今回は轟くんが喋ります!
文化祭前日。今日は朝から文化祭の準備である。学校中が準備で色々と忙しい。それを知っているから清戸が参加してくれる事のありがたみが身にしみる。
俺は轟、多田森とは同じクラスである。
クラスで昼休みを設けている時、食堂に行こうとした轟を呼び止めた。
「なぁ、轟。ちょっと屋上来いよ」
俺は親指を背の後ろに向かせながらそう言った。
「何?カツアゲにはまった?」
「んなわけねぇだろ。さっさと屋上来い」
轟の首根っこを掴み、俺は轟を少々強引に屋上まで連れて行った。
「えっ?何?告白?俺男には興味ない」
「ちげぇよ!俺も男に興味ねぇよ!」
俺がそう言うと轟は茶化してきた。
「ああ、君は白浜さんかぁ〜」
「んなっ、な、何言ってんだよ!んなわけねぇだろ!」
「じゃぁ、俺が取っちゃおうかなぁ〜」
「てめぇ、ぶっ潰すぞ!」
「嘘嘘。冗談だって。そりゃ純粋無知な白浜さんはクラスのマドンナだけど、白浜さんは君が取っちゃってるし、他の男どもはもう二人のマドンナの方が好きなんだけどね」
「えっ?もう二人?いたっけ?」
轟は鼻で笑った。それが非常にイラつくのは俺だけだろうか。
「まぁ、君の眼中には白浜さんしか映ってないだろうけど、他にもいるんだよ。小深さんと赤石さんが」
ああ、小深と赤石がいたか。そうかそうか。そういえばあいつらがいたな。うん。完璧忘れてた。
「……って話をそらすなよ」
「えっ?僕とはそういう類いの話をしたいんじゃないの?」
「んなわけねぇだろ!昨日の話だよ。昨日の」
「昨日?ああ、昨日のあれか。あれはただ通り過ぎようとしただけの事さ」
轟はそう言うと食堂に行こうとした。
「じゃぁ、話はそれだけだね。じゃぁ、僕はこれで……」
「おい、勝手にどっか行くなや、ゴラァッ‼︎飯食わせてやらねぇぞ!チャラ男」
「ええ、それはやだなぁ」
轟は俺の恐い顔にビビっている。
「なぁ、さっきお前は通り過ぎようとしただけって言ったよな」
「うん」
「何でそんな所にいたんだよ。体育館は校門とは逆方向だし敷地の中でも端っこの方にあるはずだ」
「……いや、それは……」
轟は何も言えなかった。が、しかし、俺は追い打ちをかける。
「それにおかしいだろ。普通ただ通り過ぎた事を覚えてるか?」
「……」
轟はもう何も言わなかった。
「お前さ、本当はバスケやりたいんじゃねぇの」
俺がそう優しく聞いた。轟はそっぽを向いて「別に」と答える。
「……お前ら、ホモか?」
「違うから!そこはちゃんと否定できる!」
「じゃぁ、何なんだよ。体育館にいた理由は」
俺がもう一度聞くと轟はボソッと本音をはいた。
「わりぃって思ってるよ」
「多田森にか?」
俺がそう聞くと轟はあぐらで座った。
「まあね……多田森と僕ってポジション違うんだ。多田森は司令塔で僕はひたすら外からシュートを放つ。どっちとも防御みたいなもんだけどちょっと違う。似たようで違うんだよ。だから、プレースタイルも変わってくる。それと同じように練習する事も変わってくる。でも、多田森はいつも俺に合わせようとする。轟くん。轟くん。っていつもいつも言ってきて僕と練習内容を合わせてきた」
「だから、一緒にいるのが嫌になったと」
「二人だけだったからね。だから、あいつが俺の練習メニューに合わせるとあいつはどんどん下手になる。ライバルとなる同じポジションでもないからな。だから、俺は辞めた。あいつには上手くなって欲しかったから。あいつはバスケが好きだ。暇があればボールをいつでもバウンドさせて楽しんでやがる。そんなあいつにはバスケをしてる姿が一番かっこいい」
「お前は女子に弄ばれようとしてるチャラ男だからな」
「その言い方やめてよ」
轟はハァッと息をはいた。
「こんな話初めてしたな。何?これがお得意のGHB商法かい?」
「まあね」
そして俺と轟は黙り込んだ。正確に言えば轟は黙り込んだ。そしてそれを俺は見守っていた。
すると、轟はこう言った。
「バスケしてぇ〜」
「じゃぁ、バスケしろよ」
「何言ってんの。今さら戻れねぇって」
轟は腕時計を見た。すると彼は驚く。
「あっ!もうこんな時間!お前、覚えてろよ!飯食えなかったらお前のせいだぞ!」
轟はそう言うとダッシュで食堂へ向かった。
まったく、騒がしい奴め。
はぁ、バスケ勧誘は無理かなぁ〜。どうしようかな。あと4人。集められないんだけど。