「……ということで、お前には仲間を集めてもらいたい」
「……何で、私なんだ?」
「いや、そりゃぁ、お前はもうほぼ生徒会に入ること決定してるだろ?」
そう、今俺が話しているのは赤石である。1年生女子で生徒会に立候補しているのは赤石一人だけなので、もうほぼ彼女が生徒会に入ったと言ってもいいぐらい。
なら、なるべく彼女が生徒会で過ごしやすいように彼女自身が誰かを生徒会に誘ったほうが良いのでは?という考え方。俺たちが勝手に生徒会に入る人を誘ってしまい、その人が赤石となかなか合わない人だったら赤石は嫌がるだろう。そのためにも赤石には自分で探してきてほしい!その方が、生徒会は円滑に進むはず!
「私がやらねばならない理由があるのか?」
「え?そ、そりゃぁ、自分自身で、これからの一年間生徒会としての仲間を集めたほうがいいんじゃないかなぁ〜と思って」
赤石はため息をついた。そして、自分の鞄の中から次の授業のテキストを取り出した。
「すまないが私は暇ではない。なるべく勉強をしていないと。宿題もあるし、これからの大学受験のことだってあるんだ」
赤石はそう言うと、次の授業の予習を始めた。
それを見た俺は背中がぞくっとした。俺には理解不可能であるのだ。次の授業の予習?何で予習なんかするの?別に意味なくない?少しみんなより進んでてもテストの範囲は変わりはしない。なのに、予習を、勉強をしようとするその勉強意識がバカな俺には理解不可能。勉強とか考えただけで
そう思うと赤石がだんだんと人間でないような気がしてきた。なんか勉強をするために作り出されたロボットのような。何も考えることができず、ただ勉強をするだけのロボット。情なんかまったくない。
そんな赤石を見ていた俺はボソッとこんな言葉を漏らした。
「さすが、学年不動のトップ」
しかし、赤石はその言葉が気に食わなかったようである。その言葉に食ってかかった。
「私はトップなどではない」
「え?嘘だ。お前がナンバーワンだろ」
「はぁ……。まぁ、確かにこの前の中間の合計は1位だったが、数学と理科が2位だった」
「え?お前に勝てる奴なんかいるの?」
赤石は結構悔しそうにそいつの名を教えてくれた。
「蕗見……蕗見幼乃だ」
ああ、あいつか。あいつ、試験なんかやらないとか言ってたけど一応やったんだな。
「なぜ、あの様な生徒がやる気になったのだ?」
あっ、それ俺のせいかも。
「くっ‼︎しかし、な、なぜ、気づかなかったのだ。蕗見という生徒はこれまで試験に出たことがなかったから見落としていたが、あそこまですごいやつだったとは。……くそっ、す、少し調子に乗っていたようだった」
……あれ?赤石さん?あ、熱いよ?
赤石は熱心に勉強を始めた。なんか、さっきからすごく熱気が感じられる。おかしいな。今は秋の終わり頃なのに。
……まぁ、でも前より楽しそうにしていてくれよかったわ。前は本当に死んだ魚の目みたいで。
「あっ、そうだ。放課後なんか用事ある?」
「フェェッ⁉︎」
「えっ?何?どうした?」
「い、いや、なっ、なんでもない。は、話をつ、続けてくれ」
「お、おおう。そのさ、放課後ポスター作るために新聞部まで行かね?」
俺がそう言うとテンパってた赤石が少し元に戻る。がっかりしたような顔をする。
「ああ、なんだ。……分かった。では放課後は一緒に新聞部まで」
「おう」
予鈴がなったので俺は席に戻る。そんな姿を見る赤石。
「……期待して損した……」