完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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クロノちゃんパンツ強奪事件

 ヒカルと同棲するようになってから数週間が経った。

 えっ、同棲じゃなくて同居?どっちでもいいじゃんだいたい合ってるし。

 ちなみにヒカルとえっちな行為はまだしてない。

 

 不純()性交遊は学園から黙認されているとはいえ私が無理矢理襲ったら犯罪になってしまうし、そもそもヒカルは前世で「そういう目」に遭ってきた子だから配慮は必要だ。

 まあ前世では一度した後はお猿さんのように求めてくるようになったから心配のし過ぎかもしれないけど。

 

 私の経験から得た結論から言うと、セックスは愛ではなかった。

 私の場合はヒカルとセックスした結果アクアとルビーを授かったので恩恵はあったのだが、「(ヒカル)とはアクアとルビーが15歳になった後にやり直そう」などと悠長なことを考えている間に私は殺されてしまったので、ヒカルにはマイナスの結果しか残らなかった。

 なのでヒカルにとってセックスとは「芸能界の闇」、もっと簡単に言えば「他者から奪うための行為」として確定してしまった。

 

 ぶっちゃけお菓子やお酒と同じ嗜好品の部類なんじゃないかな、セックスって。

 ないならないで、割となんとかなる。

 そこに「愛のないセックスは恥ずべき行為だ」という倫理観やら経済的問題やらが後付けで加わったことで色々と複雑になったんだと思う。

 

 まあ、これはもう済んだ話なので今更悩むだけ無駄だ。難しい話は置いといて、慌てず急がずもう一度ゆっくりとヒカルとの愛を育てていこう。

 今度は絶対、間違えない。

 

 という感じでこの数週間は何事もなく穏やかで平和な日々をヒカルと一緒に過ごした…

 とはいかなかった。

 

 私たちが品性方正に生きていてもトラブルは向こうからやってくるものだ。そして平和に生きる私たちの日常にトラブルを運んできたのはクロノちゃんでもゴールドシップさんでもなく、なんとキタサンブラックだった。

 

 普段の彼女は困った人を見つけたら助けずにはいられない善人の鑑みたいな人なのだが、特定のウマ娘に近づくと何故か不思議な力が働いてセクハラをしてしまうという厄介な体質を持っていた。

 そのキタさんの「ドジっ子属性」という概念を超越したラッキースケベ体質はクロノちゃんにのみ発動するものだと思っていたのだが、普通に私にも発動した。移動中にキタさんとすれ違いそうになると彼女は何もないところで私を巻き込んで転び、どさくさに紛れて私のおっぱいやお尻を揉んでくる。

 無意識にやってくるところがネコが悪い。じゃなくてタチが悪い。

 女の子に触られても減るものじゃないので私はあまり気にしてないけど、キタさんはスキャンダルになる前にその体質をなんとかしたほうがいいと思う。

 

 無理かなぁ?

 無理だなぁ。

 

 クロノちゃんやゴールドシップさんがおふざけをせずに生きられないように、キタさんもセクハラをしないと生きていけない悲しみを背負ったウマ娘なのだろう。そのうち流れる水のような滑らかな動きでセクハラをしてくるようになるのかもしれない。

 

 まあそんな感じで元気に女の子にセクハラしまくっていたキタさんだったが。

 割ととんでもないことをクロノちゃん相手にしでかしていた。

 

 

「ふーん、クロノちゃんはラブちゃんと同室になったんだ」

「ああ、楽しくやってるよ。そっちはどうだい?」

「私のところにはヒカルが来たよ。もはやこれは運命だね」

「…今度はちゃんと愛してやりなよ?」

「言われなくとも」

 

 私はクロノちゃんとおしゃべりしながらトレセン学園の練習場に向かって歩いていた。

 トレセン学園に進学したクロノちゃんは栗東寮で暮らすことを選び、そこで同室になった相手は去年のウェルカムレースで一緒に走ったラブちゃんらしい。世間は狭いね。

 

 トレセン学園の更衣室は練習場の近くにある。そこでジャージ姿に着替えて荷物はチームの部室に置いてくるのがこの学園の常識だ。更衣室に荷物を置くのはトレーナーの決まっていない学生だけである。

 ちなみにチームで使っている部室はそのままトレーナー室になっているので、面倒くさがって部室で着替えるとトレーナーとのえっちなハプニングが発生する。なおそれを狙ってやる子もいるらしい。肉食系ウマ娘こわい。

 

 

 私たちは右手側が階段付きの急斜面になっている道をてくてくと歩く。

 こういう高低差のある道の下側をクロノちゃんと一緒に歩くとだいたい上からキタさんが降ってくるんだよなぁ。

 

 そんなことを考えながら、坂の上に目を向けると。

 

 

「わぁああああ~~~~~!!!!」

 

 

 本当にいた。

 

 しかももうこちらに向かってダイブしている途中だ。

 その上クロノちゃんではなく私に激突するコースだった。

 

 

 回避――不可。

 激突――社会的死。

 

 

 考えるより先に、反射的に私が咄嗟に取った行動は。

 

 ぐい。

 

 

 

「えっ」

 

 クロノちゃんを、(みがわり)にすることだった。

 

 

「きゃあっ!」

「ぐえっ!?」

「むぎゅうっ!!?」

 

 当然小さなクロノちゃんの身体では重力加速度を味方につけたキタさんのフライングボディプレスを受け止めることは出来ず、後ろにいた私ごと押しつぶす。

 私の悪事の報いは即決の割り増し価格で支払われた。判断が早いよ神様。

 

 

 

「ご、ごめんなさぁい……」

「いたたた…」

「もう大分慣れてきた気がする」

 

 もはや聞き飽きるほどに聞いてきたキタさんの謝罪の言葉をそっけない態度で聞き流しながら、キタさんとクロノちゃんの二人の様子を見る。

 私がクッションになったおかげで2人とも怪我はしていないようだ。

 け、計算通り!

