こんな奴でも青春したいっ‼︎   作:Gヘッド

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はい!Gヘッドです!

今回は神様の過去回ですね。




理不尽すぎる世の中で

記憶共有(ビジョン)。神様が使える一つの情報通達手段。共有できるのは記憶だけだからその時当事者が見ている事しか見る事ができない。

 

でも、記憶だから当事者のその時の感情も同時に共有する。神様のその時の感情は(あらが)う者を楽しみながら(なぶ)り殺している時の死刑執行人。哀れと思うよりも、馬鹿だと蔑む心。

 

安産の神様は何故酷いのか。俺には不思議でしょうがない。安産の神様のイメージはもっと優しそうで、母性を感じる人。そんなイメージ。

 

この神様にはその感情が微塵(みじん)も感じられない。底知れぬ黒い穴がぽかんと空いていてそこに人を引きずり下ろしていくかのようである。

 

「おかしい」

 

「ん?何がおかしいのじゃ?」

 

「お前がおかしいんだよ。なんでお前は誰かを落とす事しか考えてねぇんだよ?お前は神様だろ?しかも安産の神様。でも、お前にはその母親らしい優しさなんかどこにもねぇじゃねぇか。悪魔だよ!お前は」

 

俺の暴言はとても脆いものであった。そんなの俺の主観的に見た意見だし、相手は神様。しかも現在の状況では、圧倒的に俺たちは不利。「だからなんだ?」の一言で終わらせる事だってできた。

 

しかし、神様はその言葉を踏み潰す事はなかった。

 

「そうじゃな。儂はお前たちにしてみれば悪魔じゃな。じゃぁ、儂が悪魔になった原因を教えてやろうか?」

 

「原因……?」

 

神様は自分の墓石の様な岩を触りだした。

 

「この岩は儂の家があった所じゃ。元々儂は夫と二人暮らしだった。夫は優しい人だった。だから、儂は夫と二人暮らしでもいいかと思った。けれど、時代は昔じゃ。子を産まなければ意味がない。だから、儂がいざ子を産もうとした時、儂に子ができなかった。儂は不妊症だったのだ。夫はそれを知ると血相を変えてこう言った。『使えん女は死ね』と。その時、夫は酒に酔っていた。だから、夫は歯止めが利かず、持っていた刀で儂を斬りつけた。儂はそこで息途絶えて、村の人たちに不遇と思われてこの地に埋められた」

 

「それがどうした……」

 

「まぁ、ここまではまだ序の口。こんなものは別に苦でもない。儂は殺された後、村の人たちに供養されていた。しかし、ある人がこんな事を言い出した。『不妊症の女を崇めれば不妊症にならなくて済むと』。だから、人々は儂を崇めた。そして、今に至るのだが、一つだけ気に食わない事がある」

 

「気に食わないこ事?」

 

「そうじゃ。儂は子がおらん。なのに、みんなは儂を安産の神様として崇める。だから、子連れが多く来る。それが気に食わんのじゃ」

 

その時の神様の顔は少し陰りが見えた。今までとは違う顔。人としての感情を感じる事ができる顔。

 

もちろん、神様が気に食わない理由は分かった。神様自身は子を産んでいない。産めなかった。なのに、毎日のように子を産んだという知らせを聞いている。誰かは産めたのに自分だけは子を産めない。勝手に殺されて、勝手に神様にされた結果が、また地獄を見ている。

 

時に人は他の人が笑っている顔を見るとイラつく事がある。自分はできないのに誰かはできている。自分は不幸で相手は幸福。

 

それは胸をえぐられるような痛みだろう。

 

「でも、それをなんで他人に押し付ける?お前が押し付ければ新たな犠牲者が増えるだけだろ?」

 

「なら、一人ぼっちの儂はどうなる?儂はいつまでも一人なのか?いつまでも誰かの成功を指を咥えて見ていないといけないのか?おかしいじゃろ。この世はなんて理不尽なのだ?」

 

俺はもし彼女の立場だったらと考えてみた。俺も多分そうなってしまうだろう。そんなにも心寂しく、一人で世の中の理不尽と向かい合ってきた。目を合わせるのも辛いはずなのに。

 

俺はさっきとは一変した考えを持ってしまった。

 

神様は本当に悪いのか?

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