こんな奴でも青春したいっ‼︎   作:Gヘッド

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はい!Gヘッドです!

今回は重要回ですよ。ちなみに、ココちゃん編のアウトラインはできました。

が、しかし、今回は神様とココちゃんの両方の悩みの解決なのでめちゃくちゃ長くなります。まぁ、楽しみにしてください。



証明の巻物

神様の目はぶれない。しっかりと前を見ている。確かに(ひね)くれているが、話の筋はきちんと通っている。

 

だからこそ、説得しにくい。しっかりとした考えを持っているからこそそれは揺るぎない信念となっている。

 

それは自分が幸福になるよりも他人を不幸にする事。そうして、不幸の人を増やす事で自分が不幸である事を(まぎ)らわそうとする。

 

幼乃や弥生は蹴落とす道を選んだ。神様は引きずり込む道を選んだ。自分が下でもいい。標準を下げて、自分を高く見せようとする。

 

しかし、それではある事と矛盾してしまう。

 

「なぁ、あんた他人が子供を産む事を望んでないんだろ?」

 

「そうじゃ」

 

「じゃぁ、なんであんたは神様としての力をその人たちに使っているんだ?安産の願いを成就させてあげているのは何故なんだ?別に嫌なら……」

 

俺がその先を言おうとすると、神様は少し強く言い返した。

 

「甘い‼︎そんなに簡単にできるならそうしとる」

 

「……何故できない?」

 

「儂の仕事は神様じゃ。誰しも仕事をしないと十分に生きていけない。神様だって一緒じゃ。儂だってしたくて神様をしているのではない。しかも、神様の役割を放っておいて人に害をする様なら他の上位の神に消される。儂はもう成仏する事も出来ず、この仕事をしないと消される」

 

悔しくも仕事をするか、全てを失い消されるのか。成仏なんて甘ったるい道はない。神様に残された道はどちらも地獄道。燃え盛る道を裸足で歩くか、真っ暗な底のない谷底まで落ちるか。

 

俺はココだけでなく神様も苦渋(くじゅう)の選択を迫られているのだと思った。

 

原因が大きすぎると俺は思わされた。神様がこんなになってしまった原因は俺の思っていた以上のものだった。最初、俺は原因を無くす、悩みを消してココをもとに戻してもらおうと思っていたが、それははっきり言って無理である。

 

なら、原因はどうあれ結果を変えるのだ。ココを助ける方法を。

 

しかし、どうすればいいのだろうか。結果を変えるといっても何をどうすれば神様の心は動くのだろうか。

 

誰かを犠牲にする?いや、それは俺が人間として俺でなくなる。そして、ココはそんな方法で元に戻ったと知ったらひどく悲しむ。

 

俺を犠牲にする?いや、それもダメだ。それもココはひどく病んでしまう。

 

神様を倒す?いや、神様を倒すなんて前代未聞。まず、そんな事したら俺の親族はまず全国の神様から嫌われ者となり不幸のオンパレード。俺以外の人に迷惑をかけるかもしれない。

 

土下座?いや、それは多分終わりがない。俺が土下座したらそこを神様は突いてくる。俺を奴隷のように扱うかもしれない。そして、ココは助からないかもしれない。

 

他の上位の神様に頼む?いや、まずこの神様の上に立つ者はそうそういない。安産の神様として凄く有名だし、もし仮に俺が上位の神様に会っても、俺のこんな身勝手な願いを聞いてくれるだろうか。

 

なら、どうすればいいのだ?俺はどのようにしてココを助け出せばいいか。

 

俺に思い当たる策はなかった。けれど三人集まりゃ文殊の知恵。神崎が倉庫にあったある巻物を取り出した。

 

「こ、これを使ってはダメですか?」

 

巻物にはなにか術式の様なものが書いてある。それを神崎が神様に見せると神様は一瞬驚いた。

 

「それは、『証明の巻物』ではないか。懐かしいのう。お前の先祖にあげた巻物じゃ」

 

「『証明の巻物』?」

 

「ああ、これは証明を示す巻物なんじゃ。これは懇願(こんがん)者が、儂ら神に対して使うもの。神はこの巻物を使われたら断る事はできない。絶対に叶えないとならない」

 

「じゃぁ……」

 

「しかし、それには大きなリスクも伴う。懇願者はその願いと同じくらいのリスクを背負う事になっておる。義務じゃ。神が懇願者に提示した条件をクリアできなければ地獄行き。もちろん、その条件は願う事柄によって程度分けはされておるがな」

 

「もし、ココを助けたいという願いは……」

 

「まぁ、お前はその願いが大きすぎる。ココは儂の守護霊としての(おきて)に逆らった。神に逆らった罪はとても大きい。その罪を消すとなるとお前は自分の存在を賭ける事になるな」

 

「俺の存在を⁉︎」

 

「そうじゃ。儂が今から提示する条件をクリアできなかったらお前はこの世界から消える」

 

それは、あまりにも残酷すぎると思った。

 

俺はこれでも一人の高校生。まだ、16歳の高校生。社会のノウハウだって知らない。

 

なのに、俺は今からこんなにも人生を分ける選択をしなければならないのか。

 

でも、俺はもう決めていた。どんなリスクがあろうと決心していた。

 

「やる。俺、その巻物を使う」

 

神様は俺の選択を知ると面白そうに笑う。

 

「逃げないのか?」

 

「ふざけんな。逃げねぇよ」

 

「そうか。じゃぁ、今から条件を提示しよう……」

 

俺は神様が提示した条件に驚いた。それは俺を潰しにきていた。

 

そして、巻物の試練が始まった。

 

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