ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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独自解釈強めです。ご了承の程よろしくお願いします。


第5話

 ある程度、メンチを説き伏せた後にネテロが2次試験の再試験を提案する流れとなった。

 

「さて、ルキウス。君の役割はこう言う自体にならない様に彼女のストッパーを任せていた筈だが? それについて問題なかったと判断した理由を聞きたい」

 

「そうですね……。自分も多少、受験者達の態度や言動に対して思う所が無かったと言えば嘘になります。

 

 しかし、それを差し引いても彼女の合否判断や試験難易度は特に問題は無かったと断じます」

 

「ほほう? それはどうしてじゃ?」

 

「まず試験難易度ではありますが、ネテロ会長はどう思われますか?」

 

「ふむ……。ワシは君の口から聞きたいと思っておる」

 

「では、お言葉に甘えて……。試験官としては十分合格出来る範囲かと思います」

 

「では、ハンターとしてどう思うかな?」

 

「落第点ですね。死ぬ前に故郷に帰った方が良いかと思います」

 

「あぁ!?」

 

「それはどう言う意味だ! コラァ!?」

 

 折角、メンチの反省で多少受験者達の溜飲が下がったがルキウスの発言で再燃した。

 

「ブハラ、1人のハンターとして聞くが間違った事を言っているか?」

 

「いいや、俺もルキウスと同意見だぜ」

 

「では、ルキウスよ。受験者達に分かる様に理由を述べなさい」

 

「分かりました。では、まずメンチの試験について解説する前に君達に1つ聞きたい。この中でブラックリストハンターを志望している者達は挙手してくれ」

 

 ルキウスの質問に対してそれが何の意味を指しているのか分からず、渋々ながら手を挙げる受験者達。

 

「まぁ、結構居るな……。それじゃ、さっきの試験を賞金首をハントする内容で例えてみるぞ?

 

 仕事内容はA級賞金首ジョン=ドゥーのハント。しかし、ジョン=ドゥーについての情報は名前だけしか分からない。

 

 だけど、その仕事を受けた前任者がその人物が男性である事を突き止めたとして、新たに情報を獲得したと仮定しよう。

 

 この状況でブラックリストハンター志望の君達に問いたい。君達ならどうすればジョン=ドゥーをハント出来ると思う?」

 

 淡々と話すルキウスにさっきまで噛み付いていたブラックリストハンター志望の受験者達は勢いを失う。

 

 彼等はメンチの試験を料理を行えば良いと馬鹿にしていたが、実際に自分達の目指す分野で例えられて反論出来なくなっていた。

 

 事実、ルキウスがメンチを止めなかったのは握り寿司がどう言う代物か分からなくても試行錯誤と観察、チームワークで合格出来る範囲だからだ。

 

「まぁ、確実に言える事は1人ではハント出来ないだろう。1人でなら、な?」

 

「っ!? そうかっ……!?」

 

「おっ? 今ので理解出来る受験生もいるのか……。では、受験番号404番君の意見を聞かせてくれ」

 

「私はクラピカと言う。貴方に聞きたい事があるが、先程の試験は個人戦では無く団体戦であると考えていると思って良いだろうか?」

 

「うん、正解だ。複数人のハンターが1つの依頼について急遽チームを組む事は結構ある。

 

 特に出ている情報が少ない場合は余程自信がある場合を除き、大体のハンターは他のハンターに協力を仰ぐ事は珍しく無い」

 

「でもよ! 合格者は先着順だろ!?」

 

「確かにそうだけど、良く思い出して欲しい。さっきの試験合格に関する条件は何だったかな?

 

 ①握り寿司の正体を突き止める事。②その握り寿司を持ってメンチを満足させる事だ」

 

「だから! それが出来ねえって言ったんだろうがよ!?」

 

「294番はそう言うが、本当に出来ない内容か? それは、違うと断言しよう」

 

「だが、あの試験官はさっきそう言ったぜ!」

 

「だけど、その前に売り言葉に買い言葉で彼女を暴走させたのは君達自身だろう。

 

 言ってしまえば今回の試験官は現実での依頼人に当たる立ち位置だ。それを理解しているのか?」

 

「っ……!?」

 

 依頼人と聞いて美食ハンターに嘲笑を向けたい受験者達は段々とその事実を受け入れて青ざめていた。

 

「依頼人に対して失礼の無い態度や言動をするのは基本中の基本だ。はっきり言って社会人マナーのレベルだ。

 

 嘲笑や侮辱をして依頼を受けてやっても良いぜって態度になれば、依頼人から実技試験の門前払いを受けても文句は言えねえよ?

