完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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完璧で究極のアイドルがウマ娘に転生しました。

 

 ここまでのあらすじ。

 アイドルをやっていた私は、突然自宅のマンションにやってきたリョースケ君に刺されてどうやらお亡くなりになってしまったらしい。

 話すと長いので要約すると、男の子と仲良くなって、セックスして、子供が出来て、彼から逃げたら彼の友人に殺された。

 

(要約し過ぎでは?)

 

 うんまあそれはそうだけど。私の前の人生なんてそのぐらいの説明で十分だろう。だいたい合ってるし。

 そんなわけで、私は死んだんだけど。

 

 

 目覚めれば、ファンタジーな世界に居た。

 

 

 

「いいこでちゅね~、アイちゃ~ん♡」

 

 いつの間にか私は赤ちゃんになっていて、新しいお母さんに抱かれてあやされている。

 

 新しいお母さんの名前はフサイチパンドラ。

 そして、お母さんが私につけた名前は「アーモンドアイ」。略してアイ。

 

 偶然にも、私は前世と同じ名前をつけられてしまった。

 

 今、私はフサイチパンドラの娘として生きている。どうして前世の記憶を持ったまま生まれたのかと聞かれても困るけど。

 そうそう、困ったことはと言えば、不可解な点が一つ。

 

 

 私のお母さんには、ウマの耳が生えている。

 ついでに尻尾も生えている。

 

 

 先ほど言った通り私は最初はファンタジー世界の赤ちゃんとして生まれ変わったのかと思っていたのだが、自宅に生活家電がいっぱい置いてあるのを見てその考えを改めた。根っからの現代人であるひ弱な私が文明の利器がないファンタジー世界に放り出されたらいつかどこかで野垂れ死にしていると思うので、少し安心した。

 

 新しく生まれた世界の文明レベルが前世と比べて下がってないことにほっとする私だったが、悩みの種はもう一点ある。

 お母さんにウマ耳とウマしっぽが生えているということは、私にもウマ耳とウマしっぽが生えているということで。

 

 私の新しい人生は、ウマ耳ウマしっぽを備えた人種…「ウマ娘」として生きることになった。

 

 

 

 私のお母さん、フサイチパンドラはめちゃくちゃ美人だ。

 足は長いし、おっぱいは大きい。甘ったるい特徴的な喋り方は人によって好き嫌いが別れるかもしれないが、アイドルとしても余裕で通用するレベルのビジュアルとスタイルだ。というか、実際にアイドルみたいなことをやっていた。

 といってもこの世界のアイドル業界は私の前世のアイドル業界と少し…いやかなり違う。

 

 まず一点。私とお母さんの人種である「ウマ娘」は、成長するとだいたい美人に育つ。お母さんだけが特別というわけじゃなかった。

 そしてウマ娘は日本の人口の1%ほどいるらしい。…えっと、130万人ぐらい?

 そのうちアイドルをやれるであろう年齢のウマ娘が1割から2割ぐらいだと考えて、だいたい20万人。前世の日本の女性アイドルの総数は1万人ぐらいだと小耳に挟んだことがあるけど、それと比べればこの世界でいますぐアイドルデビューできる美貌を持つ女の子の数は20倍だ。ちょっとウマ娘の数が多すぎる。

 実際ウマ娘じゃない普通の女の子は歌手やアーティストとしてテレビに出てる人はいても、アイドルグループとして活動している人たちは全員ウマ娘に絶滅させられていた。その点ではウマ娘として産んでくれたお母さんに本当に感謝している。ありがとう、愛してる。

 

 そしてその20万人のウマ娘の中から、実際にアイドルとしてデビューするにはどうすればいいか?

 歌手として歌唱力を上げる?ダンサーとしてダンスを上達させる?女優として演技力を鍛える?それともトーク力で勝負?

