ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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第7話

 ネテロからの呼び出しを受けたルキウスは直ぐに自身の念空間でつまみを調理してから彼の元へ向かった。

 

 ネテロはジャポンの酒や料理を好んで食べていたので、今日は和風をメインにした晩酌セットを用意した。

 

 途中、苦労人のビーンズの元に立ち寄ってネテロと共に食べるつまみと酒とは別の物を渡しに行った。

 

「それにしても、2次試験はヒヤヒヤしましたよ」

 

「でも、結果的には良い教訓にはなったでしょ?」

 

「確かに。ルキウスさんの指摘はハンターとして尤もな内容でした。最近は多くの一つ星や二つ星だけじゃ無く、十二支ん達からもハンターの質が落ちていると言う陳情を受けていましたからね……」

 

「何と無く想像が付きますよ、お疲れ様です」

 

「お労り下さり、ありがとうございます。それにしても、今回の報酬は本当にアレで良かったんですか?」

 

「えぇ、大丈夫です。試験中か試験後のどっかのタイミングで良いので、三日月諸島にある軍艦島で数日滞在させて貰えれば良いですよ」

 

一つ星(シングル)ハンターの中でも頭一つ抜けているルキウスさんをこの位の報酬で雇えるのですから安い物ですよ。それにしても、軍艦島に何か御用が?」

 

「別に大した理由でも無いんですが……。まぁ、家族やら師匠やらへのお土産ですよ。後、単純にバカンスついでに懐かしくなって……」

 

「あぁ、そう言えば……。ルキウスさんのハンター試験で軍艦島を使いましたね……」

 

「そうですね……。あの熱帯林みたいな日差しの強い部屋は今でも覚えていますよ」

 

「あはは。そう言う事であれば、3次試験のトリックタワーへ行った後に向かいましょう。

 

 幸いながら軍艦島はトリックタワーからそれなりに近いですし、2日くらいなら滞在出来ると思いますよ」

 

「助かります。それじゃ、俺はそろそろネテロ会長の所に行きます」

 

「それでは、また明日」

 

 こうしてルキウスはビーンズと別れた後にネテロを探す為に飛空船を散策した。

 

 人を探すだけなら纏と練の応用技の円を使えば簡単に分かるが、それだと勘の良い受験者に余計なプレッシャーを与えかねないので地道に歩いた。

 

 ようやく見つけたかと思っているとネテロは99番と405番の少年達を見ていた。

 

 そして、悪ガキの様な笑みを浮かべながらルキウスに釘を刺し、少年たちに向けてオーラを一瞬発した後、直ぐに隠を使い素早く移動して何食わぬ顔で彼とは反対方向から出て来たのだった。

 

「アレッ!? ルキウスさんに、ネテロ会長!?」

 

「……アンタ等、今そこの通路に誰か居たか?」

 

「いんや、ワシは見ておらんが?」

 

「会長が見ていないのであれば、俺も見ていないですね。悪戯好きな妖怪でも居たんじゃないかな?」

 

「ホッホッホ」

 

 素知らぬ顔で知らんぷりをするルキウスと笑って誤魔化すネテロにキルアは納得出来ない顔で睨み付けていた。

 

「お主達、この後暇かのう?」

 

「うん! 俺達、予定空いているよ!」

 

「それじゃ、ワシとゲームをしよう。勝てば賞品としてライセンスをやろう」

 

 そう言う感じで始まったネテロ対ゴンとキルアのボール奪いゲーム。ルキウスは懐かしいと思いつつ適度に観戦しながら、暇つぶしに彼等を応援していた。

 

 相変わらず悪戯好きと言うかネテロに振り回されるゴン達は良い感じに遊ばれていたのだった。

 

「ホッホッホ。もう諦めるのかのう?」

 

 ニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべて煽りまくるネテロ。そんなネテロに対してゴンはある提案をした。

 

「ねぇ! ちょっと作戦タイムをしたいから、ルキウスさん交代してくれないかな!?」

 

「ホッホッホ。ルキウス、久しぶりに遊ぼうかのう?」

 

「はいはい、分かりましたよ。と言うか、若干この展開を狙ってませんでしたか?」

 

「ホッホッホ。何のことやら分からんのう」

 

 《纏以外の念能力は禁止のルールで遊ぼうぞ》

 

 ネテロはルキウスにだけ見える様に隠を使って、人差し指の上にオーラ文字を展開したのだった。

 

 実はネテロとこうして遊ぶのは結構久しぶりだった。最初に遊んだのはゴン達と同様にハンター試験中だった。

 