 

 ほどなくして、私とクロノちゃんを下敷きにしていたキタさんが立ち上がる。

 

 

 

 …その手に女子用のパンツを握りしめながら。

 

 

 

「「「!!!!?」」」

 

 

 私は咄嗟に自分のスカートに手を入れて確かめる。

 よかった、はいてる。

 

 ということは。

 

 

 私がクロノちゃんに目を向けると、同じように自分のスカートの中身を確認して涙目でぷるぷるしているクロノちゃんの姿があった。

 

 

 えぇ…

 クロノちゃん、あの1秒にも満たない激突の瞬間にキタさんにパンツを盗まれたの……?

 

 

 衝突の瞬間にスカートの中に手を差し込んでパンツを掴み、体当たりを食らったクロノちゃんが転ぶのに合わせて両足からパンツを抜き取る。

 ターゲットになったクロノちゃんですら自分のはいてるパンツを盗まれたことに気づかないほどの神業だった。

 

 キタさんの盗賊の極意のようなパンツ抜き取りテクニックを見て私の背筋に冷たいものが走った。

 こ…これがGI勝利ウマ娘の実力……!?怖すぎる……!!!

 

 

「きゃあああ!!なんでぇ!!!?」

 

 遅ればせながらキタさんは自分がクロノちゃんのパンツを握りしめていることに気づいて悲鳴を上げる。

 えっ!?今の本当に無意識のうちの行動だったの!!?というか私がキタさんにぶつかってたら私がパンツ抜き取られていたの!?怖いよ!!!!?

 

 キタさんは挙動不審(キョド)った様子でパンツとクロノちゃんを交互に確認してしばらくフリーズした後、申し訳なさそうにおずおずとパンツをクロノちゃんに返そうとする。

 かろうじて今の状況を理解したクロノちゃんがパンツを受け取ろうとして手を伸ばしたそのとき。

 

 

「カァー」

 

 キタさんの腕に空から降ってきたカラスが止まった。

 

 

 パク。

 

 

 そしてカラスはキタさんの握っていたクロノちゃんのパンツを咥える。

 

 

 

 そしてバサバサと音を立てて空の向こうに飛び去っていった。

 クロノちゃんのパンツを咥えたまま。

 

 

 そんなカラスの後ろ姿をキタさんとクロノちゃんは呆然とした様子で見送った。

 長年付き添ってきた友人に裏切られたような悲しそうな瞳でカラスを見つめているクロノちゃんの姿がなんだか哀愁を誘う。

 ごめんクロノちゃん、キタさんのラッキースケベがこんな大事に発展するとは思わなかったんだよ…!

 

「と…取り返してきまぁす!!!」

 

 キタさんはそう叫ぶと、カラスの去って行った方向に向かってすごい速さで走っていった。

 後に残されたのはノーパンのクロノちゃんと私の2人だけ。

 …クロノちゃんのフォローを私に任せて逃げられたと気づいたときにはもう手遅れだった。

 

 クロノちゃんが恨めしそうな視線をこちらに向けてくる。やめてクロノちゃんその視線は私に効く。

 ええい、こうなったら覚悟を決めるしかない。

 

 腹を括った私がクロノちゃんにした謝罪とは。

 

 

「あの…とりあえず私のぱんつ、はいていいよ?」

 自分のパンツを脱いで、クロノちゃんに渡すことだった。

 

 

 ……

 ………

 

 

 沈黙が、痛い。

 

 パンツを差し出されたクロノちゃんはなんとも表現しづらい複雑な表情を浮かべた。そんな顔されても反応に困るんだけど。

 

 いたたまれない空気が私たちの間に漂い、無言のまま時間だけが流れていく。

 そのとき。

 

 

「カァー」

 

 私の腕に空から降ってきたカラスが止まった。

 

 

 パク。

 

 

 そしてカラスは私が握っていたパンツを咥える。

 

 

 

 そしてバサバサと音を立てて空の向こうに飛び去っていった。

 私のパンツを咥えたまま。

 

 

 後に残されたのはノーパンのクロノちゃんとノーパンの私の2人だけ。

 冷たい冬の風が私たちの間を吹き抜けて行く。

 スカートの中でノーガード状態になっているお尻がめちゃくちゃ寒かった。

 

「…新しいパンツ、買いに行こっか?」

「うん」

 

 すべてを諦めたような、表情の抜け落ちた顔でクロノちゃんが頷いた。

 

 

 

 ―――――――――――――――――

 

Q:ToL〇veる展開はウマ娘の規約的にアウトじゃね?(再度念押しの確認)

A:This is SFW novel.

 

 

Q:アイに脱ぎたてパンツ渡されたときのクロノジェネシスってどんな表情してたの?

A:「4角周って軸がいない」でググれ。

 

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