今回は特に言う事はありません。
会場には多くの人がいる。前の方には審査員らしき人たちが座っていて厳しい顔つきで書類に目を通していた。
よくよく見ると、光も座っている。この会社の社長だから出席しているんだろう。ちなみにココは光の所にいる。ココは俺がいるのを分かっている。ココは俺に手を振ってきたため俺は手を振り返してあげた。
ちなみに、今俺がここにいる事を光は知らない。まず、俺と幼乃が手を組んでいる事さえも知らないだろう。その分、ちゃんと審査してくれるはずだ。
もちろん、自分の母親がここの会社の社長で今ここにいるという事は北瀬にも言ってない。どこかしらの会社の社長とは言ったが、こことまでは言ってない。
壇上の上で出場者が今までしてきた研究の結果を発表して論文形式で言っている。プロジェクタを使い、スクリーンに映った図などに表やグラフを映し、レーザーポインターで説明している。ほぼ全ての人がそうやって説明しているらしい。
「なぁ、柚子木。めっちゃつまんなくね?」
「実は俺もそう思ってた。でもそれはNGだ。思っても口に出すな。余計にそう思っちゃうから」
「だよねー」
北瀬はある事を思い出したかのように「あっ」と言って、バックの中からある物を取り出した。
「この前湯島の誕生日あったじゃん?」
「ああ、あったな。それがどうした?」
「これを貰ったんだよ。湯島から!」
北瀬はそう言うと俺の前に湯島から貰った物を俺に見せた。それはヘアピンであった。とても可愛らしい。けれど北瀬なら似合うかもしれない。
「どう?これさ、湯島と二人でショッピングモールに行った時に湯島に買ってもらったんだよ。貰うだけじゃ悪いからとか安物でゴメンねとか言ってたわ。チョー可愛い‼︎この頃、髪が長いからさ邪魔だったんだよね」
「じゃぁ、一回つけてみてよ」
北瀬は右から左へ前髪を寄せてヘアピンでパチッととめた。さっきまで前髪が邪魔そうだったが、いまはさっぱりとしている。
「意外と似合ってるぞ」
「そう?今度からこれつけて登校しようかな」
「しない方がいいと思うぞ。彼女いないが現在年齢の奴らからしたらお前は目の敵だろうな。部活では一年で唯一のレギュラー入りで彼女もいるとかリア充の極みだな」
「そんな褒めたって何も出ないよ」
「帰りにマ◯ク行くぞ。んで、俺にビックマ◯クを
「マ◯クかよ。まぁ、いいや。株主優待あるし」
……実は俺も株主優待券を持っていたり。まぁ、絶対に言わないけど。
俺と北瀬が話している間にもどんどんコンテストは進行していく。そして、もうすぐ弥生の出番となった。
弥生の前の人の出番が終わりMCらしき人が会場を盛り上げるようにこう言った。
「さぁ、次は連日ニュースで引っ張り
弥生は奥の方から現れた。凛としていて堂々としている。その姿はまるで勝つ事が分かっている者の絶対的な安心が現れていた。
まぁ、別にそんな事は分かりきっている。別に俺の目標は幼乃を優勝させる事ではない。弥生を優勝にさせないためでもない。
弥生の過去の誤りを正すのである。そして、弥生の目を覚まさせる。それが今回の目標。
そして、それをする事が出来るのは俺じゃない。幼乃である。俺が出来る事は見守る事のみ。祈りを捧げる事しかできない。
自分が直接関与できないとここまでハラハラするものなのか。