完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

34 / 47
クロノちゃん押し倒し事件

 時は流れて、4月になった。

 私とルビーは6月の新バ戦(メイクデビュー)に向けて調整中だ。本格化が始まったのでスピードとパワーを上げるトレーニングが解禁されて一気にトレーニングがハードになった。

 あと先月にクロノちゃんが選抜レースに出走していたが、なんとクロノちゃんは私たちのチームではなくチームスピカに入ってしまった。

 クロノちゃんの裏切者ー。

 

 冗談はさておき、チームスピカはゴールドシップさんやキタさんが在籍していたチームでありゴールドシップさんたち以外にもGI勝利ウマ娘をたくさん送り出している。

 クロノちゃんも「歴史に残るウマ娘になる」という夢を叶える近道としてチームスピカを選んだんだと思うけど、まだキタさんが現役で在籍していることを考えたらどうしても不純な理由で入ったのではないかという疑念が湧いてくる。キタさんのセクハラ癖、別に嫌がってないでしょクロノちゃんは。

 この間「キタさんのセクハラってまだ続いてるの?」って聞いたら遠い目をしながら「ログインボーナスだと思うことにした」という答えが返ってきた。

 愚痴なのか惚気なのか、私にはよくわからなかった。

 

 

 そしてある日、私たちのチームとチームスピカが合同トレーニングをやることになった。

 いわゆる「友情トレーニング」というやつだ。お互いの技術や知識を教え合うのでトレーニング効率が良い。当然自分だけではなく相手も強くなるのだが、そこはお互い様というか持ちつ持たれつの関係である。

 

「「よろしくお願いします」」

 

 体育会系らしく、まずは挨拶から入る。体育会系じゃなくても挨拶は大事だけどね。

 今日は生憎の雨の天気だった。地面の具合は重バ場といったところか。そのうち不良馬場に変わりそうな空の雰囲気である。

 

 雨合羽を着込んで、ぐっしょりと湿った地面を走る、走る。

 雨の日はダートのコースなら晴れの日よりも走りやすくなるけど、芝のコースだと滑りやすくなってパワーとスタミナを余分に消費する。春になったばかりで気温もあまり高くないので正直言ってしんどい。

 ウマ娘の道悪巧者と言われてまず最初に名前が挙がるのはゴールドシップさんだ。2012年の皐月賞では前日の雨と10レース分の前走でぐっちゃぐちゃに踏み荒らされたインコースを「おっ、あいてんじゃーん」って感じであっさり走破して1着を取ってしまった。中盤までは後ろのほうを走っていたのに目を離した隙にいつの間にか先頭を走っていたので巷では「ゴルシワープ」と呼ばれて伝説になっている。

 なおゴールドシップさんと一緒にインコースを走っていたウマ娘は途中でへばってドベになってた。常人がゴールドシップさんの真似をしてはいけないという教訓であり戒めである。

 

 雨が激しくなってきたので練習を中断。流石に数回走ったぐらいでは道悪状態の走り方のコツは掴めなかった。あー温泉に入っておいしいもの食べたらあっさりコツが掴めそうな気がするんだけどなー。誰か私を温泉に連れて行ってくれないかなー(チラッチラッ)

 

「クロノちゃんお疲れ様。タオル持ってきたよー」

「あざーっす」

 

 お馬鹿な妄想をしていたら、キタさんがタオルを持って走ってきた。

 キタさんがクロノちゃんにセクハラするたびに「なんでもお願いを聞くチケットの欠片(20個で交換可能)」が貯まっていくので、なんだかキタさんがクロノちゃんのパシリみたいになっていた。今年の3月にGIレースに昇格した大阪杯を勝ってGI4冠ウマ娘になったキタさんをパシリに使うとはクロノちゃんも偉くなったものだ。

 滑りやすくなった地面を走るキタさんとかフラグにしか見えないなぁと思いながら様子を見ていると、

 

「きゃっ!?」

 

 やっぱり転んだ。

 そして転んだ先にはクロノちゃんが立っていた。

 正面からフライングボディプレスの体勢ですっ飛んでくるキタさんを受け止めようとクロノちゃんが手を伸ばすが、

 

「ふぐっ!!?」

「わっ!?」

 

 微妙に距離が足りず、キタさんはクロノちゃんの胸にではなく太ももに突っ込んで顔をぶつけた。

 そこで素直に転べばよかったのに、びしょびしょになった地面に倒れるのを嫌ったキタさんはクロノちゃんの膝に抱き着いてしがみつき必死に耐えようとする。膝関節をベアハッグされて膝カックン状態になったクロノちゃんがバランスを崩して、背中から転んで仰向けにひっくり返った。

