前回は全然書けてなかったので今回は少しだけ頑張りました。
俺の右手にかかっていた鎖がブチッと切れた。その鎖は簡単に包丁がゼリーを切るように切れた。
でも俺はそんな事に気づかなかった。ずっとココの言っていた事を考えていた。考えたくなかったが、考えてしまっていた。
ココは我慢してたんだと思う。自分の不遇さとこの時代の歴然の差に我慢していた。俺が普通に生活して、普通に友達と遊んで、普通に寝て、普通に笑うことにずっと我慢していたんだ。
心から楽しんでいたとしても、絶対に心の一部は嫉妬していたんだ。でも、その気持ちをずっと抑圧していた。そんな事ないと思いながら。
この事態は「しょうがない」の一言で解決は出来る。でも、俺はそんな事で解決したくなかった。そうやって、また心に溜め込むんじゃなくて、発散させなければならない。心の中にある思いをぶち撒けさせる。そうしなければ、俺とココの生活は終止符を打たれる。
一瞬だが、俺はココの言葉に揺らいだ。「俺とココは合わない」という言葉は多分そうかもしれないと思った。全然違って、噛み合わないパズルのピースのように。
「確かにそうかもしれない。俺とココは合わないかもしれない。俺は強すぎて前なんか見ることのできないような光かもしれない。お前はどこにいるのかわからないほどの闇かもしれない。けど、この二つは合わないけどいつもセットなんだよ。合わないけどいつも表裏一体で一方があるからこそもう一方がある。お前はどうか知らねぇけど、今の俺はお前がいなかったら今の俺にはなってない。お前はどうなんだよ?」
俺はココにそう聞いたが、ココは何も答えない。
「黙ったまんまかよ。また『目を背ける』気?」
「別にそんなんじゃありません」
「じゃぁ、答えろよ」
「嫌です」
俺は
「じゃぁ、ココ。お前に聞く。『目を背ける』と『逃げる』の違いは何だと思う?」
「違いなんてありませんよ。私と同じ弱虫に言う言葉です」
「まぁ、そうだろうな。でも、俺はこう考えてるんだよ。通らなければならない一本道の上に大きな大きな壁があるとする。そんな壁にぶち当たった時、その壁に背を向けて何もしねぇ奴が『目を背ける』奴だ。それに対して『逃げる』奴はその壁に背を向けてはないんだ。一旦その場から離れて、その壁を乗り越えられるように策を練って、準備してくる奴だよ。お前にはこの違いが分かるか?」
「分かりますよ。でも、いいじゃないですか。『目を背ける』ことだって時にはいいじゃないですか」
「お前の『時には』は長いんだよ。何年経ってんだ」
俺はもうこの時点で結構スッキリしていた。言いたいことを言えたからもう不満はなかった。後はココ次第なのでもう何もする気はなかった。
そう、何もする気はなかった。
ココはまたボソッと言った。
「光牙様には分かりませんよ。私の気持ちなんて」
「まぁ、お前の気持ちなんか分かんねぇよ。お前じゃねぇし」
「そう、言って人の気持ちをわかろうとしない光牙様だって目を背けてますよ」
「いや、だってダルいじゃん」
俺がそう言うとココは小声で自分に言い聞かせるように「ほらっ」と言った。
「なんだよ。なんか言いたいことがあんなら言えよ」
「じゃぁ、聞きますけど光牙様はまた元のように戻りたいんですよね?」
「そりゃ、もちろん」
「そうですか。では、もし元のように戻ったとしても、私はまた光牙様の前からは消えますよ」
「何でだよ?」
今度はココがため息をついた。
「まだわからないんですか?鈍感過ぎです」
「え?何で鈍感を知ってんの?まぁ、確かに俺の股間の方は鈍感だけど……」
ココは顔を真っ赤にする。相変わらずエロに対しては耐性がない。
「そ、そういうことじゃないんです。その……ただ…………」
ココは顔を赤くさせながら黙っていた。そんなに俺の股間ネタが恥ずかしかったのかな?
「と、ともかくここを出ましょう‼︎」
えっ?何?どうした?いきなり考え変わってないか?
「と、とにかく出口を探さないと!出口はどこかなぁ〜」
ココは慌ただしくなった。動揺しているが、ココ曰く鈍感な俺は全然状況の理解をできない。
「あっ、あったぁ〜。出口ですよ〜」
ココは出口とは遠くかけ離れたただの壁を指差した。
「お、おい。ココ?だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫ですって。ほら、それより出口ですよ」
いや、嘘つけ‼︎全然大丈夫じゃねぇよ。ってかグルグル目になってるから!
ココは絶対に出口ではない出口へと向かうために立とうとした。が、ココの手足には鎖がついて立てない。
その時、俺は右手が動く事に気がついた。
「あっ、動くわ」
「えっ?何で光牙様だけ取れてるんですか?」
「いや、知らねぇよ」
……あれ?何で鎖が切れたの?