完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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トレセン学園の隅っこで愛を叫ぶけだもの

 私たちウマ娘は人間の女性より初経が遅く、閉経が早い。

 だいたい初経が13~15歳頃で、閉経は30~40歳頃に発生する。初経はともかく、人間の女性の閉経は45~55歳ぐらいに発生することを考えるとかなり早い。前世で言われていた「女は30歳を過ぎればババア」という暴言がウマ娘ではただの悪口だと無視できない話になってくる。

 

 ウマ娘は子供を産める期間が人間の女性より短い。

 ということは、ウマ娘は人間の女性より性欲が凝縮されているということだ。

 なおこれは俗説であり、科学的根拠はない。

 

 

「トレーナー!ヤらせろーーーーー!!!!!」

 

 というわけで、うまぴょいしたくても出来ないウマ娘たちがトレセン学園の端っこに集まって有り余る性欲と願望を声にして叫ぶ光景がちょくちょく発生する。

 「王様の耳はロバの耳」の童話よろしく、面と向かって言えないことを叫ぶことでストレス解消を図る催しだ。誰かに対する不満や悪口を叫ぶ子もいるけど、不純異性交遊禁止という校則のせいで上手く発散出来ない性欲をここで解放している子が多い。参加者に紳士協定に基づいた守秘義務があるとは言えども、誰かに聞かれる前提ならせめて共感を覚える話題を選んだほうが気が楽だというのもあるんだと思う。

 

「卒業したらレ〇プしてやるからなー!覚悟しろーーー!!!!」

 

 割と物騒なことを叫んでいる子もいるが、男性トレーナーが教え子のウマ娘にうまぴょいされてしまうのはこの業界ではよくあることなので誰も気にしていない。

 「男性トレーナー()」ではなく「男性トレーナー()」である。学園も卒業した生徒の恋愛にはノータッチどころか積極的に支援する方向であり、学園の経営者は多分これを婚活の一種だと認識しているような気がする。

 なんだか「芸能界の闇」ならぬ「ウマ娘業界の闇」を感じてしまってちょっとだけ引いてしまった。酷い因習だ。

 えっ、因習じゃなくて慣習?どっちでも同じじゃん。

 

 それはさておき、この世界のウマ娘の男性トレーナーがウマ娘と結婚する割合は脅威の150%である。100%を超えているのは1人のトレーナーが別のウマ娘と2回以上結婚した分を加算した数値であり、しかも離婚後に再婚するオーソドックスなパターンはほとんどなくて結婚したウマ娘の姉妹や友達に襲われた後そのまま仲良くシェアされてしまってそのままウマ娘ハーレム送りになる重婚のパターンが多い。

 罠というべきか、ご褒美というべきかは人によって意見が分かれると思う。

 

 まあウマ娘は恋愛にガツガツしたところはあるけど「うまぴょい=結婚」だと思ってるピュアな子ばっかだし、美人揃いだし、おっぱい大きい子多いし、男の人にとっては役得なんじゃないかな?

 

 そんなわけで、男の人がトレーナーになってウマ娘と関わるということはウマ娘に人生を捧げるということと同じ意味なのだ。

 そしてその因習は、男性トレーナーだけに適用されるわけではない。

 例えば若くてイケメンで優しい男性医師なんて、恋に飢えたウマ娘の絶好のターゲットになるだろう。

 誰だってそーする。私だってそーする。

 

「せんせーの浮気者ーーーーー!!!!!」

 

 そして私は学園の暗部であり恥部であるうまぴょいさせろ軍団の中に抑えきれない性欲と嫉妬に神経を苛立たせた知り合いのウマ娘(ルビー)を見つけてしまった。

 雰囲気が怖かったので、とりあえず他人のふりをすることにした。

 

「保健室に来たウマ娘のおっぱい見てデレデレするなーーー!!!むしろ私のおっぱいをもっと見ろーーーー!!!」

 

 どうやら雨宮吾郎(せんせ)はおっぱいの大きいウマ娘が好みのようだ。

 そういうルビーもそこそこおっぱいが大きいウマ娘の部類に入る。ある時期からルビーは必死に豊胸効果のあるトレーニングを繰り返していたので、成長期に入ったことでその努力の成果が現れたのだろう。

 おかげで身体全体の筋肉のバランスが崩れそうになって慌てて社長が矯正していた。

 

「卒業したら!即!襲ってやるーーー!!!!」

 わあルビーまで強姦宣言しちゃってる。

 せんせ、将来ルビーに襲われちゃうんだぁ……

 

 

 

 

「というわけで、せんせは責任取ってルビーと結婚して」

「そう言われてもなぁ…」

 

 せんせに恋心を弄ばれるルビーが少し可哀想だったので、私は本人に直談判に行った。

 気持ちは娘のお見合いに口出しするママの気分だった。だいたい合ってるからヨシ!

