バットマンのジョーカーがFGOのカルデアに一斉召喚された話 作:diorion15
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、人理の轍より応えよ
汝、星見の言霊を纏う七天
降し、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ―――!
魔術陣が発光する。
カルデアの召喚室。
霊子収束、安定――
しない。
ダ・ヴィンチが眉をひそめる。
「霊基構造が……不安定?
いや違う、これは――“歪んでいる”」
ロマニがモニターを叩く。
「英霊のデータベースに該当なし!
でも座との接続は成立してる!」
兄・藤丸立香が息を呑む。
妹は、震えた声で呟く。
「……まさか……」
光が弾ける。
爆ぜるように。
煙の中から、ゆっくりと靴音。
コツ、コツ、コツ。
紫のスーツ。
緑の髪。
白い顔。
そして、歪んだ笑み。
男は両手を広げ、芝居がかった一礼をした。
「やあ、レディース&ジェントルメン。
いや……カルデアの皆さん、かな?」
沈黙。
マシュが盾を構える。
「サーヴァント……確認できません。
ですが、霊基は確かに――」
男は首を傾げる。
「サーヴァント?
いいねぇ。雇われピエロってわけか」
兄ぐだが小さく呟く。
「……ジョーカー」
男の目が細まる。
「おや。知ってるのかい?」
妹ぐだが一歩前へ。
「『ジャック』は死んだ。
今の俺は……『ジョーカー』だ」
男はゆっくり拍手した。
「満点だ。
その通り――」
彼は笑う。
「『ジャック』は死んだよ。
今の俺は……『ジョーカー』だ。
見ての通り、もっとハッピーになった!」
カルデアのモニターが警告を鳴らす。
クラス不明。霊基:異世界起源。
対存在刻印:BAT――
ダ・ヴィンチが凍る。
「待って……“BAT”って何?」
ジョーカーがゆっくり視線を巡らせる。
「月夜に悪魔と踊ったことはあるか?」
その瞬間。
召喚陣の縁が黒く焦げる。
霊子が、笑っている。
ロマニが低く言う。
「精神波形が……極端だ。
破壊衝動、演劇性、そして――」
「強烈な“相互因果”」
ジョーカーが藤丸兄妹を見る。
「君たち、ヒーローごっこをしてるんだろ?」
兄ぐだは真っ直ぐに返す。
「人理を守る。それが俺たちの役目だ」
ジョーカーの笑みが深くなる。
「へぇ。
じゃあ聞こうか。」
一歩、前へ。
「君は英雄かい?
それとも、世界公認の殺し屋かい?」
召喚室の空気が凍る。
マシュが藤丸の前に立つ。
「先輩は――」
ジョーカーは遮る。
「いいや、盾の女の子。
これは彼の物語だ」
そして、囁くように。
「君たちは、どれだけの“英雄”を殺す?」
沈黙。
霊子安定。
契約は成立している。
だが。
ダ・ヴィンチが小さく言う。
「これは……人理の修復者じゃない」
ロマニが呟く。
「人理の……試験官だ」
ジョーカーはくるりと踵を返す。
「ま、いいさ。
退屈しなければ、しばらく遊んであげよう」
振り向きざまに。
「彼は呼ばないのかい?
俺の“バットマン”を。」
カルデアは、完全沈黙した。