完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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セーフ?アウト?よよいのよい

「それじゃあ、何を命令しようかなー」

 ウキウキとした表情でゴールドシップさんが呟く。私にはそれが死刑宣告にしか聞こえなかった。

 

「まだ2回目だし次はマイルドなものにしようかなー。それじゃあ…

  『2番と4番が乳首ドリル漫才をする』で行こう!!」」

 

 全然マイルドじゃないんですけど!?女の子にやらせていいコントじゃない!!

 私は視線を動かして皆の表情を観察する。

 ゴールドシップさんとナカヤマフェスタさんは楽しそうに笑顔を浮かべている。ステイゴールドさんも似たような感じだった。オルフェーヴルさんとドリームジャーニーさんは冷静な表情のままだった。多分2番と4番以外のくじを引いたのだろう。

 ということは。

 

「また私ですね…」

 キタさんが2番のくじを皆に見せる。

 

「ルビーは何番?」

「7番。セーフ」

 私が尋ねると、ルビーは7と書かれたくじを皆に見せながらそう言った。

 ということは。

 

 ゴールドシップさんが引かれずに余ったくじ…クロノちゃんの番号を確かめる。

 4番だった。

 

「よし、セーフ!」

「アウトだっつーの!!」

 犠牲者がクロノちゃんだったことに安堵してたら、キス死状態から復活したクロノちゃんが涙目で抗議してきた。

 

「仕方ないですね……」

 何かを決心した目つきをしながらキタさんが立ち上がってクロノちゃんと向き合う。

 目がマジだ。連覇のかかったGIレースに出るときと同じ眼光をしている。何がそこまでキタさんを駆り立てるのだろう。

 

「ほい、じゃあこれ」

 ゴールドシップさんがいつぞや私に渡したウレタンソードをキタさんに手渡す。

 恨めしそうにゴールドシップさんを見つめるクロノちゃんの目は、親を殺された仇を見つめるような殺意に満ちた目をしていた。

 

 

 

「――乳首ドリルすな!すな!つま先顎脇やめろ!毛細血管、脇ぃ!

 つま先顎脇やめろ! ドリル、ドリル、ドリルせんのかい!?ドリル、ドリル、ドリルせんのすんのかいオイ!!すんのかーい!!!

 

 

 なおクロノちゃんとキタさんは乳首ドリル漫才を見事にやり切った。

 その結果、ルビーが笑い死んだ。

 

 

 

「3回戦いくぞー。王様だーれだ!!」

 一部の場所から殺伐とした空気が漂う中で、王様ゲームの3回戦が始まる。

 クロノちゃんはもう駄目だ。憎しみのオーラに囚われてしまった。このままクロノちゃんが王になれば復讐のために暴虐を行うだろう。

 今の彼女が私達を巻き込むことを躊躇うとは思えない。

 

 髪に祈りを捧げながらくじを引く。

 私の引いたくじは白の3番。また外れてしまった。

 

「……ククッ」 

 そのとき私の隣でクロノちゃんが邪悪な笑い声を上げた。

 

「私が王だ。…覚悟はいいな」

 赤色のくじを皆に見せつけながらクロノちゃんが宣言する。なんかゴールドシップさんを睨み付けていたけど、王様ゲームで個人を狙うのは無理だと思うんだけど一体どうするつもりなんだろう。

 

「じゃあいくぞ……まず、1番!!」

「げっ」

 クロノちゃんの宣言を聞いたゴールドシップさんが小さく悲鳴を上げた。

 

「ほぉ……ふぅん…へぇ……」

「な、なんだよ……気持ち悪いなぁ………」

 

 クロノちゃんがゴールドシップさんを見つめながらニヤニヤと気持ち悪い表情を浮かべる。へぇ、そういう作戦かぁ。

 私はその様子を見ながら「こうやって人の世に憎しみの連鎖が生まれていくんだなぁ」といった感じでこの世に悪魔が生まれ落ちる瞬間をしみじみと見つめていた。願わくばクロノちゃんはゴールドシップさん一人の犠牲で満足して欲しいと思う。

 

 

「決めたぞ……お前に対する罰ゲームは……

 

『全裸でパンを尻にはさんで右手の指を鼻の穴に入れて左手でボクシングをしながら「いのちをだいじに」』と叫べぇ!!!

 

 額に血管を浮かべながらクロノちゃんが叫んだ。

 

「さあ早くやれ!ハリー!ハリー!ハリー!!!!

 安心しろデジタルタトゥーにすることだけは勘弁してやるよ!!!!」

「はぁ…仕方ねぇなぁ……」

 クロノちゃんのあまりの喧騒に、珍しくゴールドシップさんがたじろぎながら返事をする。

 

 

 

「――で、だれが1番引いたんだ?」

 

 

 

 興奮するクロノちゃんをあしらいながら、他人事のようにゴールドシップさんが言った。

 

「……えっ」

「いやゴルシちゃんが引いたのは7番だし。ほれ」

 ポカンと口を開けてマヌケな表情を晒すクロノちゃんに、ゴールドシップさんは自分の引いたくじの番号を見せる。

 くじに書かれた番号は確かに7番だった。

 

 ……うん、こんな単純なフェイントに騙されるってクロノちゃんって本当にチョロいよね。それはもしかしてギャグでやってるのかな?