 

 全部、間違いだ。

 ウマ娘に求められるものはただ一つ。

 

 

 ほかのウマ娘より、早く走れること。ただ、それだけ。

 

 

 

 つまり、私がこの世界でもアイドルとしてやっていこうと思ったらトップアスリートとして君臨しなければいけないということだ。

 …前途多難だなぁ。

 

 

 

 ウマ娘のアスリートとしての全盛期は14歳ぐらいから17歳ぐらいまでの間で、頑張れば18歳でも走れるかなっていった感じらしい。

 つまり高校を卒業するころにはアイドルウマ娘としての定年退職が待っている。それ以降もアイドルウマ娘を続けていこうとすると、本当にトップクラスの人しか出来ないという話だ。

 日本各地にはウマ娘の教育機関である「トレセン学園」がいくつもあるが、日本全体で毎年7000人以上ものウマ娘が進学している。そのうち3分の1は一度もレースに勝てず、レースに勝ったウマ娘のバックダンサーをやらされ続けて最後には中途退学する厳しい現実が待っている。トレセン学園卒業後もアイドルウマ娘を続けていけるのは300人に一人というレベルの過酷な世界らしい。

 ルックスでは勝利が約束されているウマ娘の人生も、中々大変のようだ。

 

「アイちゃん、アタシはGIレースに勝ったことのあるすっっっっごいウマ娘なんだよ~~」

 

 パンドラお母さんが私に自慢してくる。

 私はGIレースってのがどれだけ凄いのかよくわからなかったけど、お母さんは何が凄いのかわかってない私にGIレースに勝利した後の記念ライブ…「ウイニングライブ」の映像を見せてくれた。

 

 圧巻だった。

 

 3万人の観客が集まったライブ会場で、16人のウマ娘のセンターで歌って。その後にソロライブ。

 私が出来なかったドームライブに匹敵する大規模ライブをお母さんはやりきっていた。すごい。GI勝利ウマ娘すごい。

 

「アタシ、こう見えても現役時代に3億6000万円ほど稼いでますし?ホントーに上位一握りのウマ娘なんだからね!?」

 

 お母さんはなんだか言い訳するような言い方で私に説明してくる。ライブの映像は見せてくれるがレースの映像は見せてくれないのと何か関係があるのだろうか。私もレースはあまり興味がないので別に構わないけど。

 私のお母さんは16歳でレースを引退して18歳で私を産んでいるが、たったの3年で3億6000万円を稼いだというのは本当に凄い。私もB小町でアイドルやっていたけど、死ぬ直前の1年間は年収5000万円を超えていたけど通算で考えれば一億も稼げていなかった。

 つまり私のお母さんは、私の4倍ぐらい凄い。物凄くすごい。語彙が死ぬぐらいに凄い。

 

「アイちゃんは絶対才能あるよ!この子、くーちゃん(ラインクラフト)センパイみたいに目、キラッキラだし!!アイちゃんなら絶対トリプルティアラ取れるって!!」

 

 そんなお母さんが、私のことをベタ褒めしてくる。

 アイドルとして成功するだけなら前世でやったことをもう一度すればなんとかなるかもしれないけど、速く走れるかどうかは全くの未知数だ。そこはお母さんの遺伝子に賭けるしかない。

 

 そんな感じで、私の赤ちゃん時代は過ぎ去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 登場人物紹介①

 

 アーモンドアイ(星野アイ)

 スリーサイズはB86W57H81(15歳時点でのサイズ)

 

 前世では「完璧で究極のアイドル」と呼ばれた人気アイドルだったが、ドームライブを目前にして菅野良介に刺殺される。

 そして次に目覚めると何故かウマ娘に転生していた。

 前世のアイドル活動で収得した「自分を可愛く見せるテクニック」は今世でも有効で、ファンからは「ウイニングライブガチ勢」と呼ばれることになる。

 

 母親以上の才能に加えて目標のために努力を欠かさないストイックさを持っているが、彼女にとってレースとは「ライブに出るための手段」でありいまいち熱意にかけるのが欠点。ある意味では母親によく似た娘であった。

 彼女が「何がなんでも1着を取る」という執念さえ持てれば彼女に敵うものはいないだろう。

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