完璧で究極のアイドルがGI九冠バに転生しました 作:雑穀ライス
私は4歳になり、幼稚園に通うようになった。
毎朝、お母さんが私を背負って幼稚園まで送り迎えしてくれる。
背負子に自転車用のチャイルドシートを付けたようなものに座らされて、それをお母さんが背負って走るのだ。
「いくよ~、アイちゃ~ん」
おお、速い速い。
こうやってウマ娘は風を切って走る快感を親から教えられるのか。
…アクアとルビーの送り迎えは
そうそう、思い出した。
どうやらルビーも、私と同じ幼稚園に通うらしい。
「ルビー、久しぶり~」
「あんたとはとことん縁がありそうね、アイ」
私が入園した日から数日後、ルビーも私が通うノーザンファーム幼稚園にやってきた。
「そうだね。年が同じってことは、これから同じレースで競い合うことになりそうだし」
「負けないわよ」
「うん。お母さんたちみたいに、観客が夢中になるようなライブをしようね」
「レースに負けたらバックダンサーだけどね」
そう言って、がしっとルビーと握手をする。
うん、青春だね。まだ4歳だけど。
「じゃあルビーちゃん、ここの施設の案内をするわね」
「はーい」
「私もいくー」
そのままルビーと手を繋いで、「スーパークリーク」と書かれた名札を下げた保母さんと一緒に施設の案内をする。
この人もお母さんよりおっぱいが大きかったが、そろそろ大人のウマ娘のおっぱいサイズのインフレ具合に脳が慣れてきて「むしろお母さんぐらいのサイズが普通なんじゃないだろうか?」と感じるようになってきた。おっぱいの大きいウマ娘を見るたびに「歌って踊れてスポーツも出来る巨乳のアイドルとかすごく人気出るだろうなー」とか思っていたけど、どうやらこの世界はおっぱいが大きいだけでスターになれるような世界ではなさそうだ。
むしろ貧乳にステータスや希少価値が生まれてモテる逆転現象が発生するのかもしれない。
そんなお馬鹿なことを考えながら、ルビーの隣をてくてく歩く。
保母さんはルビーを幼稚園のレクレーションルームに案内し、部屋の中では何十人もの子供たちが集まってぎゃあぎゃあと騒いでいた。
「元気のいい声が部屋中に響いているね」
「何言ってるのかはほとんど聞き取れないけどね」
ウマ耳ウマしっぽつきの子供がたくさん集まって好き勝手に遊んだり走り回ったり飛び跳ねたり壁を蹴ったりしているので、なんか幼稚園というよりは動物園みたいな感じだった。流石はウマ娘、幼女と言えども人間とは基本的なパワーが違う。あ、保母さんが壁を蹴ってる子供を止めに走っていった。大変だなぁ。
そんな本能のままに暴れ回る子供の中に、
「やあ、星野アイに星野ルビー。新しい世界と身体にはそろそろ慣れたかい?」
真っ黒なワンピースを着た、
「あんた誰よ」
「クロノジェネシス。君達の
ルビーの不躾な問いかけに対して、デパートのキッズスペースでよく見るウレタンのブロッククッションに座って分厚い本を読んでいた幼女がそう答える。
同類?「自分もウマ娘だ」って意味かな?
「なんの本読んでるの?」
「京極夏彦の『絡新婦の理』。…いやはや、
クロノちゃんの読んでいた本がすごく気になったので尋ねてみたらそんな答えが返ってきた。…本のタイトルに聞き覚えがあるような、ないような。うーん、どっかで見た記憶があるんだけど。
「あっ、思い出した。昔アクアに買ってあげた本だ。処分セールで220円で売ってたやつ」
「3歳の子供にこんなもの買い与えるのは君だけだよ。当時は大いに笑わせてもらったけどね」
「
私とクロノちゃんとの会話に混ざれなかったルビーが拗ねたように口を尖らせる。
そんなルビーの態度を見て、クロノちゃんは一瞬怪訝そうな表情を浮かべた。
「…ふぅん、君はまだ
うん、それはとてもいいことだ。あんな記憶、なかったほうがいい」
1人で納得して嬉しそうな表情を浮かべるクロノちゃん。
なんだかよくわからないけど、どうやらクロノちゃんはルビーが前世の記憶を持っていないことを喜んでいる感じだった。
クロノちゃんが私とルビーのことをある程度知ってるということは、この子は前世のルビーの友達でクロノちゃんも私みたいに前世の記憶を持っているってことかな?
