やばい。もしかしたら今回は35話くらいになるかもしれん。
法前と植木が生徒会に入ろうとした理由。そんな事を聞いたところで、生徒会に入りたいと思う人は増えやしないだろう。それでも、俺は知りたい。大変だと、めんどくさいと分かっていてもなお生徒会に入ろうとする理由が。
植木は大好きなエイリアン植物のショコラちゃんが入った植木鉢を抱えながら考えていた。ショコラちゃんは冬に近づいても元気で、花は常時開いている。
俺的に、植木の理由はとんでもないものだと思う。植木の価値観は見ての通りヒドいので予想より斜め上の返事をいただけると期待している。
植木は少し恥ずかしがりながらもこう答えてくれた。
「わ、私の、物の見方が、その……へ、変だから。だ、だから、生徒会に入るまではあんまり人には見せなかった……」
植木って自覚症状はあったんだ……。
植木の価値観は確かに普通ではない。異端である。多分、自分がそうであると誰か他の人に知られてしまうと、コミュニティーの中で噂という波がたってしまう。その波が彼女の心に強く当たるのだろう。それを知っているから植木は誰にも言わなかった。
「で、でも、ある時会長に見られちゃって……。そ、その時、私はこ、怖かった。ついに見られたくない物が見られたから……。会長はその場で笑った。『どんな趣味⁉︎』って笑いながら聞いてきた……。で、でも会長は馬鹿にはしてなかった。ちゃ、ちゃんと人の話を聞いてくれた。初めてだった。そんな人に出会えたのは。そして、選挙の時に会長が出るって聞いたから、だから私も出た……。本当の私を出したかったから……」
……なんか、すごくちゃんとした内容だった気がするのだが。あれ?おかしいな。さっきまで植木が生徒会に入ろうとした理由はクソみたいなほど変な理由だと思っていたのだけれど。
俺、悪者みたいじゃね?すごく罪悪感があるんだけど。
では、法前はどうなのであろうか。
「別にそんな特別な理由なんてないさ」
「植木さん先輩みたいなのはないんですか?」
「まあね。まぁ、理由は『憧れてたから』とかかな?」
「それは清戸先輩に?それとも生徒会に?」
「そりゃ、生徒会に」
法前は少し体勢を後ろにくずした。足を組んで、少し背もたれに寄りかかる。
「生徒会ってカッコイイって思わないか?」
「そうですかね?」
「そうだとも。生徒会は生徒たちの上に立つ存在であり、生徒たちを導くのも生徒会の仕事。大変なのは分かっていた。でも、それ以上にやる価値のある仕事だし、なおかつその経験が人生に活かされるから」
「へぇ〜。じゃぁ、どんな経験とかが活かされるんですか?」
「そりゃ、もちろん、『仲間がいればなんとかなる』って事だよ」
法前はそう言うと俺に質問を返した。
「柚子木くんはGHBにいるんだから、仲間が必要なことくらいわかるよね?」
「まぁ。そうっすね」
「だからさ、俺たちは仲間が欲しいんだ。生徒会をちゃんと動かせるほどの仲間が。仲間たちが。だから、お願いできるよね?」
法前は俺にそうお願いした。横にいた植木も後輩の俺に頭を下げた。
「わぁってますよ!やるに決まってるじゃないですか」
俺がそう言うと、二人は少し安心したようだった。
「あっ、そういえば言い忘れてましたけど、二人って仲いいっすね」
俺は自分の右手と左手を二人に見えるように握って見せた。もちろん、恋人つなぎで。
二人は最初、意味をわかっていなかったが少し考えると二人とも分かった。植木は少し恥ずかしそうにしている。
「いつぐらいからなんですか?」
俺がそう聞くと法前は7月と答えた。
「ラブラブですか?」
俺が少し野次馬みたいに聞いてみた。二人はこう答えた。
「もちろん」
俺は、この後部室に戻らないといけないと言って生徒会室を出た。つまり、生徒会室は二人っきり。もちろん、部室に戻らないといけないなんて事はない。嘘100%であるが、二人はこのことを知らないだろう。
俺が生徒会室から出て行った後、2人が何をしたかを知る者は誰もいない。