完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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デデーン!ゴルシとクロノジェネシス、アウトー

 ウェルカムレースの結果はゴールドシップさん1着、ステイゴールドさん2着という結果に終わった。

 

 ゴールドシップさんの進路妨害とステイゴールドさんの途中乱入に対して異議申し立てをすれば順位の繰り下げが発生するかもしれないが、「お?じゃあもう1レースするか?」と言われたら藪蛇になるので誰も指摘しなかった。

 そういうことを1番言いそうなクロノちゃんもじっと黙っているので「触らぬゴルシに祟りなし」とか考えてるんだろう。

 

 炎上系の悪ふざけが出来ないゴールドシップさんだが、クロノちゃんが関わるとどうもその辺りのタガが緩んでいる感じがする。ていうか、ウェルカムレースのために後輩たちを誘拐するのは炎上系の悪ふざけのうちに入らないのだろうか。ゴールドシップさんの判断基準が謎だ。

 その辺をゴールドシップさんに聞いても「将来有望な新人をスカウトしただけだぜ!物理的にな!!」とか屁理屈が返ってきそうな気がしたので私は深く考えるのをやめた。あるいは私たちを「身内」だと判定してイタズラのハードルが下がって甘えているのだとすれば、そこまで悪い気はしない。

 

「やい金色オヤジ!よくも私のお尻を蹴っ飛ばしてくれたなぁ!!危うくお尻が米の字に八分割されて上下左右に開く形になるところだったじゃないか!!!」

 

 そんなことを考えている私の目の前で、レースの最後にお尻を蹴とばされたゴールドシップさんがステイゴールドさんに文句を言っていた。

 というかゴールドシップさんの語彙が無駄に豊富で困る。お尻が八分割でくぱぁと開くところを想像してしまってすごくキモかった。ゴールドシップさんはお尻に寄生獣でも飼っているのだろうか。彼女ならワンチャンありえそうでちょっと怖い。

 

「よく言うよ。衝突の瞬間に自分からジャンプして衝撃をすべて推進力に変えていたくせに」

「おう!消力(シャオリー)を会得してなかったら即死だったぜ!やっぱり持つべきものは中国4000年の武術を極めた拳法家の友人だな!!」

 

 もはやどこからツッコんでいいのかわからないゴールドシップさんとステイゴールドさんの会話をぼんやりとしながら聞き流していると、今度はステイゴールドさんの視線がこちらに向いた。

 

「済まなかったね。つい出来心で君たちのレースを邪魔してしまった」

「いえ、偉大な先輩と一緒にレース出来て光栄でした」

 

 ウェルカムレースに乱入したことを謝罪するステイゴールドさんに対してクロノちゃんがいち早く反応し、私たちを代表して返事をする。ゴールドシップさんを相手にしているときとは打って変わって生真面目な対応だった。猫を被りすぎて着ぐるみ状態になっているんじゃないかな、今のクロノちゃん。

 

「ふむ…?もしかして君も私の『同類』かな?」

「はい。『あちらの世界のクロノジェネシス』に名前負けしないように努力してます」

「…はは、そうか。だが『あちらの世界の自分』に憧れを抱くのはいいけど、別に気負う必要はないと思うよ?旅の行き先は自分で決めるべきだ」

 

 なんだかクロノちゃんとステイゴールドさんが難しそうな会話をしている。むう、会話に混ざれないのはなんか疎外感があるんですけど。

 あとクロノちゃんはステイゴールドさんの同類ではなくゴールドシップさんの同類だと思う。これ言ったらクロノちゃんが泣くので黙っているけどね。

 

「良き勝負であった。約束通り褒美を取らせよう」

 そこにオルお姉さん(オルフェーヴル)ジャニーお姉さん(ドリームジャーニー)ニット帽のウマ娘(ナカヤマフェスタ)がこちらにやってきて、レース前に宣言していた通り全員でLANEの連絡先を交換する。本日唯一の収穫にして、最高の報酬だ。

 後はみんなで記念撮影でもして解散…と思っていたら、

 

 

「確保ぉおおおおおおおおお!!!!!」

 なんか警察官の帽子を被ったウマ娘が、ゴールドシップに飛び掛かってきた。

 

 

 

「うおっ!?マメちん、相変わらず熱烈なハグだな!フッ、ゴルシちゃんも罪な女だぜ…」

「オープンキャンパスにやってきた生徒を誘拐しているのはあなたですかぁあああああ!!!!!」

 

 マメちん?さんが額に血管をピキピキ浮かばせながらゴールドシップさんを地面に押さえつけて、叫ぶ。

 どうやら彼女はイタズラ常習犯のゴールドシップさんを逮捕しに来たらしい。なんというか、雰囲気からして苦労人ポジションという感じがひしひしと伝わってくる。将来ハゲないか今から心配だ。

 

「とにかく!あなたはオープンキャンパスが終了するまで反省室送りです!!」

「あーん、ゴルシちゃんマメちんにドナドナされちゃーう」

「反省室じゃなくて食肉加工場に送ってあげましょうか!!?」

 

