今回はまぁ、意味深回です。
文化祭は終わり、後夜祭が開かれる。後夜祭は自主参加制だから、別に参加しなくてもいいわけだ。
が、ほぼ全員の人が後夜祭に出るそうだ。
「で、お前らどうするよ。俺は後夜祭でねぇぞ。人多いの嫌いだから」
「あ〜、俺も柚子木と同じ意見だね。ガヤガヤしてるよりは家に帰ったほうがマシだ」
北瀬はそう言うとバックの中から何かを取り出した。
「あっ、お前、それ」
「そうっ!花火セットだよ。夏に使い損ねたからさ、これを校舎内でやろうよ。ほら、今いるだけで俺と柚子木と、白浜さん、倉本さん、湯島、赤石さん、小深さん。まぁ、体育館裏でやればばれないっしょ」
「お前、相当のワルだな」
「お前に言われたかねぇよ」
俺と北瀬は後夜祭に体育館裏で花火をする事に賛成。しかし、やはり白浜である。ピュアすぎるために、法にも忠実。
「ダメですよ!柚子木くん。校内でそんな事しては」
が、今は俺と北瀬は根っからの
「いいんだよ。別に約束ってのは破るためにあるもんだからな」
「えっ?そうなんですか!」
「そうとも」
その時、この場にいた奴らが思った事。「んなわけあるかぃ」
まぁ、白浜の洗脳は簡単である。ちょっと本気の顔をすれば信じてくれるからである。
いや〜、人間って心の真っ黒い部分全部取ればここまでいい子になるのね。
という事で俺たちは体育館裏に来た。予想通り、体育館裏には誰もいない。後夜祭を校庭で行っているため、人が全然いない。
俺たちはそこで、ロウソクを金属製バケツん中に入れて火をつけた。ロウソクについた火はとても弱い。体育館は狭い。だから、隙間風が少し吹く。その風でロウソクの火は消えてしまいそうである。
すると、みんな花火をつけだした。今年二回目の花火は色とりどりの火花を散らして燃えてゆく。そして、終わったら水の中にぽいっと捨てる。そこには「ジュ〜」と何かを焼き消すかのような音がなる。
本当は消えてゆくはずなのに。
すると、倉本はこの光景を見て、俺にこう聞いた。
「お前は火がついた時と火が死んだ時はどっちの方が惨めだと思う?」
「そりゃ、断然子供の火よりも親元だろ」
「は?」
「いや、そうだろ、だってよ花火は命こそ短いもののその命の中で輝いてる。それに比べてロウソクは死にそうじゃねぇか。息を少しでも吹きかけたらパァッと消えそうで。それの恐怖に怯えながらずっと燃え続ける。俺はそんな運命なら長寿よりも短めの命をお希望だけどな」
俺がそう言うと倉本はふっと笑った。
「ふっ、お前らしいな。お前は自分の事をどうとでも思ってないだろ。自分は太陽の光だと勘違いしてないか?お前は太陽の光ではない。太陽の光を浴び続けたただの柚子の果実だ。だから、その浴びた分だけ、他の人を照らせばいい。お前は最近無茶をしすぎだ」
「いや、その、ごめん」
「心配する者の気も考えろ……」
俺と倉本の間に沈黙ができた。その沈黙はまるでちっちゃなロウソクの火が灯すように。その沈黙を隙間風がビュゥと吹いた。
「とにかく、お前は今まで浴びた分だけ、前の私みたいな雲の下にいるものたちに光を浴びせろ。私は水だ。お前がこぼした光は私がお前に返すから」
「おうよ。言われなくてもやるけどな」
また、隙間風が吹いた。その風は大きかった。そして、ロウソクの火を消してしまった。
そう、大きかった。
もちろん、一名の子は自分が持つ好意には気づいてさえいない。
なんで、こんなにムカムカするんでしょう。倉本さんと喋っていると何故か心の奥が絞められたように苦しくなる。初めての感じ。
彼女はそっと水飲み場の方へと行った。誰にも気付かれないように。
でも、ロウソクの火は完全には消えてなかった。