今回の話はepisode6.5用のためのお話です。
……ここは、何処?私は誰?私は何でここにいる?
私は起き上がった。そして、辺りを見渡した。そこには何もなかった。真っ白な空間。
そこには少女とその少女のお母さんらしき人がいた。少女は19歳ぐらいであろうか。
少女は大声を出して母親にすがりついている。母親は小さな声で少女に何か言っている。
その時、頭痛がした。まるで、頭に何かを一気に詰め込まれたような感じ。そのせいで頭がパンクしそうだった。
激しい痛みの中、私は彼女らの話を少し聞いた。少女は大声だったため、はっきりと聞こえた。でも、母親の方はあまり聞こえなかった。
「佳代、貴方はもう……は戻っ……きては……ん」
「何でなの?おっかぁ!おっかぁ!何でなの⁉︎」
「貴方は……だから。貴方……必……か……」
「おっかぁ!おっかぁ!離れたくない!私はまだやる事があるの!」
「も…………すれなさ……。貴方は巫……なる……」
日が西に傾き、いわし雲が少し赤い。
いつもとは少し違う帰り道である。家まで歩き。まぁ、そんなに遠くはない。学校から土手沿いに歩いていけば家に着く。
何故ならココが寝ているから。ココは俺におんぶされながら眠っている。
ココは疲れたのだろうか。あんなにも俺の学校文化祭に来たいと言っていた。俺の頑張ってる姿を見たいんだとか。俺との一緒にいる時間を冥土の土産と言っていた。まぁ、ココはもう死んでいるのに。
「はっ‼︎」
俺の背中に寄っかかってたココが起きたようだ。
「あれ?私は?」
「あ?寝てたんだよ。俺たちが花火から帰ってきたらお前は寝てたから」
「ああ、そういえばそうでしたね。私寝ちゃいましたね」
ココは「あははっ」と作り笑いをした。そう、作り笑い。何かを隠しているようであった。
「お前、なんか隠してねぇか?」
「いや、そんな事ないですよ」
「そういえば文化祭は?」
「文化祭は終わった。後夜祭はだるいから参加してない」
「光牙様は面倒くさがりですね」
ココはそう言うと俺にスキンシップをしてきた。
「光牙様ぎゅぅぅぅっ」
ココはそう言いながら俺に抱きついた。背中が温かい。まるで幽霊ではないかのような温かさ。
ココが抱きついた時、少し苦しかった。ココは強く抱きついていた。
でも、ココの腕は少し震えていた。
温かかった俺の背中にポタッと何かがついた。
ポタッ。
ポタッ。
ポタッ。
「おい、おい、どうしたよ。体重気にしてんのか?」
「そんなんじゃないですぅ〜。ただ、背中が大きくて、温かいなって。まるで太陽の光みたいに」
すると、ココは遂に声を出した。下唇を噛み締めてずっとこう言っていた。
「泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない。泣かない、泣かない…………泣かないッッ‼︎」
でも、ココがそう思えば思うほど涙がポロポロとポロポロと溢れる。それでもココはずっと言っている。泣かないと。
俺は訳が分からなかった。いきなり泣かれた意味が。
とにかく、俺はココを泣き止まそうとした。だからいつも泣かせた時みたいになだめた。
それでも、ココは泣きやまなかった。
その時、俺はこう思った。この涙はいつもとは違うものだ。
いつもの涙とは違う。悲しみの海を一滴の水にまで縮小したような。
西日が差していた。ココの涙は悲しくも綺麗に光った。
ココは唇から血が出ていた。
「おい、やめろって。血出てるって」
「ううっ!泣か……ない……」
「おい、ココ」
俺はココの肩を掴んだ。そして俺は彼女の顔を見た。その顔は泣き崩れていた。
「泣かない……泣かない」
「どうしたんだよ!」
ココは手で目を擦るから目が赤くなってきた。
もう、見てられなくなってきた。
俺はココを抱擁した。ココの涙が俺の胸に落ちる。
「どうした?俺がココにいるから。安心しろよ。なっ?」
俺がそう聞くとココはコクッと頷いた。その後、ココは泣き止んだ。それでも、俺の胸に落ちた彼女の涙は何か、不幸な事を予知させた。
俺は知らない。彼女が泣いた理由を。
そして、俺は不幸にぶち当たる事となる。
いつか、きっと。