今回は衝撃展開ですね。
俺は神崎の言葉を信じて一週間普通に過ごした。普通に過ごそうと努力した。ココの事を考えないようにした。
でも俺の心の何処かでココの事を心配する自分がいて、これから何が起こるのかがわからない事に怖気づいていた自分もいた。
そして、一週間が経った。
帰ったらココが家にいて「光牙様〜、おかえりなさいですぅ〜」なんて言いながら出迎えてくれるのかな?お土産とか買ってきてくれたりするのかな?
俺はそんな事を思いながら家に帰っていた。
嫌な事、最悪の可能性を考えないようにして。
俺は家の前まで着いた。そこで俺は目に希望を持つ事ができた。
家で灯りが点いていた。ココがいるのではないか?俺はそう願えた。いや、ココがいる!そう確信した。
もちろんその確信は本当ではあった。でも、間違いでもあった。ココは確かに帰っていた。でも、帰ってきていなかった。
そんな事も知らずに俺は家のドアを開けた。大きな声で「ただいま!」と言った。
俺が声を出すと奥の方からココが出てきた。俺はココを見ると笑顔で「ただいま」と言ってやった。
俺は嬉しかった。ココが帰ってきた事。また、二人で生活できる事。ココに何もなくてよかった事。
久しぶりにココを見ると抱きしめたくなった。
また会えたと思ったから。
でも、その幻想はことごとく潰される。
ココは俺を見ると不審者を見るような目で俺を見た。そしてココが言った一言は想像もできない言葉だった。
「あなたは誰ですか……?」
「えっ?」
俺はその言葉を聞いた瞬間、鳥肌がたった。背筋にゾワッとしたものを感じた。
怖かった。ココは俺を『柚子木光牙』としてではなく『見知らぬ人』として見ていた。それが怖かった。
ココの目は俺を知らなかった。いつものココの目ではない。
俺の頭の中は真っ白だった。ココの一言、たった一言だけで真っ白になってしまった。さっきまでの俺の幻想が風のようにどこか遠くへ去っていった。
その時俺はココが泣いていた理由をココの言葉の意味を薄々だが理由できた。理由したくはなかったが、せざるを得なかった。
ココは俺に「どちら様ですか?」と聞いてきた。
その時のココの目、表情、態度全てが本気だった。
最初は何かの茶番かと思っていたが、そうでもないらしい。そして、焦燥感が俺をこう思わせた。
……ああ、忘れられてしまったんだ。
忘れられられるのは
自分の存在が無いかのように思えてしまう。自分がこれまで何をしていたのかを考えてしまう。他人から認められてないという風にも思えてしまう。
さらに、自分に近い存在の人ほど忘れられると苦しい。
今まで半年間ずっと一緒に住んでいたのに忘れられるのは俺にとって屈辱でもあった。
俺は自然と涙が出てきてしまった。
ココはここにいるはず。目の前に姿があるはずなのに俺にはココが見えなかった。
ココという心が、意思が俺の目の前からは消えていた。
会えなかった。ココに。