 マメちんさんは手慣れた様子でゴールドシップさんに腰縄を括り付けて連行しようとする。流石に手錠までは準備出来なかったみたいだが、マメちんさんはウマ娘の中でも長身のゴールドシップさんとほぼ同じぐらいの背丈があったのでゴールドシップさんが暴れてもそう簡単に力負けはしなさそうだ。

 

「とりあえず皆さまに謝りなさい」

「コノタビハタイヘンモウシワケアリマセンデシター」

 

 ゴールドシップさんは機械音声のような抑揚のない声色で謝罪文を読み上げ、素早く帽子を90度横に回転させて帽子を回転させた方向とは逆方向に顔を横に向けた状態で土下座をする。

 そうするとあら不思議、顔はそっぽを向いているのに帽子を見る限りゴールドシップさんは平伏しているように見えるのである。

 どっかの戦国武将かな?

 

「よく見たら頭下げてない!帽子をズラしてるぞー!!!」

「ピスピス☆スピスピゴルシちゃん7巻発売中!!!みんな買ってね!!!」

「どさくさに紛れて自分の著書を宣伝するなぁ!!!!」

「ぐえっ!!!?」

 

 ゴルシさんの見事な傾きっぷりに思わずクロノちゃんがツッコみ、マメちんさんは反省の色の見えないゴールドシップさんにゲンコツを叩きこんだ。

 なんで殴った側のウマ娘のほうが泣きそうな顔してるんだろう。

 

「ほら!キリキリ歩きなさい!!」

「ワンワン!クゥ~ン」

 ゴールドシップさんを反省させることを諦めたマメちんさんは疲れた表情をしながらゴールドシップさんを縛った腰紐を引っ張り、ゴールドシップさんはその後ろを四つん這いで歩いていく。

 私はマメちんさんの心の毛根がごっそりと抜け落ちるのを幻視した。なんというか、うん、「強く生きてね」としかかける言葉が思いつかない。

 

「ところでゴールドシップさん、なんで私たちをレースの相手に選んだんですか?」

 犬の散歩のような格好で連行されていくゴールドシップさんに向かって()アちゃんが問いかける。

 

「ん?それはクロノから聞いたんだよ。クロノの世代で天辺まで上がってきそうなウマ娘はどんな奴がいるのかってね」

 事もなげにゴールドシップさんがその言葉を言った瞬間、全員の視線がクロノちゃんに集中した。

 

「う、嘘だッ!!!?」

「インディアン、嘘つかない。ヨガファイヤー」

「お前はインディアンじゃねぇだろおおおお!!あとインド人は火を吹かないし手足も伸びないしテレポートもしないしそもそもインディアンはアメリカ大陸原住民だぁ!!!!」

 

 クロノちゃんが必死に自分の無実を訴えるが、残念ながらそれを信じる人はこの場に誰もいなかった。

 すごいよね、この短い付き合いで他のみんなに「クロノちゃんはゴールドシップさん(タイプ)のウマ娘」だと思われているんだから。毛の色が葦毛なのも悪いのかもしれない。

 ルビーがクロノちゃんの肩に手を置いて、瞼を閉じて首を横に振る。そしてゴールドシップさんがどこから取り出したのか私にスポーツチャンバラ用のウレタンソードを手渡してきた。

 私にこの手を汚せというのか。

 

 私はクロノちゃんに視線を向ける。

 無言で私に訴えかけるクロノちゃんの目は「押すなよ!絶対に押すなよ!?フリじゃないからな!!?」と私に語り掛けていた。

 

 私は嗜虐心(よくぼう)に負けた。

 

 

「クロノちゃん、アウトー」

 

 

 すぱーん!!!!!

 

 

「あいたぁあああああ!!!!!」

 クロノちゃんの悲鳴がグラウンドに響き渡った。

 

 

―――――――――――――――――

 

 登場人物紹介⑰

 マメちん(フェノーメノ)

 

 スリーサイズはB81W59H82(原作通り)

 

 ステゴ一族の唯一の良心。ほとんど原作と役割が変わっていない。

 「マメちん」の名前の由来はフェノーメノの幼名…ではなく、小学生のときにつけられたあだ名の「黒豆ちゃん」が変化してゴルシから「マメちん」と呼ばれるようになったから(という設定)。

 

 ちなみにアイやルビーは生まれたときに親から登録名を名付けられているが、ウマ娘に登録名とは別に幼名を名付ける風習はこの世界の現代でもまだ残っている。

 「シャインツリー(カミキヒカル)」の幼名も「ヒカル」である。

 

 入学したばかりなのに妙にゴールドシップと仲のいいアーモンドアイやホシノルビー、そして妙にゴールドシップと相性のいいクロノジェネシスに警戒心を抱いている。

 ゴールドシップが二人になったら胃が4つぐらいないと足りないよ!!!

 

 

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