三年生が考えていた計画。それは生徒会選挙の日にみんなでしらばっくれる計画。それには3つの計画の目的がある。
1つは後輩たちに大仕事をやらせて早く仕事に慣れさせる。可愛い後輩たちのための目的でもある。
1つは二組の恋愛事情が理由である。清戸と北条、門川と広路と蕗見である。清戸と北条は特に問題はないのだが、門川と広路と蕗見の三角関係が問題となっている。そのため、この旅行でこの三角関係を解消させようというのも狙いである。
そしてラストの理由は、受験勉強の疲れを癒そうというものである。来年の1月から2月にかけて彼らは受験シーズンである。受験勉強の疲労が溜まっている状態から抜け出そうという
ではなぜ、この計画を当日に知らせたのか。それは適応力のアップという目的と、なんとなくそっちの方が面白そうだからっていう傍観者的な考えの結果でもある。
5時間目6時間目を使い生徒会選挙を行う。そのため俺たちGHBと生徒会立候補者は四時間目に出席せず、選挙の準備である。
普通、授業を一時間潰さなくてもいいだろうと思う。しかし、この学校の校風は『自らの行動に責任をもて』というように徹底管理型の学校ではなく、自己責任型の学校である。そのため、このことには先生だけでなく学校まで関与しない。関与するとしても、生徒会顧問とGHBの顧問くらいである。
そして、GHBと生徒会立候補者は大体こんな信念を持っている。
『自ずから動かねば何も成せない。何も起きない。大海の波を作り出すのは自分たちである』
これほどの心構えは俺にもある。『何もしなかったら前へは一歩も進めない』というように俺たちは自らの足で前へ進む。
俺たちは講堂にあるパイプ椅子を片付け始めた。パイプ椅子を素早くたたみ、端に寄せる。
それが終わったら演説台の用意である。立候補者のリハーサルを早めに終わらせるためにこれもなるべく早く終わらせる。
そしてマイクテスト。照明の確認にスポットライト。
その仕事全てを終えた俺たちはもうヘトヘトである。手は赤くなり、腕の筋肉はパンパンに張っている。冬なのに暑いと感じてしまう。
これも全て門川と広路のせいである。あの二人がいないから俺たちはここまで苦労しているのである。二人がいれば少しは楽であったはずだ。
講堂の正面右から、左にかけての裏道がある。俺たち五人はそこでひと休み。
「なぁ、柚子木。先輩たち、マジで紅葉狩りか?」
倉本は荒い息を吐きながら聞いてきた。額には汗がビッチョリと付いていて、家から持ってきた動きやすいTシャツは汗で肌にぴったりとくっついている。いつもなら興奮するはずなのに、体が疲れているせいで全然興奮しない。
「多分、先輩たちは紅葉狩りに行ったよ。まぁ、色々あるみたいだったし」
「それはこういうことか?」
倉本は胸の前に手でハートの形を作る。俺はこくんと頷く。
俺たちが休んでいると赤石がリハーサルを始めた。この学校の講堂は防音性が高いから、彼女の演説は聞こえないだろう。だから、先に聞けるのは俺らだけ。
白浜は俺の肩をポンポンと叩いた。
「赤石さんの演説ですよ」
「ああ、そうだな」
「今回の選挙で三人とも当選しますかね?」
「するだろ。三人とも成績上位者だし、みんなからの信用度は結構高い。穴はないぞ」
白浜は良かったと言いながら胸をなでおろす。
「なぜ、お前が安心するんだ?」
「安心……とかではないです。ただ、友達の希望通りになると私もなんとなく嬉しくなってしまうだけです。……変……でしょうか?」
「いいや、別に」
ただ、何となく聞いてみただけだから。
五条は棒になった足で立った。まだまだ仕事はあるのだ。
「よし、お前らやるぞ……」
足が棒になる。それでも俺たちは裏方の仕事をする。三年がいなくなったらこんな感じで仕事をしなければならない。
経験も初めての人にしてみればキツイものである。