完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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友情トレーニング発生!

 

 幼稚園でやることは前世とあまり変わらないなぁと思っていたら、内容はしっかりウマ娘の子供用にカスタマイズされていた。

 

 お絵描き。かけっこ。おやつ。お遊戯(ダンス)とおうたの練習。おやつ。マラソン。お昼ごはん、お昼寝。自由遊び。おやつ。

 

 おやつの回数が多いんじゃないかと思うけど、ウマ娘だとこれが適正回数だったりする。なんだか燃費が悪いんだよね、ウマ娘の身体って。胃の容量が小さいうちは複数回に分けて少しずつ(ウマ娘基準)食べさせるのが普通の育て方らしい。

 後はやっぱりウマ娘だからというべきか、園児たちと一緒に走らされる回数が多い。まだ幼稚園なのに1000mとか普通に走らされたりする。みんな5分ちょっとで走り切ってるけど。

 

 そんなウマ娘の子供たちの中で、ルビーはと言えば。

 

――入園2日目のマラソンで、最後尾(ビリ)になっていた。

 

 

「…ふ、ふんっ!今日はたまたま調子が悪かっただけよ!!」

 

 ルビーと一緒に昼ごはんを食べながらお話をする。

 強がっているけど、私はルビーがビリになってしまった理由を知っている。

 前世のルビーも幼稚園のダンスの練習を始めた頃は全く踊れていなかった。このルビーが前世のルビーと同じ存在なのだとしたら、きっと運動音痴の理由も前世と同じ理由なのだろう。

 

「ルビーって転ぶのを怖がってるからスピードが出せないんだよね。まずは恐怖心を克服しないと」

「他人事だと思って、知った風な口利いちゃって…」

「他人事じゃないよ」

 

 私はルビーの真正面から瞳をずい、と近づいて覗き込む。

 

「私の夢はルビーと一緒にウイニングライブをすること。ルビーが上手く走れなかったら私の夢も叶わないんだよ」

「………っ」

「この想いは、嘘じゃない」

 

 私の真剣な眼差しを見てルビーは息を飲み込み、そしてバツが悪そうに目を背ける。

 私はルビーが目を背けた側に移動して、更にルビーを覗き込んだ。

 

「大丈夫、ルビーなら出来るって私は分かってる。私はルビーが頑張っているところ、ずっと見て来たんだから」

「…ママみたいなこと言わないでよ」

 

 私、ルビーのママだったんだけどなぁ。

 

「じゃあそういうわけで、まずはダンスの練習から始めよっか?」

「へっ?」

 

 

 

 ごはんを食べ終わってお昼寝をした後、私とルビーは自由遊び時間を使ってダンスの練習を始めた。

 走る練習をするより前に、まずはルビーの恐怖心を克服させるのが先だ。これなら前世でやったことをもう一度すればいいだけだから私だけでも出来る。

 

「それよりなんでアンタまでいるのよ」

「1人より2人、2人より3人のほうが練習の効果が上がる。いわゆる友情トレーニングってやつさ」

 

 何故かクロノちゃんまでルビーの特訓に加わっていた。

 友情トレーニングかぁ。いい響きの言葉だね。私って前世だと友達と言える人は「彼」しかいなかったから憧れるなぁ。

 

 

――私は貴方を愛せない。

 

 

 「彼」のことを思い出した瞬間、私の心にざりっと砂を噛むようななんとも言えない不快な感触が広がってきた。

 いけない、ルビーの練習に集中しないと。

 

 

 そして特訓が始まった。

 

 ルビーが知っている歌とダンスはないかと聞いたら「彩 Phantasia」しか覚えてないというので選曲はそれに決めた。

 うん、カワカミプリンセスさんが1着を取ったオークスと秋華賞のウイニングライブで踊る曲だからね。そりゃ覚えるよね。パンドラお母さんもその隣で踊っていたから私もソラで歌えるし、踊れる。

 というわけで、ルビーをセンターに立たせて私が2着のポジションに移動。クロノちゃんは3着のポジションだ。

 カワカミプリンセスさんとパンドラお母さんの立ち位置をそれぞれ選んだという理由もあるが、一番の理由はルビーが転びそうになったときにすぐ支えられるように準備するためだ。「彩 Phantasia」は最初の振り付けにターンをする演出が入っているので、そこを越えるのが第一目標だ。

 

 よたよた。あたわた。

 

「…あっ」

 

 ターンに失敗してステンと転びそうになったルビーをクロノちゃんと二人がかりで支える。

 

「転ぶのを恐れたらもっと転んじゃうものなんだよ。もっと堂々と、胸を張って立つの。

 大丈夫だよ。私を信じて」

「私もいることも忘れないで欲しいね」

 

 クロノちゃんと一緒にルビーを励ます。

 私たちのダンスの練習は、自由遊びの時間が終わってもずっと続けていた。

 

 

 

 

 

「根性!ですわぁ!!!」

「ま、なんとかなるっしょー☆」

 

 幼稚園の下校時間になって迎えに来てくれたカワカミプリンセスさんとパンドラお母さんもルビーの特訓に加わり、私達の特訓をずっと見守っていてくれた保母さんの5人でダンスの練習をする。

 

「んおおお!友情トレーニング5人で島トレ!これは滾る!!捗るねぇ!!!」

 

 なんかクロノちゃんが興奮してわけのわからないことを叫びながらダンスを踊っているけど、もしかしたらダンスのし過ぎで脳が酸欠になってお空の向こう側にトリップしてるのかもしれない。頭は大丈夫なのだろうか。お医者さんを呼んだほうがいいのかな?

 

「あははは!楽しい!嬉しい!私も踊っていいんだ!!!」

 最初はおっかなびっくりな様子でたどたどしく踊っていたルビーだったが、今ではすっかり身体を動かすことに慣れて元気に踊っていた。

 まだまだ動きはぎこちないけど、恐怖よりも喜びが勝っている状態ならすぐに踊れるようになるだろう。

 

 よかった。ルビーはもう大丈夫そうだ。

 

 

 

―――――――――――――――――

豆知識④

『友情トレーニング5人で島トレ』の説明について

 

 アプリ版ウマ娘では「トレーニング」を行う場合、「スピード」「スタミナ」「パワー」「根性」「賢さ」の中から練習内容を選んで実行することでウマ娘の各ステータスをアップさせることが出来るが、「無人島へようこそ」シナリオで入手出来る「島トレ券」を使うことで通常は1ターンに1種類しか選べない練習内容を5種類すべて選択して実行することが出来る。

 ウマ娘のステータスをカンストさせるには各練習の友情トレーニングが3人(3種類)以上発生する状況で島トレ券を使用し続けるのが重要となるが、友情トレーニングが発生する練習はターン開始時にランダムでセットされるので友情トレーニング参加人数が4~5人同時発生する状況が何度も続けばかなり射幸心が煽られて気持ち良い。作中のクロノジェネシスのようにアヘってしまうのも無理はないだろう。

クロノジェネシスがアプリ版ウマ娘のことを知っているのは、実は前作から繋がる伏線。中身またお前かよ

 

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