今回は結構いい感じに仕上げたつもりです。
関係者立ち入り禁止の奥に勝手に入り込む。そして控え室にたどり着く。控え室のドアを開けると幼乃が椅子にちょこんと座っていた。
幼乃は緊張しているのだろうか。表情一つ変えない。強張っている。両手は膝の上に乗せて研究用の白衣を握りしめて、体が石のように固い。
「おい、幼乃。今来たぞ」
俺が声を出すと幼乃は「ああ。ありがとう」と言うと重い腰を上げた。
「緊張してるのか?」
幼乃はコクッと頷く。やはり、弥生のあの演説を聞いてしまうと
セミのように今まで土のような暗くて光の当たらない所にいた。だから、初めて当たる光はどのようなものなのかが分からない。
その光は優しく照らすのか。強い光で殺すのか。
すると、北瀬がドンッと少し強めに幼乃の背中を叩いた。
「痛い!何をする⁉︎」
幼乃はムカッと怒った。緊張しているのに邪魔をされるととてもムカつく。でも、北瀬はそんな幼乃を見てると「フハハ」と笑う。
「やっぱり幼乃ちゃんはそうじゃなきゃ。緊張してる姿なんか幼乃ちゃんじゃない。怒りっぽくて、凄く感情的。でも、どこか堂々としている所がないと。お前はお前らしさを持てよ」
「でも、私はこ……怖い。もし、失敗したら。みんなが見てる前で失敗したら……」
「しねぇよ。だって俺と柚子木がいるじゃねぇか。三人集まりゃ
幼乃はそれを聞くと涙ぐんだ。溢れた涙を白衣でゴシゴシと拭く。「別に泣いてなんかおらん。これは涙じゃない」と涙声で言いながら。
「おい、北瀬。女の子泣かせるとか最低だろ」
「いや、嬉し涙はノーカンだろ‼︎」
「最低じゃな。初めて泣かされた」
「ええっ?マジで?初めて?」
「そうじゃ。『初めての友達』に泣かされた」
俺は北瀬の頭をポンッと叩いた。やるじゃねぇかこのヤロー。
「で、いい感じの雰囲気の中悪いんだけどさ、あと少ししか時間ねぇよ。どうする?」
「そうじゃな。まずは水をその水槽に入れてはくれぬか?蒸留水を作らねば」
おう。俺たちは水槽に水を入れに部屋を出た。幼乃は他の準備に取り掛かる。
さてと、俺たちのショータイムの下準備をしておかねば。
俺たちは実験器具を置くために台を用意して、装置をその上に置いた。
そして、幼乃の出番となった。
「俺たちはどうすればいい?客席?壇上?」
「壇上にいてくれ。雑用をお願いしたい」
「はいよ」
そして、俺たちは足を一歩踏み出した。光当たる場所に。