「私は光牙様のことが好きです。その事実を曲げようと、今まで頑張りましたけどやっぱり無理でした。本心には逆らえないものです」
ココは優しい眼差しで俺を見る。細く、切れそうであるのに、しぶとく切れない糸のようである。いや、多分何度か切れたのだろう。でも、その度に元の形に戻る。前より一層強くなりながら。
人もどうせそんなもんなんだろう。何回も何回も何回も切れて切れて切れて切れて切れて。それを繰り返し続けていくことで強くなっていく。
でも、強くなるにも二つのパターンがあるのだろう。一つは、切れて直って強くなる事を繰り返して
俺はどっちであるのだろうか。でも、できれば前者がいい。だって、美しくなっていることに気がついてしまったら俺は過信してしまうだろう。そしたら、今までのみんなとの関係が一気に崩れてしまいそうで怖い。
長い年月をかけてじっくりと濃密に関係を作っても、壊れるのは一瞬だ。
ココの言葉は下手をしたら俺とココの間の曖昧であり、かつ揺るぎない想いでさえもぐらりと揺らす事ができた。
言葉とは残酷なものだ。相手に伝えたい事を伝えるという便利ツールなのに、一歩間違えたらなんでもぶち壊す破壊兵器。
俺とココの間もその言葉無しでは伝え合う事ができない。破壊兵器で俺とココは繋がっている。
そんなのは嫌だな。
抜け出せないものから抜け出そうとしている俺。言葉ではないもので俺の思いを伝えたいのに伝えられない。
俺とココの間に言葉が無くなり、音もなくなった。
反抗期だから、色々と反抗したいのよ。反抗できないものに反抗しても得るものは一つだけ。
どうにもならないという敗北。その敗北が俺の糸をまた強くする。
ココは黙り込んでいる俺に声をかけた。
「どうしたんですか?さっきから黙り込んで」
「いや、考え事だよ」
「光牙様が?」
「お前は俺をどう思ってるんだよ」
「一言で言うとバカですね」
だろうね。まぁ、さすがに何度も聞いたからもう怒らないけど。
「いや、俺たち二人の関係をたった一言二言にまとめていいのかなぁって。だってさ、俺たちは互いをどう見てるかは違うかもしれないけどさ、強く思ってることに変わりはない。だから、その思いを簡単にまとめたくはないなぁって思ってたわけ。どうせならもっと体で表現したいぐらいなんだけど、さすがにそれは恥ずいから」
「そうですか?私は別に言葉でもいいと思いますよ。だって、言葉なんてどうせお飾りなんです。相手がどう言おうがそれが本当とは限らないし、正確とも限らない。相手の言いたい通りに伝わっているわけでもない。でも、それでいいんてすよ。言葉だけじゃないから。だって、その人の行動一つ一つが思いを表しているから」
「行動一つ一つが思いを表す……」
「はい。それに、私はその方が心温かくなります。本当の思いを聞けるから」
じゃぁ、なんでココは鎖のラストの一本を切らないのか。俺はまだ本当の思いを聞けていない。