 

 

「1番は余だな」

 クロノちゃんが状況を理解出来ずに呆然としているところにオルフェーヴルさんが名乗り出る。

 

「少し待て。今から服を脱ぐ」

「あの……せ、せめて全裸というのだけは撤回させてもらってもいいでしょうか……?」

 クロノちゃんがFXで有り金を全部溶かした人のような顔をしながらオルフェーヴルさんに服を脱ぐのを止めるよう懇願した。さっきまで世界征服の野望に燃える魔王のような顔をしていたのにギャップが大きすぎて面白い。即落ち2コマかな?

 

「だったらこんなのがあるぜー」

 ゴールドシップさんが布面積が異様に少ない水着を取り出しながら言う。

 

「王様ゲームの罰ゲーム用に持ってきた紐ビキニだ。これなら全裸とほとんど変わらないだろ?」

「うむ。これなら問題ないな」

 

 問題大ありだと思うが、全裸よりはまだマシな提案だったので誰も指摘しなかった。私知ってるよ、こういうのドアインフェイスって言うんだよね?

 オルフェーヴルさんはみんなの前で惜しげもなく裸体を晒して紐ビキニを着こむ。数分後にはモデルのような均整の取れた美しい身体に最低限の布を貼り付けた官能的な姿になっていた。そんなオルフェーヴルさんの姿を世の中の男性が見れば、誰もがオルフェーヴルさんを恋人にしたいと思うことだろう。

 

 

「(紐ビキニ姿でパンを尻にはさんで右手の指を鼻の穴に入れて左手でボクシングをしながら)

 いのちをだいじに!!!

 

 

――世の中の男性の夢は、無惨に破壊された。

 

 

 

 

「王様だーれだ!!」

 

 王様ゲームの4回戦が始まった。

 着替えるのが面倒くさかったのか、オルフェーヴルさんは紐ビキニ姿のままで王様ゲームを続行している。そういうことされると次に紐ビキニの罰ゲームを食らった人が服を着づらくなるからやめて欲しい。

 

「あっ、当たった」

 4回目にして、ようやく私のところに赤色のくじが来た。

 王様くじを引けたのは嬉しいが、何を命令するのか実に悩む。命令した相手から恨みを買わない程度の内容というのが実に難しい。

 

「うーん、それじゃあ…3番の人、自分がやってるゲームのガチャを天井まで回してください!」

 ガチャ石の貯蓄をしないタイプの人に当たると酷い結果になるかもしれないが、逆に無料石の被害だけで済む可能性がある分まだマシな部類の罰ゲームだろう。人間としての尊厳を破壊されるよりはお財布を破壊されるほうがまだマシだと思う。

 

「3番ってことは、私だな……」

 ナカヤマフェスタさんがすっくと立ち上がって自分のスマホを取り出す。

 

「しかし天井まで回すだけだと…ハッ、ぬるいなぁ。

 1回引いて終わりじゃつまらねぇ!キッチリ5回引いて最大限界突破させてやるよ!」

 なぜかナカヤマフェスタさんは自分からハードルを上げて全力でガチャを回し始めた。そこまでしろとは言ってないんだけど。

 

「分の悪い賭けは嫌いじゃない…うなれ私の人差し指!うおぉぉぉ天井を越えて全弾持ってけぇ!!!」

 

 

――最終的にナカヤマフェスタさんはガチャで完凸するまでに4天井(800ハマリ)していた。

  ナカヤマフェスタさんの財布の中身は無惨に破壊された。

 

 

 

 次。5回戦。

 

「ふむ…余が王か……では1番、余の椅子となれ」

「1番は私ですね。ではオル、どうぞ」

 

 1番を引いたドリームジャーニーさんが四つん這いになって、その上にオルフェーヴルさんが座る。

 今までの罰ゲームが酷すぎた分、随分とマシな仕打ちに見えた。そろそろ私たちの感性もマヒしてきたのかもしれない。ちょっとやばいかも。

 

 

 

 6回戦。

 

「2番の方、ラジオ体操第二の二番目の体操をゲームが終わるまでエンドレスで繰り返してください」

「嘘っ!マジ!?」

 王様くじを引いたオルフェーヴルさんの椅子(ドリームジャーニー)の命令がルビーにヒットし、ルビーはゴリラとして第二の人生を歩むことになった。

 

「ラジオ体操だけじゃつまんねーよ。紐ビキニも追加しようぜ?」

「ではそうしましょう」

「鬼かアンタ達は!?」

 

 人の心を海水浴場の砂浜に捨ててきたゴールドシップさんの一言で、ルビーの紐ビキニゴリラ化が決定した。

 写真撮って後でせんせに送ってあげよう。

 

「ほらほら早く着替えろよー。時間稼ぎしたら罰ゲームを増やすぞー?」

「もうやだぁあああああ!!!!」

 

 部屋の中にルビーの悲鳴が響き渡る。

 人でなしたちが繰り広げる地獄の宴はまだまだ始まったばかりだった。

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