今回は……。ネタが尽きてきましたね。前書きで言うネタがない。
スポットライトの光が当たる。客席にいる人たちが俺たちを見る。その視線はとても刺々しいものであった。
もちろん、それは心していた。今まで自論をただ発表しているだけだった。それをただ繰り返す。でも、俺たちはその流れに逆らうのである。異端者を見るような視線になるのも無理はない。
が、俺には刺々しい視線以外のものも感じられた。その時、俺は壇上に立った事を後悔した。
光とココが見ている。光は驚いている。流れに逆らうからではない。俺が壇上に立っているからである。
ココも訳がわからないような顔をしていた。
俺は手でこっちを向くなという仕草をとった。
幼乃は壇上のマイクを手に取り、そのマイクに思いを吹き込んだ。ぎこちない標準語は滑らかではない。
「えー、今から私が発表を行います。私の名前は蕗見幼乃と言います。私が今まで研究してきた事を言葉だけで説明するのは物足りないと思いました。ですので、今回は実際に目の前で実験を行ってみたいと思います」
その言葉で会場はざわざわと落ち着きないものとなった。有名な弥生の妹だから期待されているからなのだろうか。実験なんてしてはならないという苛立ちか。
会場の客の声はとても痛いものである。直接自分に届くから批判などは心の的にグサッと矢を射るようなものである。
それでも、幼乃は逃げなかった。壇上の上に堂々と立ち、観客と睨み合った。
すると、会場にある声が響き渡った。光の声である。
「あの、静かにしていただけますでしょうか。今、彼女らの発表です。あなた方がどう思おうが知りませんが、彼女らの発表を無駄にはしないで頂きたい。それでも嫌だったらここから出て行ってください。人が頑張った事を何もしていない人たちが偉そうに言えるのでしょうか」
その言葉で会場全体がシーンとした。重く、威厳のある声であった。いつもの光の声ではない。人をまとめる力。親のなんかかっこいい姿見た気がする。
光は言い終わると俺の方を見た。あとはお前が最後までちゃんとやれと言っているような感じがした。
幼乃は話を続けた。
「私の姉が前にある金属の性質を発表しました。この金属は耐熱性が高く、通電性もよい。また、金属としての延びも良い。しかし、希少性が高く、大量生産ができない。これを発見した事により彼女は有名になりました」
幼乃は指をパチンと鳴らした。俺と北瀬はその音とタイミングよく幼乃の前に台を用意した。その台には無色無臭の透明な液体が置いてある。そして、その横には銀色の粉が入っているカップがある。
「えー、この粉は私の姉が性質を発表した最近新しく発見された金属を粉末状にした物です。この金属をこの中に入れてみましょう」
幼乃はそのカップを液体へと傾けた。カップの中にある粉末状の金属が砂時計のように下へ落ちる。
すると、どうであろうか。
なんと、金属が消えたのである。金属がその液体の中に入ったのにも関わらず、液体の中には何もない。
幼乃は白衣を脱いだ。その姿は囚われていた何かから解放されたような感じであった。
「今から簡単なイリュージョンをお見せします。常識なんてない次元のイリュージョンを……」