今回でココの説得は終わりです。でも、まだepisode6.5は終わりません。あと、一段階残ってます。
ココはもう答えを知っている。でも、知らないふりをしている。違うと心で思っているから答えじゃなくなってる。
本当は答えなのにそれを自分が認めたらもう一つの思いが殺されそうで嫌なんだ。二つの思いがあって今、俺の目の前にいるココがいる。
でも、世界は、時は、人は、物語は進んで行くんだ。変わって行くんだ。少しずつでも変わって行くんだ。その流れに逆らって、一人ぼっちになって、抜き去り流れ行く全てを悲しそうな目で見られるのはもうゴメンだ。その目が多分俺には死ぬほど痛い。なんで置いていったのかって何回も考えてしまう。
もう、俺は大切な人と別れたくはない。
「俺はココに戻ってきてほしい」
「……でも、私、あの家に行きたくないです。この時代に生きていい人ではないのに、あの家にいると本当に生きたくなってしまう。辛いんです!私だって辛いんです!光牙様の笑顔が私をこの時代に結びつける鎖になっているんです」
こういうココの言葉は俺の心にズシリと重くのしかかる。結局は俺のせいなのかと思わされる。
俺は多分強すぎる光なのかもしれない。だから、照らしちゃいけない所まで照らしちゃったんだ。今までみんなが見ないようにしていた事を。
だから、俺はココの本心に変わって言おう。
「だったらなんでお前はあの時泣いていた?文化祭の日の帰りにお前はなんで泣いていたんだよ⁉︎お前の涙は離れたいっていう涙だったのか⁉︎」
「そんな事は過去の事です!過去の事なんか……」
「じゃぁ、誰が過去を見ちゃいけないって言ったんだ?言っとくけど、俺は見たくて見てんじゃねぇよ。過去のお前が俺に見させてんだよ!」
「私が?」
「そうだよ。お前が俺の背中に落とした涙が全然取れねぇんだよ!その涙が俺に訴えかけてくるんだよ。『助けて』って。その涙が重すぎるんだよ。いつもいつも、お前の泣いてる姿ばっか想像させてくるんだよ!」
「そんなの、無視すればいいじゃないですか。友達と遊んでれば自然と私の事を忘れますよ」
「無理だ。だってお前は俺の家族なんだから。そんなんで忘れたらお前は友達以下になっちまう。でも、俺はそんな事はさせたくねぇ」
「家族、家族って言ってますけど、私たちは本当の家族じゃないんですよ!他人です!」
「他人だったらお前のその涙は何なんだよ。それに、俺、多分他人でも女の人の涙には動かされるから。男ってそういうもんよ」
泣いた女に弱いんだよ。守らねぇとって思っちまうんだよ。
ゴメンな。俺、バカだからココの涙止むまで全力しか出せないんだわ。
俺の頭の辞書には中途半端って文字ないんだわ。
いつでも俺はお前の隣で歩くつもりだけど。
お前の未練が十分に達成されるまで。
ココは泣いた。抑えがなくなったように、一気に泣いた。
「私は、私は、光牙様と一緒に笑いたい、一緒にバカをしたい、ケンカしたい。光牙様と一緒に歩きたい。二人で一緒にいたい‼︎」
ココは最後の鎖を断ち切って俺の元へ走ってきた。俺とココが接せない壁をぶち抜いて、飛び込んできた。
「背中の次は前かよ……」
「うわぁぁん!」
今までつまっていた何もかもがその泣き声とともに出たように聞こえた。
「その……、お願いなんですけどいいですか?」
「ん?何?」
「私が、誰かが、挫けそうになった時、そっと背中を押してはくれませんか?」
「何それ?」
「いや、その方が押された人は嬉しいんですよ……今のように……」
ココはぎゅっと俺の服の背中の部分を握った。