私はルビーが学校に行く前に死んじゃったからクロノちゃんのことは全然知らないけど、私が死んだ後もルビーはちゃんと友達を作れていたようでなんかほっとした。
…とりあえず「前世の記憶がなくて良かった」という不穏な言葉の意味は深く考えないことにした。たぶんこれ聞いちゃいけない話だと思う。
「お近づきの印だ。君たちにこれをあげよう」
そう言ってクロノちゃんは私たちに漫画の単行本を渡してくる。
「『疾走の馬、青嶺の魂となり』。…君達の先輩の人生を漫画化した作品だ。君達がこれから走る上で良い教訓になるだろう」
クロノちゃんはビニールで包まれた新品の漫画本を渡してドヤ顔してきた。
私とルビーに一冊ずつ渡したということは、保存用、布教用、観賞用に3冊漫画を買ってるということだろうか。
私がいうのもなんだけど、うん、この子、すごく変な子だ。
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登場人物紹介⑥
クロノジェネシス(????)
スリーサイズはB77W54H76(15歳時点でのサイズ)
アイとルビーの一歳年下の芦毛のウマ娘。腰まで届く長い銀髪が特徴で、黒のワンピースを好んで着用している。
アイと同じく乗っ取り型の転生だが、中に誰が入っているかはまだ不明。一体何ヨミなんだ…
ウマソウル側の前世がアーモンドアイと同じ牧場で生まれた縁でアイ達と同じ幼稚園に入園することになった。
えっ?三石川上牧場出身のカワカミプリンセスの娘がノーザンファームに通うのはおかしいだろって?そもそもこの三人が住んでる住所は東京?それとも北海道?
こまけぇことは気にすんな(2回目)
登場人物紹介⑦
スーパークリーク
スリーサイズはB99W65H92(現役時代より微増)
学生時代をだいたいシンデレラグレイみたいな感じで過ごした後、トレセン学園を卒業して保母さんになった。
なんで実家の託児所を継がずにノーザンファーム幼稚園で保母さんをやっているのかは作者にも分からない。
こまけぇことは気にすんな(3回目)
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豆知識③
『疾走の馬、青嶺の魂となり』について
GI3勝バ、ライスシャワーのレース人生を漫画化した作品。
だいたいアニメ版2期をライスシャワー主人公で作成した感じの内容だが、こっちの世界のライスシャワーは悪夢の宝塚記念に出走してしまったため史実再現が発生してしまった。
レース中に脚を骨折して転倒したライスシャワーは一命こそ取り留めたが、彼女は二度と走ることの出来ない身体になってしまった。
動かなくなってしまった自分の脚を見て「走れないライスなんてなんの価値もないよぉ。あのまま死んでたほうが良かったよ…」と泣きながら絶望するライスシャワーだったが、そこにライスシャワーのトレーナーが、
「君は走るために生まれてきたんじゃない。愛されるために生まれてきたんだ。
たとえ日本中の人たちが走れなくなった君のことを忘れてしまっても、俺だけはずっと君のそばにいる。愛してるよライスシャワー」
というちょっと恥ずかしいプロポーズをしたことで無事ライスシャワーのメンタルは持ち直した。
現在ライスシャワーはレース中に怪我をしたウマ娘たちのサポートを行う法人団体でサイレンススズカと一緒に働いている。
そんな経緯もあって、バ肉スレではライスシャワーの画像を貼りつける行為は禁止されている。ギアス猫死すべし慈悲はない。