完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました   作:雑穀ライス

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感動の再会

「ルビー」

 

 星野ルビー。

 前世の私の子供。

 私がお腹を痛めて産んだ女の子。

 

 

「ルビー、ルビー」

 

 愛していた。

 幸せになって欲しかった。

 あんなことになってしまった以上、私はルビーが成長していく姿はもう見られないと思っていた。

 でも、また会えた。

 この世界で。同じウマ娘として。

 

「会いたかったぁ!!!!」

 私はルビーに駆け寄って、がばっと抱きしめる。

 

 

 

 

「えっ、誰?」

 

 

 しかしルビーから返ってきた反応は、全く知らない人に対する返事だった。

 

 

「ていうかアンタ、なんで私の名前知ってるの?」

「あ…ごめん……」

 会うなりいきなり抱きしめてきた私をルビーは不審者を見るような目で見つめてくるので、私は慌ててルビーから離れた。

 冷ややかな目を向けるルビーの態度を見て、私は胸に痛みを感じる。

 一拍遅れて、「他人の空似」という言葉が頭によぎった。

 

「わ、私は()()()()、だよ」

「ふぅん。私はホシノルビー、よろしくね」

 

 敢えて前世の名前を名乗ってルビーの反応を窺うが、私の名前に反応する様子は一切なかった。

 ウマ耳とウマしっぽが生えている以外はルビーにそっくりなのに、本当に私のことを全く知らないような雰囲気だった。

 嘘とか悪戯とかそういう感じではない。というか嘘とか悪戯でこんなことをされていたと言われたら泣く。

 

「えっと、あなたはフサイチパンドラさんのお子さんでよかったかしら?」

「は、はい!フサイチパンドラの子供のアーモンドアイです!」

「さっき名乗った名前と違うじゃない」

 

 呆気に取られながら一部始終を見ていたスタッフさんが再起動して、私が誰の子供かを確認してきたので返事をする。

 ルビーが呆れたような視線をよこすが気づかないふりをした。

 

 

 …はぁ。

 

 前世の記憶を持っているのは、私だけかぁ。

 

 

「ルビーは何歳?」

「3歳」

「ルビーのお母さんは、有名なウマ娘なの?」

「カワカミプリンセス。今日のレースにも出るのよ。知らないの?」

「知ってる!カワ()()プリンセス!すごく美人の人!!」

「カワ()()プリンセス!」

 

 私はルビーを質問攻めにする。

 スタッフの人はルビーと歳の近い私に世話を任せることにしたようだ。私たちが喧嘩しないかどうかだけを遠目に見守っていた。

 

「やっぱりアイもアイドルウマ娘になるつもりなの?」

「うん!でもレースを走らないといけないのは大変だよね」

「だよねー。私今までまともに走ったことないから不安だわー」

 ルビーとの会話は弾んだ。ルビーもレースに出てアイドルウマ娘になる気まんまんのようだ。

 流石は私の子供。いやもう他所のうちの子供になってしまったのか。少し寂しい。

 

『まもなく、レースが始まります。レースを観戦するお客様は、競技場にお集まりください』

 

 ルビーとおしゃべりしていると、お母さんが出走するレース開催のアナウンスが流れてきた。

-

「ルビー、見に行こ」

「はいはい」

 すっかり打ち解けた私たちは、揃ってお互いのお母さんを応援しに競技場に向かう。自分がルビーと同い年というのは変な気分だが、悪い気はしない。

 同い年ということは、ウマ娘として同じレースに出て一緒にウイニングライブで歌う可能性もあるということだ。ルビーと同じ舞台で歌って踊るところを想像しただけで胸が躍る。

 

 新しい夢が出来た。

 それはルビーと一緒にGIレースのウイニングライブに出るということ。

 お母さんとカワカミプリンセスさんのように、ルビーと2人で入賞して2人で歌うこと。

 そのためには、レースに出て勝てなくてはいけない。悪くて3着以内。

 明確な目標が出来たことで、空っぽで嘘付きだった私の心に小さな火が灯ったような気がした。

 

 なお、レースの結果はカワカミプリンセスさんがすごい末脚で差し切って勝利した。お母さんは2着だった。

 レースはカワカミプリンセスさんの得意距離の2000mだったし、お母さん2200mのレース以外は割と苦手だし、まぁね。

 

「ごめんねー。お母さん、負けちゃったよ〜」

 ウイニングライブの後、へにょんとウマ耳を垂れさせた困ったような表情でパンドラお母さんが私に言う。

 

「お母さん」

 私はパンドラお母さんと手を繋いだ。

 

「私、お母さんの子供でよかったと思ってるよ」

 

 少し離れたところで幸せそうな表情を浮かべながらカワカミプリンセスさんに抱き着くルビーを見ながら、私はお母さんに言う。

 ルビーがカワカミプリンセスさんにしっかりと愛されていることを確認して、なんだか私はほっとした。

 なんとなく、これでよかったんだという気持ちが私の胸を満たしていた。

 

「お母さん、私を産んでくれてありがとう。私は今、とても幸せだよ」

「あ…アイちゃああああん!!!」

 感慨極まったパンドラお母さんが私をひしと抱き締めてくる。

 私はお母さんを抱き返しながら、この奇跡のような幸せを深く噛み締めていたのだった。

 

―――――――――――――――――

 登場人物紹介⑤

 

 ホシノルビー(天童寺さりな)

 スリーサイズはB88W57H85(15歳時点でのサイズ)

 

 推しの子世界の高千穂の病院で病死した天童寺さりながウマ娘として転生した姿。

 星野アイの娘である「星野ルビー」の人生を経由せずにウマ娘世界に転生したので、彼女には「星野ルビー」としての記憶はない。

あんな記憶、無かったほうがいい。

 

 ダイイチルビーと名前が似ているが、血縁関係も交友関係も皆無である。せめて距離適性がカワカミプリンセスと一致してたらどこかで因子の継承があったかもしれないのだが。

 

 最初の授乳イベントのとき「うわこれなにおっぱいデッカ!?すご!!?」とか心の中で思いながら遠慮なく吸い付いていた。

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