見式でオーラを判別する為には大量のオーラを発する練が出来る事が必須条件です。ズシ、君の発を見せてあげなさい」
「押忍ッ!!」
ゆっくりと深呼吸をしたズシは水と葉っぱが入ったグラスへ向けて発を行う。
葉っぱはズシのオーラを感じとり縦横無尽に動き回った。その光景にゴン達は目を見開き驚愕を禁じ得なかった。
「す、凄っ……!?」
[葉っぱが動いて……!?]
「葉っぱが動くのは、ズシのオーラが操作系に属しているからです。では、次にルーシィさん」
「はーい! 任せて!」
明るく元気な返事をしたルーシィはグラスの下にお皿を置き、ズシよりもスムーズでたくさんのオーラを放つと水が勢い良く増えたのだった。
「水がっ……!?」
「凄え勢いで増えやがったっ!?」
「私達強化系は水の量が増えたり減ったりする事で判別されます。さぁ、ゴン君達もやってみましょう」
「先ずはポックル君からやってみよう。君はズシ君に次いで練を力強く使えるからね。
水見式は練の強さと比較して変化量や影響を及ぼす修行。変化量が大きくなる程、必然的に練が強くなるから念の攻撃力や防御力が強くなるんだ。
水見式がクリア出来る様になれば、先日戦ったギド選手程度の念能力であれば練で完封する事も可能となるさ。
だから、ポンズさんとアンジェリカさんは先ずは焦らず練と凝をマスターしてから望もうね」
「っ!? はいっ!!」
「分かったわ!!」
[分かりました!!]
「では、行きますっ……!!」
そして、ポックルはゆっくりと時間を使いオーラを練り上げると練を行い水見式に影響を与えた。
するとグラスに入った水は絵の具が混じった様に少し青みがかった色合いに変化したのだった。
「水の色が変わるのは、ポックル君のオーラが放出系に属している証拠だ」
「放出系……」
「放出系は念弾を最も上手に扱える系統だと思って良い。放出系は個人的に出来る事とやりたい事が両立するバランスが良い系統だ。
遠距離だけではなく隣に強化系があるから近接戦闘も鍛えられる。それに俺も放出系は得意な系統だから君の発に関して相談に乗れるさ」
ジャポンで念能力を覚醒した時にルキウスが見せてくれた念弾をポックルは思い出してグッと拳を握った。
彼個人としても強化系よりも放出系が欲しいと思っていただけに、自分の要望が叶った事とこれからどんな能力にしようかワクワクが止まらなかった。
「ん? うん……?」
「どうした、ゴン?」
「アレ、でも……。ルキウスさんって、調理中にオーラで包丁を作っていなかったっけ? アレってルキウスさんの系統が具現化系ってやつになるんじゃないの?」
「それが……。いや、そうかっ……!」
ゴンの疑問にキルアが気付き、それに続いてポックル達も順番にハッとしてルキウスを見た。
ウイング達が説明した念系統の六性図を見る限り、具現化系と放出系は相性が最悪なのでルキウスの発言に矛盾を感じたからだ。
「えぇ。2人が気が付いた様に具現化系と放出系は真逆の位置にあり相性が最悪となります。
従って本来なら先程のルキウス君の発言と我々が説明したオーラ別系統の相性関係が矛盾している様に見えます」
「別に君達に嘘を言った訳ではないよ。それが俺の属する特質系の特性だからね」
「特質系の……」
[特性……?]
「特質系は他の5系統とは違い全ての系統を苦手無く極める事が可能と言う特殊な性質を持ちます」
「簡単に言うと全部に適性があって全て超得意って言う特性を持つ系統って事。だから、具現化系も放出系も同じくらいに使えるんだ」
「う、うぇええ!?」
「ま、マジかっ!?」
本来であれば得意系統が100%であれば具現化系か放出系のどちらか一方は40%となる。
しかし、特質系の特性で修行によっては全て100%に出来る事を理解したゴン達は目が飛び出そうな勢いで驚き固まった。
「特質系は両隣りの具現化系と操作系が何かしらの条件やキッカケで変質する事がありますが、基本的に生まれ付いた資質で属する事が大半のとても珍しい系統です」
「特質系はね、私達他の系統が努力でどうこうして伸ばせる系統じゃないの。特殊な資質を持たない限りは基本的に極められない系統って認識で大丈夫よ」
「俺は生まれ付き特質系だったから作りたい発によって自由自在に系統を鍛えていたんだ。
だから、放出系と具現化系以外にも鍛えて複数系統が入り混じった発を作り出す事が可能なんだ」
「なんかそれ、滅茶苦茶ずりぃな……」
「あはは。まぁ、その分だけど1つの系統を極めれば良い先輩達とは違って、考えて能力を作らないと一気に器用貧乏になっちゃうから俺は俺で大変なんだよ」
「あっ! そうか……」
[自身の得意系統が1系統なら、能力開発をする時の方向性が定まっていて分かりやすいって事だね]
「そう言う事。特質系は他系統とは違って作りたい発と戦闘スタイルを前提に系統を伸ばす。
だから、他の系統に比べて考えなしにやっちゃうと特質系の意味がなくなっちゃうのさ」
「それに色んな系統を伸ばすと言う事は他の人達よりも時間が掛かってしまう事も欠点です」
「でも、ルー君は長い時間を掛けてたくさん訓練して来たから凄く強いんだよ!」
「そう言う事さ。他の人よりも訓練だけは重ねて来たから発の相談には乗れると思う。みんな、遠慮せず聞いてくれると嬉しいな」
ルーシィに褒められたルキウスは少し恥ずかしそうにしながらも、自信に満ちた笑みを浮かべてポックル達を見たのだった。
気軽に相談が出来ると言う環境を得たゴン達はポックルに続いて水見式を行い自身の系統を確認したのだった。
自宅のネット環境ではありますがまだ少し時間が掛かりそうです。
最近は不安定だけど一時的に復旧する時間が長くなっては来ていますが、一度確認や修理して貰う予定です。
ご迷惑をお掛けします。