さぁ、episode6が終わりに近づいてます。多分後1話で終わりです。
「待て!弥生!」
弥生が会場から出ようとした時、幼乃が引き止めた。弥生はその声を聞いてしまい足が動かなくなった。
弥生は近寄ってくる幼乃に
「何の用?」
冷たい目で人を見ていた。目には血が通っていないかのように精気が感じられなかった。
皮肉が詰まっていた。幼乃には見せまいと思っていた感情がつい出てしまう。
コンテストでは弥生が勝った。一番という偉大な成績を収めた。
でも、弥生自信は勝ちと思えない。コンテストでナンバーワンをとっても、観客の人たちの心に居座る事はできなかった。
幼乃は演説だってグダグダで、みんなには幼乃の自論の意図がつかめなかっただろう。でも、幼乃の研究には対する情熱の強さを感じる事ができた。
幼乃は弥生の見せた顔に怯んだ。全てを飲み込むかのような憂い。どこを見ているのかわからない目で幼乃の事をじいっと見つめる。
前までの幼乃だったら何も言えずに命令された通りになっていただろう。でも、今の幼乃は違う。少しの間だけだったけど研究者として、人として成長できた。
幼乃は弥生の前に堂々と立った。
「儂は負けん!弥生がどんなに強かろうと、勝ち目がなくても、儂は逃げん。弥生の前に堂々と立ちはだかる。そして、儂からも弥生はそういう存在。人には人の長所がある。だから、負けたっていい。何回でも負けたっていい。儂は自分を認めてもらえればそれでいい‼︎」
彼女の本心である。
弥生という大きな存在があったから、幼乃は弥生の陰に隠れていた。でも、今幼乃はその陰から出ようとしている。いや、出ている。そして、弥生を追い越した。
背後にいた幼乃がいつの間にか弥生を追い越していた。弥生もそれは気づいていた。幼乃の資質は並大抵のものじゃない。
才能に抜かされるのが嫌だった。だから、才能を陰に隠していたが、幼乃は陰から出た。次は弥生が幼乃の陰から出る番だ。
そして、二人並んで歩けばいい。
喧嘩して、ぶつかり合って。いつしか二人の陰が重なり合うから。そんな風に歩いて行けばいい。
幼乃は弥生にこう提案をした。
「儂とはもう一緒に研究はしないのか……?」
その言葉はサァッと通り抜けて空へと飛んでゆく。
弥生はゆっくりと口を開けた。
「ええ、それはもうないわ」
「そうなのか……」
幼乃はひどく落胆した。
「でも、幼乃と私は同じ研究者なの。やり方は違えど目的は一緒。研究者はみんなライバルなのよ。仲間であり、ライバルでもある。そうでしょ?野良猫さん」
幼乃はふっと口もとを緩ませた。
弥生は「さてと」と言いながら家に帰ろうとした。幼乃はそれを止めなかった。
諦めない目を持つ者を止める資格なんてない。
「じゃぁ、俺たちもそろそろ帰るか」
「だな。んじゃぁ、幼乃の片付けの手伝いをしてから帰るか」
俺と北瀬が控え室に向かおうとすると、俺に対して見覚えのある殺気が背後から感じられた。俺はそおっと後ろを振り返る。そこにいたのは光とココであった。
光は結構ご立腹のようである。
この後、光に俺は散々怒られた。