今回、特に言うことはありません。
俺はこんな考えを持っている。『嫌な事あれば良い事がある』と俺は信じていた。
けど、現実は俺の甘ったるい考えをグチャグチャに潰して唾を吐いた。
家の中には誰もいなかった。家中が暗い。ココのいる気配もない。
「嘘だろ?」
その時最悪の状況が俺の頭の中に出てきた。
俺はその最悪の状況を否定したかった。全力で否定してこんな事を考えてしまった自分にバカだなと言いたい。
俺は靴を玄関に投げ捨てて家の中に入った。家の中に入って俺はココを探した。各部屋を一つづつ探してみた。でも、ココは出てこない。
俺が家中を探しているとテーブルの所に紙が置いてあった。その紙は見てはいけないような気がしてきた。だから、その紙の存在を無視した。
それからもココを探した。けど、ココの姿、形、雰囲気。何一つ感じられない。
ココが封じられているという石も調べてみた。石は確かにあった。でも、石の中にあるココの魂が感じられなかった。
あの石はあったかくて、命の鼓動が手にも伝わってくる。でも、今俺の手の中にある石は冷たいただの石ころ。
俺は腹を決めた。テーブルの上に置いてある手紙を見た。
光牙様へ
お帰りなさい。光牙様。
この手紙を見たという事は学校から帰ってきたのでしょうか?今日もお疲れ様です。
今日は一つ私から光牙様に伝えないといけない事がございます。
今日からこの家を出ます。ちょっと用事がございまして、10月の終わりぐらいまで戻ってこれません。
でも、私は戻ってきます。大丈夫です。必ず私は戻って参ります。
戻りますけど戻れません。ですから、そんな私を受け入れてあげてください。
今まで私は光牙様にワガママを言った事がありません。けど、せめて叶えてもらうならこう願いたいです。
どうか私の事を忘れてください。私みたいな何をやってもダメダメな地縛霊の事を忘れてはいただけないでしょうか?
今までありがとうございました。私はとても嬉しかった。一人ぼっちの私が心優しいあなたのような方と生活できるのが嬉しかった。楽しかった。こんな私がここまで心満たされたのは初めてです。
だから、もう一度だけ言わせてください。
家族となれて最高でした。ありがとう。
ココより
その手紙はとても汚い字で書かれていた。至る所で紙に
俺はそんな手紙を持っていた右手を握りしめた。乾いた家の中でクシャッと音がなった。
「何が忘れてくださいだよ……。忘れられるわけねぇじゃん。何なんだよ。いきなりどっかに行きやがって……」
何でだろう。近くにいた人が心の拠り所となっているのを気づくのがいなくなった時なのは何故だろうか。そして、その人が遠くに行けば行くほど心に刺さった
その棘を抜こうとしてその人の事を忘れようとする。でもそうすると考えてしまい、さらに痛くなる。
ココが何故ここを去ったのかは分からない。でも、俺がその棘に何回も刺されていくのだけは嫌なほど分かった。