 

 そして、ハンター試験は試験官に試験内容と合否の裁量は与えられている。つまり、本来なら君達は2人にお願いする立場の筈だ。

 

 それなのに自分達から合否の難易度を上げてしまってどうするの? それを理解しているのか?」

 

 ルキウスの言葉に粋がっていた受験者達も言葉に詰まる。ハンターを目指している者達が1番ハンターらしく無かったからだ。

 

「また、294番。君の質問に戻るけど君は寿司を知り、その見た目から察するとジャポン出身の忍者だね?」

 

「っ!? 知っているのか!?」

 

「ジャポンには仕事で良く行くからね。それで、聞きたいんだけど忍者はいつから依頼人の仕事内容を勝手にこれくらいで良いだろうと判断して、適当な仕事をする様になったんだ?」

 

「っ!?」

 

 ルキウスの指摘に違うと否定したかったハンゾーは、自身の言動や態度を思い出してその言葉を言えなかった。

 

「君のした事はそう言う事だ。君はメンチを満足させる為にベストは尽くしたか? 

 

 していないだろう。それはメンチに向けた握り寿司に対する言動からも一目瞭然だ」

 

「だけど、実際あの試験官を満足させる事は無理じゃね?」

 

 ルキウスの言動に腹が立ってきたキルアが反論したが、その言葉は彼にとって想定内だった。

 

「そこでさっきクラピカに答えた話に戻る。もう一度聞くが、メンチの試験合格の条件は何か? クラピカ」

 

「握り寿司を作り、彼女を満足させる事だ」

 

「そこに人数制限や指定人数に関する条件を言及しているか?」

 

「っ!? いいや、していない……」

 

「そうだ。これは一種の試験の抜け穴である。だからこそ、俺は彼女の試験が適切であると判断した。

 

 試験の合否は彼女達の裁量で決まる。つまり、試験内容における個人戦か集団戦かの有無も彼女達の裁量で決まるという訳だ。そうですよね、ネテロ会長?」

 

「ホッホッホ。試験官があえて言及していないのであれば、それは2人が決める事である」

 

 ハンター試験の内容や合否について試験官の裁量に任せられていると言う事は、ルキウスの言う事であるとハンター協会の会長が認めた事に受験者達から動揺が起きた。

 

「そう言う事だ。美食ハンターで味や見た目に厳しい事が言動や態度から分かるメンチに個人戦を仕掛ける方がハッキリ言って無謀だろう。

 

 それであれば合格条件であるメンチを満足させる為にチーム戦を仕掛けて、この厨房や彼女の箸を持つ姿などヒントとなる情報を集めて精査する。

 

 また、彼女は自身が満腹にならない限り何度でも挑戦して良いと言っていると言う事は……。つまり、試行回数はある程度許されると言う事だ。

 

 そして、ある程度受験生全員を観察していれば294番が握り寿司の概要を知っている事は分かった者もいるだろう」

 

 ルキウスの言葉にポックルはハッとした。彼はハンゾーが握り寿司を知っている事に気が付いていたからだ。

 

「個人戦を仕掛けるなら294番を注視して情報を盗む事もありだし、何なら294番と裏取引するなり脅迫するのも1つの手段だ。

 

 だけど、この場にいる全員はそれをしなかった。それは、料理と言う試験を舐めていたからだ。

 

 これはプロハンター試験だぞ? プロハンターとして活動する事を目指している者が、ハンターらしく無い事をすれば不合格も当然だと思うが?」

 

 ルキウスのプロハンター試験である事を改めて突き付けられて受験者達は肩を落とした。

 

 その中で1人、ゴン=フリークスは改めて自身の父親ジンがなったプロハンターについて知り、ルキウスの言葉を咀嚼したのだった。

 

「ふむ……。確かに、厳しくはあるがプロハンターとしてで言えばルキウスの言う通りではある」

 

「まぁ、俺達の意見はどうであれネテロ会長の再試験案には反対しません。ブハラはどうだ?」

 

「俺もそれには賛成だな。だけど、俺もメンチも満腹だからルキウスが決めるか?」

 

「いや、案は出すけどここは名誉挽回として最後までメンチがやった方が良いだろう。

 

 メンチ、俺は受験者の個人戦でマフタツ山にあるクモワシの卵を取ってくると言う試験を提案するがどうかな?」

 

「っ!? そうね……。うん、悪く無いと思うわ」

 

「クモワシの卵か……! 良いな、それ!」

 

「捕獲難度はそこそこだけど、俺達美食ハンターが偉そうに食っているだけじゃ無いって事を分かって貰える良い試験だと思うんだ」

 

 255番のプロレスラー風の男に向けてルキウスは仕返しをした。彼もここまでの話を聞いてとてもバツが悪そうに顔を背けたのだった。

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