今回は特に言う事はありませんよ。
ココの元に来てからどのくらいたったのだろうか。倒しても倒しても湧いて出てくる敵を倒して倒して倒して倒して。倒しまくったその先にはまた敵がいる。
でも、俺にそんなこった関係ない。どうせ消える俺はココのために力を使いたい。一回も慰めることができなかった俺はずっとココに背を向けてた。
なら、今度はどうすればいい?
答えは自ずと出た。多分、その答えは間違ってると思う。でも、俺はこれしか出来る気がしなかった。
だって、この世界のココの心の中に俺が座る席はない。それなら、せめて守らせてほしい。俺なんかどうなってもいいから。
「ヤベェ。久しぶりの喧嘩は疲れるね。つか、カラダなまりすぎ」
「け、喧嘩だと⁉︎ガキが‼︎死ね!」
敵は刀で斬りつけてきた。けど、簡単にかわせる攻撃。
「屁っ放り腰。弱すぎ。はい、次」
その男を横側から蹴るとコロンとダルマさんのように転んだ。次の敵もそれまた弱かった。
俺は余裕すぎたのでココの方を見た。「早く行け」とハンドサインを送ったのだが、ココは一向に行こうとしない。ずっと足首の方を触っている。
骨のある奴が一人もいなかったのでイライラしてた俺は蔵の中にあった木材を敵に投げつけて、ひるんでいる隙にココと一緒にこの場を乗り切ろうとした。
ココの手を取り引っ張ると、ココが「痛い!」と言う。どうやら
俺は逃げるっていう戦法を今までとったことがなかった。いっつも
森の中を駆ける。草を踏み、根っこを飛び越える。とにかく逃げた。敵が追ってこないように。
すると、ココが俺にこう言った。
「か、体が……。光牙さんの体が……」
俺は自分を見た。段々とだが、体が透けてきている。というよりも消えてきている。
「そろそろか……」
俺はココを下ろした。
「なぁ、俺はもうそろそろここからいなくならねぇといけねぇんだ。だから、ここから先はあんた一人で行け」
「でも、私、歩けない」
「大丈夫だって。片足で行けばいいんだ。少しずつでもいい。俺はあんたの所に敵が来ないようにしておくから」
「でも、それではあなたは……」
「心配すんなよ。俺はもう、消える運命なんだ。だから、行けよ。大好きな人の所へ。もう後ろを見るなよ。捨てなきゃいけねぇ時も来るんだ。村を見るな。俺を見るな。見るのは前だけでいい。一歩一歩進んでけよ」
俺はココの肩をポンポンと叩いて元気付ける。ココは涙ながらに「ありがとうございます」と礼をして前へ一歩一歩進んで行く。
片足だけだから、一歩でも二歩歩かないといけないけど、それでも俺はそんなココに着いて行ける気がしない。どんどん離れて行くと少し悲しい気分もあった。もう会えないのかと思えてしまう。
一歩、また一歩と進むココ。その場に立ち止まりココの進みを見守る俺。どんどん距離は離れて行くのが辛い。けど、覚悟を決めた身である。
俺はココに向かってこう叫んだ。
「元気でな」
そして、後ろを振り返る。そして、蔵へ戻る。敵を引き寄せてココの所へ近づけないようにするために俺は敵の目の前まで戻って、ココの逃げ道とは逆方向に逃げる。敵は俺についてきた。
そして、少し経つと俺の体が消えるのが本格的になった。そして、数十秒すると、徐々に指先から消え始めた。
その時にはもう敵に囲まれていた。俺の首元には槍が突きつけられている。抵抗なんてしない。澄んだ目で俺は空を見ていた。
「生きろよ。ココ」
そして、その時チャリンと鈴が鳴った。