こんな奴でも青春したいっ‼︎   作:Gヘッド

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はい!Gヘッドです!

今回は結構重要回ですね。



結局、俺は無力なんだ

「俺が侵略者⁉︎」

 

神様の指は確かに俺を指していた。それを聞いた神崎と五条は状況を理解できていない。もちろん俺も理解できない。

 

俺はそんな事をしようと思ってもないし、してもいない。まず、(けが)すと言っても俺が何をしたのであろうか。

 

「俺は何をした?」

 

「お主か?お主は佳代と接触した。佳代は儂が(あが)められている土地の守護霊。守護霊は16方位に配置されていて、儂が崇められている土地を悪や邪気から守る役割を持っている。なのに、お主と会ってからは佳代はその役割を(おろそか)かにしておった」

 

「俺と会ってから?」

 

「そうじゃ。お主と会うまで、佳代はちゃんと役目もこなしていて、守護霊の中でもトップの成績であり、とても(いちじる)しかった。けど、お主と会ってから守護霊の仕事をすっぽかして、お主のために働く侍女となりおった。まぁ、最初のうちは甘く見ていたのだが、さすがに少し(なま)け過ぎていた。だから、儂は夏に佳代に会いに行った」

 

「夏に?」

 

「うむ。お前は里帰りじゃった時に、儂は佳代に忠告した。お前を追い出せと」

 

「俺を追い出す……」

 

「そう儂が佳代に言うたのじゃ。そしたら……。いや、ここは口頭よりも記憶共有(ビジョン)にした方がいいか」

 

神様は俺と神崎、五条に手の平を出した。神様は俺たちに手の平を合わせろと言うので俺たちはそれに従う。

 

すると、俺たちの頭の中にある記憶が流れ込んだ。目を閉じていても見えてくる。感じた事のない感覚。

 

神様の記憶を(のぞ)いた。俺は神様には何も言い返せなかった。

 

悪いのは全て俺なのかもしれない。そう思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直射日光が地面を照らし、日が当たらない木の陰では蝉がけたたましく命を削りながら次の命のために鳴く。外はサウナの様な感じで蒸し料理の鍋の中。

 

神様は俺の家の所まで来た。インターホンを押す。すると、ココが家のドアを開ける。

 

「久しいな、佳代。会いに来たぞ」

 

家に来たのが神様だと知るとココは気まずそうに接客をする。神様をリビングまで案内して、麦茶を出した。

 

神様は椅子に座ると部屋の中をぐるっと見回した。

 

「ほぅ、随分と立派な所に住んどるのぉ」

 

「は、はい」

 

その姿は仕事の上司と部下。ココは神様にぺこぺこ頭を下げる。

 

「で、佳代よ。何で儂がここに来たのかも分かっておるのだろう?」

 

「……はい」

 

「うむ。よろしい。佳代はそこまで馬鹿ではなかろう。だが、今年の春からお前の成績はなんだ?今までトップだったお前があそこまで酷くなるとはな」

 

「……すいません」

 

「やはり、あの男のせいかのぉ」

 

神様がそう言うとココは必死に反論した。

 

「そんなっ!おかしいです。何で光牙様のせいにするんですかっ⁉︎光牙様は何も悪くはありません!」

 

神様はそんなココを見るとクスッと笑った。

 

「なんだ?佳代はあやつの事が好きなのか?」

 

「そそそんなわけないですよぉ〜」

 

ココは動揺した。そんな姿を見ている俺は少し萌える。

 

「けど、やはり事実は事実。捻じ曲げる事など出来ん。だから、佳代。お主自身が選択するのじゃ。今後の事を」

 

「私が選択ですか?」

 

「そうじゃ。まず一つはあの男をこの街から消す事じゃ」

 

「消す⁉︎光牙様をですか?」

 

「うむ。街の人を操って彼奴をこの街から追放するのだ」

 

「そんなっ!酷いッ‼︎光牙様は悪くない!ただ、高校に通うためにここにいるのに……。……それは無理です。選択なんてできません。私が光牙様の未来を決めるなんてできません。自分の未来は自分で選ぶんです」

 

「まぁ、そう言うと思った。だから、もう一つだけ選択を用意しておる」

 

「それはどんなのですか?」

 

神様はまた笑った。その時俺は思った。さっきの笑みは弱者を(さげす)み、手の中で転がして楽しんでいた笑みだったと。

 

そして、今の笑みもそうである。底知れぬ暗さ、人はそんな事できない。神だから、何百年と生きていた神だからこそできる事。人を知り尽くしている。そんな人を堕とす事を楽しむ。

 

怖い。今まで会ってきた中で一番怖い。誰よりも怖い。

 

門川だって、清戸だって、弥生だって怖い一面はあった。でも、それは誰かのためにしている事。自分以外の誰か。門川ならGHBのために、清戸なら学校のために、弥生だったら幼乃のために。

 

なのに、神様は違った。自分のために動く心だった。

 

「もう一つの選択は、佳代。そなたの記憶を消すのじゃ。あの男と会う前、いや、そなたが守護霊になって成りたての頃の記憶まで戻そう」

 

「そ、そんなっ!他の方法はありませんか?」

 

「ん?それはダメなのか?自分の人生は自分で決めるのではなかったのか?」

 

「そ、それは……」

 

ココは何も言えない。そんなココを神様は笑いながら見ていた。

 

極刑であった。自分を犠牲にするか、俺を犠牲にするか。

 

結局、ココは選んだ。自分を捨てて俺を助ける道を。

 

そして、神様の予想通りに事が進んだ。

 

俺は自分を悔やんだ。もし、あそこで俺が里帰りに行ってなければ俺はそれを防げたのではないか。少なくとも、早くその事を知ることが出来たのではないかと。

 

俺はつくづく思わされる。

 

自分は無力だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

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