完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました 作:雑穀ライス
――そして一時間後。
部屋の中は妖怪の住処になっていた。
まず私の状況から説明すると、紐ビキニ姿にハゲヅラにヒゲメガネを装備してルビーと一緒にラジオ体操第二を踊っていた。
そしてルビーは紐ビキニ姿でちょんまげヅラに顔を真っ白に染めたバカ殿ファッションでゴリラ化していた。流石に可哀想だったので写真を撮るのは自重した。
そしてクロノちゃんは紐ビキニ姿でキタさんに耳舐めAMSRをされている最中だ。彼女たちは紐ビキニ以外のエロ系の罰ゲームを全部身体で受け止めて私たちを守ってくれた陰の功労者である。そのままキタさんと末永く幸せになって欲しい。
ゴールドシップさんとステイゴールドさんは紐ビキニを着た上で前世の馬そっくりの被り物をかぶって人間をやめた姿になっていた。ドリームジャーニーさんなんかは紐ビキニ姿で馬マスクを被った状態でオルフェーヴルさんが上に座っているので完全に競走馬みたいになっている。はっきり言って下手なお化け屋敷よりも怖い。
そんな感じで、この部屋は紐ビキニの怪物たちが
「んじゃ、そろそろ最後のゲームにすっか」
参加者全員を紐ビキニ姿にしたことで満足したゴールドシップさんは次が最終ゲームだと宣言した。その瞬間私を含めたみんなの目の色が変わる。
よかった、あと一回でこの地獄のゲームが終わる……!
次を勝ち抜ければ終わりだ。私が王様くじを引いて、みんなで記念撮影をしようとでも言えば平和が戻ってくる。ならば私がこの憎しみの連鎖を断ち切ってすべてを終わらせてみせる……!!
「これがラスト!王様だーれだ!!!」
私はくじを引く指に力を込める。
神様仏様、三女神様!どうか私にこの争いを終わらせる力を与えてください!!
私の引いたくじは――
4番だった。
最初から最後まで!全っっっ然!役に立ってないよ三女神様!!!!!!?
「で、最後の王様くじを引いたのはどこのドイツのフランス人だ?」
絶望の表情ではずれくじを眺めている私とルビーを一瞥した葦毛の馬マスクをかぶったゴールドシップさんは、当たりくじを引いた人を探してぐるりと辺りを見回す。というかちゃんと前見えてるの、それ?
「…んっ」
ゴールドシップさんの問いかけに反応したのは、キタさんの耳舐めAMSRでアヘ顔を晒していたクロノちゃんだった。
クロノちゃんが掲げたくじは赤色。つまり彼女が最後の王様だ。し、信じていいんだよね?クロノちゃん?
みんながゴクリと唾を飲みながら注目する中で、自重をかなぐり捨てたキタさんにめちゃくちゃのぐちゃぐちゃのどろどろにされてお目目にハートマークを浮かべているクロノちゃんが最後の罰ゲームを宣告する。
「1番と2番が、今の姿で町内5周……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「――はっ、はっ、はっ」
日の落ちた暗い夜道を、蛍光タスキを肩にかけたウマ娘が走っている。
彼女は来週にレースを控え、落ち着かない気持ちを紛らわせるためにランニングをしていた。
「……ん?」
そこで、自分の後ろから足音が聞こえてくるのに気づく。
自分と同じようにトレーニングをしているウマ娘がいるのだろうかと思って彼女が後ろを振り向くと。
――角のない牛のような顔をした2匹のバケモノが、紐ビキニ姿で二足歩行で走っていた。
「ひィっ!?」
一匹は白く細長い顔をした長身の怪物。
もう一匹は、黒く細長い顔をした背の小さい怪物だった。
その2匹は表情から感情のよみとれない無機質な目を彼女に向けて、じっと見つめながら走っている。彼女はその正体不明の怪物が何を考えているのかは全く分からなかったが、自分のことを獲物として認識していることだけはなんとなく伝わってきた。
「うわああああああ!!!」
恐怖でパニックになった彼女は怪物から逃げようと全力で猛ダッシュする。
しかし、その様子を見た怪物たちは走るスピードを上げて彼女を追いかけてきた。
牛の出来損ないのような顔をしてるのに、その怪物の走るスピードは並のウマ娘よりも早かった。
「オレサマ、オマエ、マルカジリ!!!」
彼女を追いかける長身の白い怪物が、叫ぶ。
その言葉を聞いて、彼女の恐怖は爆発した。
「いやぁあああああ!?食べられるぅううううう!!!!」
意味も分からないままに肉食と思われる怪物のターゲットになってしまった彼女は涙を流しながら必死に走るが、怪物との距離は開くどころかどんどんと縮まっていく。
10バ身差があった怪物との距離が5バ身差になり、すぐに3バ身差になる。
彼女は必死になって怪物から逃げていたが、そこから数百メートルほど走ったところでついにスタミナが尽きてしまった。
駄目だ。食べられる。死ぬ。
怪物がすぐ後ろまで迫ってきて、彼女が生きるのを諦めかけたそのとき。
「オレサマ、ジツハ、ベジタリアン!!!」
彼女を抜き去る直前に白い怪物はそう叫んで、並走していた小さな黒い怪物と一緒に走り去っていった。
「はぁ……はぁ……い…一体なんだったんだアレは……?」
自分が助かったことを理解した彼女はぺたりと道路に座り込み、怪物たちが走り去っていった方向を呆けた様子でしばらく見つめ続けていた。
「いやー楽しかったな!あいつすげー顔してたぜ!!」
「デビュー前かデビュー直後って感じだったね。これからの奮闘に期待ってところかな」
白い怪物と黒い怪物……ゴールドシップとステイゴールドが走りながら雑談をする。
元々イタズラ好きな2人とあって、彼女たちはランニング中のウマ娘を見つけては積極的にちょっかいをかけていた。悪ふざけの範疇に収まるかどうかは微妙なところだが、彼女たちはどこ吹く風の馬耳東風だ。罰ゲームを実行している最中の不幸な事故なので文句はクロノジェネシスに言ってくれと言わんばかりの傍若無人だった。
「おっ、前方に第二村人はっけーん。これからインタビューしてきまーす」
「この姿の僕たちのインタビューに応じてくれる人はいないと思うよ」
新しい
…数日後、地元に「ウマ娘並のスピードで走る二足歩行の牛の怪物」という怪談が生まれてそれを聞いたクロノジェネシスがチベットスナギツネのような顔をしたらしいが、それはまた別のお話である。