完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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私というものがありながらアイと浮気するなんて!!!

「ちゃんと反省していますか?」

「はい…」

 

 「私はトレセン学園の中で交通事故を起こしました」と書かれた看板を首からぶら下げたルビーが正座させられてたづなさんに説教を受けている。

 

「人間は貴方たちウマ娘と違って頑丈じゃないから同級生とじゃれ合う感じで飛び掛かったらダメなんです。手加減しないと」

「でもゴールドシップはGIレースに勝つたびにトレーナーにドロップキックしてたよね?」

「アイさんは例外中の例外持ち出して話をややこしくしないでください。ゴールドシップさんの真似をしたらゴールドシップさんになってしまいますよ?」

 

 人間に容赦がないウマ娘の例を挙げてツッコんだらたづなさんに怒られてしまった。あ、でも「ゴールドシップさんになってしまう」という表現はなんだか面白くて気に入った。もし使う機会が来たらクロノちゃんに言ってあげよう。

 

 ルビーのアメフトタックルを食らったお医者さんはなんとか無事だった。ルビーがまだ本格化を迎えていなかったおかげで自動車ではなく自転車で轢かれた程度の軽傷で済んだ。よかったよかった。

 

(※自転車との事故でも普通に大怪我します。良いウマ娘はマネしないでください)

 

「…へへ」

 たづなさんに怒られているのに、ルビーの様子はなんだか嬉しそうだった。

 

「せんせーより私のほうが頑丈って言われるなんて、なんか変な感じ」

「ルビーはこの先生(せんせ)と知り合いなの?」

 

 お医者さんの先生のことを嬉しそうに話すルビーを見て、私はなんだかモヤっとした感情を抱えていた。

 なんだろう、この感触。喉に刺さった魚の小骨というか、歯に挟まった野菜の繊維というか。このお医者さんとどこで会ったのか思い出せなくて実にもどかしい。

 

「うん…昔、ちょっとね」

 ルビーまで何か歯に挟まったような言い方をしてくる。いつもハキハキとしているルビーらしくない、何だか誤魔化したいことがある感じの雰囲気がした。

 

「アイ…君もルビーのように、()()()()を覚えているのかい?」

 今度はお医者さんの先生が私に尋ねてくる。あれ?もしかしてこの人私のこと知ってるのかな?やっぱりどこかで会ったことがあるんだ。

 

「ごめん、せんせのことはなんか思い出せない。昔どっかで会ったことはうっすらと覚えているんだけどね」

 

 私の返答は先生が期待していた答えではなかったようで、彼は何とも言えない複雑な表情を浮かべながら首を傾げていた。

 先生は何を言うべきか少し考えた後、

 

「…君とは宮崎県の病院で会ってるよ。()()()()

 

 まるで答え合わせをするかのように、彼は前世の私の名前を呼びながら私と出会った場所を言った。

 

「宮崎県の病院…?」

 

 

――星野アイ。僕が産ませる。安全に元気な子供を。

 

 

 その時私の脳裏にルビーとアクアを産んだ小山の上にある病院で過ごした光景が思い浮かんだ。

 

「あ!もしかして私が妊娠したときに診察してくれた産婦人科のせんせ!!?うわぁあなたまでこっちに来てたんだ!!!」

 

「ええぇ工エエェェ( ;゚Д゚)ェェエエ工ッ!!!?」

「ちょっとアイさん!?妊娠してたなんて初耳ですよ!!」

 

 私の言葉を聞いたルビーとたづなさんが立ち上がって大声を上げる。

 あ、失敗した。私が前世の記憶があるってことを誰も知らないんだった。

 

 ん?それならなんで先生は私と前世で会ったことを覚えていたんだろう?

 ルビーと社長は私のことを覚えていなかったのに、妊娠した私の診察をしてくれたぐらいしか面識のない先生は私のことをちゃんと覚えている。なんだか不思議だ。どういう基準なんだろうこれ。

 クロノちゃんが私のことを知っていたのはあまり気にならない。あの子は不思議ちゃん枠なので何やってても「まあクロノちゃんだし?」って感じになる。わかりやすく言うとゴールドシップと同じ枠組みなんだよねクロノちゃんって。髪の毛の色も似ているし。

 なんだかクロノちゃんが半泣きで抗議してくるイメージが頭の中に浮かんだが私は無視した。

 

「ちょっとせんせー!私というものがありながらいつの間にアイを孕ませてたの!!?サイテー!!!」

「誤解だ誤解!!つかアイの歳を考えろ普通に無理だ!!!」

 

 なんだか私の言葉をきっかけにルビーと先生の間で修羅場が発生していた。

 ああ、なんか平和だなぁ。

 

 

 紆余曲折はあったものの、ルビーと先生は和解した。

 浮気疑惑が発覚してからなんだかルビーのほうが被害者のように振る舞っていたが、まあ些細なことだ。こういうのなんて言うんだっけ?NTR?WSS?

 ルビーは先生(せんせ)の腕に強引に組みついて一緒に歩いているが、恋人っぽいことがしたいというよりはなんか防衛本能で行動しているような感じがする。

 ウマ娘のパワーで腕に抱き着かれた先生は心情的にも腕力的にもルビーを引き離すことは出来ずになんだか諦めたような、でもまんざらでもないような表情でルビーの好きなようにさせていた。青春だなぁ。

 

 ルビーには「別に誰も取ったりしないから安心して」と言ってあげたかったが、1月から3月の間はトレセン学園の卒業シーズンなので油断は禁物だ。

 この季節は多くの男性トレーナーがウマ娘にうまぴょいされている。学園側もGIレースに勝ったウマ娘に功労賞として温泉旅行ペアチケットを配ったりしているのでウマ娘たちの暴走を止める気はなさそうだ。

 

 なのでルビーは「不純異性交遊したらお前卒業(クビ)な?」という拘束具(ルール)から解き放たれた汎用人型走行生物であるウマ娘たちがビーストモードにチェンジして先生が捕食される事態が起こらないように注意しないといけない。

 頑張れルビー、恋は戦争だ。恋の季節というよりは狩りの季節って感じだけど。発情(フケ)たウマ娘なんて冬眠前のクマみたいなものだ。なんでも食べるし危険が危ない。

 

(※個人差があります)

 

 

 まあ、そういうわけで。

 

 このイカれた野獣(ウマ娘)巣窟(がくえん)にようこそ、先生。

 歓迎するよ。盛大にね。

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