 

「わわぁ~!!?」

 支えにしていたクロノちゃんが転んだせいでキタさんが更にバランスを崩し、そこで彼女のラッキースケベ体質が発動。クロノちゃんの転倒に合わせてホームベースを狙う野球選手のように前方向にヘッドダイビングを行い、クロノちゃんの上に覆いかぶさろうとする。

 …クロノちゃんのジャージのズボンを掴んだままの状態で。

 

 あっという間にクロノちゃんは膝までジャージを脱がされてお尻丸出し状態にされた挙句、アナンダバラーサナのポーズを取らされた状態でキタさんに押し倒されていた。

 

 

「そうはならんやろ」

「なっとるやろがい!!!」

 

 

 ストリートファイターもびっくりの連続脱がしコンボを目の前で繰り広げられて、驚きのあまり思わず私はツッコんでしまった。

 どうやらクロノちゃんはジャージの下にスパッツを履いていたみたいでギリギリのところでトレーナーとチームメイトの前でパンツを晒す事態を避けられたようだが、キタさんに押し倒されている体勢が卑猥過ぎてあまり気休めになってない。

 

「き、キタ先輩、早くどいて?

 くれぐれも、くれぐれも!落ち着いて行動してくださいね!!?」

「は、はい!…ひゃわ!!?」

 

 キタさんは覆いかぶさっているクロノちゃんの上から立ち上がろうとするが、地面のぬかるみに足を滑らせて尻もちをついてしまう。

 

「ぴぎぃ!?」

「くぎゅう!!?」

 キタさんのお尻が勢いよくクロノちゃんのお尻にぶつかって、クロノちゃんがビクンと身体を震わせた。

 その後もキタさんは何度も立ち上がろうとするが、まるでキタさんの足の裏だけ摩擦係数がゼロになっているかのように何度も何度も足を滑らせてはそのたびにクロノちゃんの小さなお尻にヒッププレスを何度も何度も叩きこみ続ける。

 なんだろうこの状況。いかがわしいビデオの撮影でもしてるのかな?

 

「落ち着け!おちつけぇえええ!!!!」

「は、はいっ!!!」

 

 とにかく大声を上げてキタさんの気を逸らそうとするクロノちゃん。

 その叫びを聞いたキタさんは無理をして立ち上がろうとするのを中断し、何をトチ狂ったのかクロノちゃんのおっぱいをつんつんとつつき始めた。

 

 

「お(ちち)をつつくなぁあああああ!!!」

「ええーーーーー!!!!?」

 

 

 痴漢プレイのライブ配信だと思って眺めていたら突然乳首ドリル漫才が始まった。

 一体私たちは何を見せられているのだろう。

 

 

「ぶはっ!!!?お、おちっ、おちちっ、ひぐっ、『落ち着け』と『おちちつつけ』って……や…ヤバイ…笑い死ぬ……!」

 不意打ち気味に突然始まった二人の漫才がルビーの笑いのツボを粉砕し、ひきつけを起こしたような笑い方をして呼吸困難で苦しみ出した。

 

「すんのかーい、せんのかーい、ドリルせんのかーい」

「あはははは!やめて!トドメ刺すのやめて!!!」

 

 ノリと勢いと出来心で二人の乳首ドリル漫才にアテレコをしたら、ルビーに完全にトドメを刺してしまった。ごめんルビー、恨むならクロノちゃんを恨んでね。

 よく見たらルビー以外のウマ娘もお腹を押さえながら呼吸困難で苦しんでいる。ボケなければ生きていけないクロノちゃんとセクハラしなければ生きていけないキタさんが悪魔合体したらこんなに広範囲に被害が出てしまうのかぁ。

 愛も大切だけど、みんなの練習の邪魔しちゃダメだよクロノちゃん。

 

「…俺たちは一体何を見せられているんだ?」

「ただ単にイチャついてるだけだから深く考えたら負けだよ、社長」

 

 練習に参加しているメンバーの大半が笑い死にして使い物にならなくなったので、結局この日の練習は中止となった。

 残念ながら当然の結果である。

 

 

―――――――――――――――――

 

Q:なんでもお願いを聞くチケットの欠片の交換レート1:20なのに無駄遣いしすぎじゃね?

A:

 

クロノ「キタ先輩…なんでチケットの欠片、1週間で20個も貯まるんですかねぇ?」

キタちゃん「不可抗力なんですぅ!!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。