 

「ルビーのどこが駄目なの?やっぱりおっぱいが足りないから?せんせの基準だとバスト90センチ以下は全員貧乳扱いだったりする?

 ルビーのお母さんはすごく大きいから将来有望だよ?」

「人をおっぱい星人みたいに言うな」

 こめかみを抑えながらせんせが言う。うーん、脈はある感じなんだけどなぁ。

 

「はっきり言って、せんせはルビーのことどう思っているの?」

「超複雑な感情としか言いようがない」

 

 即答だった。しかも超めんどくさそうな方向で。

 私がいうのもなんだけど、すごく拗らせてる感じだ。もっと素直になっていいんだよ?

 

「あの子は俺にとって大事な家族で、ずっと大切な妹…みたいに思ってきた。俺はルビーを助けるためなら死ぬ覚悟はあるし、それぐらい彼女のことを大切に思っている。

 …思っていたんだけどな」

 

 せんせはぶちぶちと歯切れの悪いことを言い始めた。私的には「YOUたちもう付き合っちゃいなYO!」と言いたくなるぐらいのもどかしさを感じるが、何が問題なんだろう。なんだか面倒くさい人だなぁ。

 えっ、お前が言うな?私はいいけどせんせは駄目って話をしてるんだよ。

 

「……クロノジェネシスから言われて気づいたんだ。俺は自分の復讐のために彼女を利用したんじゃないかってね。子供の頃から憎悪していた存在が具現化したような奴が現れて。『俺が生まれてきた意味はコイツを殺してルビーを助けるためだったんだ』なんて思い上がって。

 すべて終わった後で、アイツのとった態度が全部『嘘』だったのかもと思ったら急に怖くなったんだ。

 俺は自分が誰かを幸せに出来るような人間じゃないことなんて理解してたつもりだったのに、ルビーを見ていると後悔ばかりが頭に浮かぶ。俺がいなくてもルビーなら大丈夫って信じていたはずなのに、どうしても不安が拭い切れないんだ。

 …あの子と一緒にいると、また俺は間違うんじゃないかってね。

 

 

 ……おい、アイ?」

 

 

 

「あ、終わった?」

 ごめん、話が長くて半分寝てた。

 

「とりあえず男の子のウジウジ話は聞いてて面白くないってことは理解した」

「言い方」

 

 せんせがジト目で私を見てくるけど、この問題は絶対にせんせのほうが悪いと私は思う。

 とにかくせんせは頭が良すぎて余計なことを考え過ぎてるから、物事をもっと簡単に考えればいいだけだと思うんだけどね。

 

「せんせは、ルビーが幸せになって欲しいと思ってる?」

「当然だ」

「じゃあ、大丈夫だよ」

 

 私は言い切った。

 

「愛はね、他人の幸せを心の底から願う気持ちのことなんだよ。

 せんせはルビーのことを愛している。それは私が保証する。愛があればなんでもできるんだよ」

 

 私の愛は「嘘」だったから、私は痴情の縺れで命を落としてしまった。

 でもせんせなら大丈夫だ。

 

 

 

「――せんせの愛は、絶対に嘘なんかじゃない」

 

 

 

 

 私の言葉を聞いたせんせは目をぱちくりさせて、その後にふっと気を緩めた表情をした。

 

「……『嘘はとびきりの愛』、なんて言ってた子が成長したな」

「あ、覚えてたんだ。忘れてよ恥ずかしいから」

 

 最後の最後に若気の至りでほざいた言葉を掘り返されて反撃された。むう。

 

 

「…逃げてても仕方ないな。わかった、もう少しだけルビーに向き合ってみるよ」

「はい言質取りましたー。嘘吐いたらハリセンボン飲ますからね。

 …そういえばハリセンボンって毒持ってたっけ?食べたら死ぬ?」

「ハリセンボンは毒を持ってないし、そもそも約束を破ったときに飲ませるのは魚のハリセンボンじゃない」

 

 へー、そうなんだ。

 それはそうと、これでルビーの恋は大丈夫そうだね。これで駄目なら是非も無し、後は野となれ山となれだ。

 …あれ?この言葉ってこういうときに使う言葉だっけ?

 

 ま、いっか。だいたい合ってるでしょ多分。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

Q:結局、雨宮吾郎がカミキヒカルを殺したことは間違いだったの?

A:

 

■■■■「たまたま正解を引いただけなんだよなぁ」

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