 その時はお互いに念能力を使った模擬戦で、かなりハンデありの状態でネテロに一撃入れたらライセンスが貰えると言う遊びだった。

 

 それで、結局は一撃も入れる事が出来ず仕舞いで悔しかったので、15歳まで毎年の様に挑んでは負けての繰り返しだった。

 

 そして、今回ネテロが2次試験と言う早い段階で受験者の前に現れたのはメンチの悪癖を考慮した事もあるけど、久しぶりにルキウスと遊ぶ魂胆もあったからだった。

 

「俺もアレから結構修行を積んできたんですよ」

 

「ホッホッホ。口では無く結果で示しなさい」

 

 相変わらずニヤけた面で煽ってくるネテロにルキウスはゆっくりと歩く様に動き出した。

 

「っ!? これって、キルアの……!?」

 

「肢曲!? アイツも出来るのかよ……!?」

 

「ホッホッホ。相変わらず、器用な子じゃ……。彼の技を一眼見て真似て来たわい」

 

 ネテロの周囲を囲む様に多くのルキウスの残像が揺らめく陽炎の様に現れたのだった。

 

 ネテロが言う様にこの技はさっきキルアがやって見せた事で瞬時に習得した猿真似技である。

 

 料理人とは完璧にレシピを理解して、その技術を真似る事で自身に落とし込む人種である。

 

 ルキウスは料理人として基礎となる理解力と瞬時に真似る器用さを生まれながら持っていた。

 

 キルアの動きを完全にトレースして行う肢曲は真似された本人でさえ、ぐうの音が出ない程に完璧な仕上がりだった。

 

 そして、そこから始まるボールの取り合いにゴンは踊っている様に魅了され、キルアはあまりのレベルの高さにムカついていた。

 

 しばらくルキウス達の観察をしていたキルアだったが、自分では一生懸けてもボールが取れない事に腹を立ててゲームから降りた。

 

 しかし、ゴンの方は逆に面白くなってきたのか色々と挑戦してボールこそ取れなかったが、かなり良い線まで行って気絶する様に眠った。

 

「暇潰しになれましたか?」

 

「ホッホッホ。良い刺激になったわい」

 

「そいつは良かった。これで次に師匠と会ったら怒られなくて済みそうです」

 

「そう言えば、ビスケはどうかのう?」

 

 ルキウスの師匠はネテロの弟子であり、二つ星(ダブル)ハンターのビスケット=クルーガーと言う女性だった。

 

 彼女との出会いは至極単純で、彼女が仕事で実家近くに立ち寄った際に独学で練の修行を行なっていた8歳の時に偶然出会った。

 

 彼女としても良い感じの宝石は見つからず、そろそろ帰ろうとしていた時に特大級の原石達(ルキウスとルーシィ)と出会って興奮が冷め止まなかったそうだ。

 

 姉のルーシィは両親の都合上弟子入りは無理だったが、弟のルキウスはその当時からかなり変わっていた事もあってすんなり弟子入り出来たのだった。

 

 そして、3年の月日を経て兄弟子達に可愛がられながらも様々な修行を終えてハンター試験に望んだのだった。

 

「師匠ですか? 5年前に呼び出しくらって仕事の手伝いしたくらいで、その後はサッパリですよ。

 

 ストーンハンターらしく宝石に夢中なんでしょう。まぁ、それがあの人らしいと言うか何と言うか……」

 

「ホッホッホ。確かにのう……」

 

 ルキウスの言葉にネテロも自身の弟子を思い出しながらお酒を煽った。そんな姿を見てルキウスはふと思った事を告げた。

 

「やっぱり、ネテロ会長と遊ぶのは楽しいですね」

 

「お主もパリストンの様な事を言いよるのう……」

 

「ハハッ。パリストンさんと同類は心外ですけど、気持ちは分かるかなって思います。

 

 だって、ネテロ会長って挑まれるばかりでつまんねーって顔をしてますもん。そりゃ、こっちとしては顔色1つくらい動かしたいですしね」

 

「っ!? ホッホッホ! こりゃ、1本取られたのう」

 

「この先1本どころか、たくさん取りに行くんでまだまだ長生きして下さいよ。勝ち逃げは許しません」

 

「ホッホッホ! それはまた楽しみが増えたわい」

 

 お酒が入って好戦的になっていたルキウスを横目にネテロは、自身の若き日を思い出してもう一度鍛え直そうかと思ったのだった。

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