4時間目の終了を知らせる予鈴が校内に鳴り、生徒が廊下へバラバラと出始める。廊下はすぐにガヤガヤと話し声が聞こえ、階段を駆け下りる音も聞こえてくる。一緒に食べたい人の近くに席を移動し、机をくっつけて話しながら食べる。そして、そういう人が多いクラスだと、誰とも席をくっつけないで飯を食べている奴らは大抵浮く。一人の時は持っている本を読むか、机の上に突っ伏して寝ているかのような雰囲気を出す。
俺たちは15分ぐらいで飯を食べ終え、生徒が講堂に来るための準備をする。まず、正面から見て右から一年、二年、三年となる。まず、そこに誘導する係が二人。演説中のスポットライトを操作する人が二人。そして司会が一人である。
神崎はGHBの五人を分けるために、ある妙案を思いつく。
「じゃんけんでどう?」
「じゃんけんってありきたり過ぎじゃないっすか?」
「そうなんだけど、そうじゃない……かも。と、とにかく、今は時間がないし、それでいいよね?」
みんな、特にやりたい役とかはないのでコクンと頷く。やりたい役はないが、やりたくない役はある。
『司会』‼︎
絶対にやりたくないね。全校生徒の目の前に立つだなんて死んでもやだね。本来なら三年の門川か広路のどちらかがするはずなんだけど、二人とも仕事をすっぽかしたからな。
俺たち五人は円のようになる。そして、中心に向かって手をグーにする。そして、五条の掛け声とともにみんなは手の形を変える。
「最初はグー、じゃんけんポン!」
俺はグーを出した。五条と白浜はパー、神崎と倉本はチョキである。
……あっ、マジか。
「おっ、ちょうどいいじゃん。ぴったり決まったな。うん。じゃぁ、司会はお前な」
五条は俺の肩に手をポンと置く。不安、心配など色々なものを肩に置かれたような気がした。
結局、誘導は白浜と五条。スポットライトは神崎と倉本に決まった。司会はもちろん俺だけど……。
一応、先輩たちが作ってきてくれた司会の台本をもらって読んでおく。が、全然頭に叩き込むことができない。元々そんなにいい頭じゃないから、叩き込んでも反対の方からビューンって出て行ってしまう。
まぁ、別に今回の主役は俺ではないし、見ようと思えば台本は見ることができるからな。
赤石は席に座っていた。赤石は三人の中でも一番年下であるため、演説は一番目である。
赤石の席の隣が空いていたため、俺はそこに座る。
「こ、光牙。どうした?」
「いや、緊張してるかなって思ってさ」
「……まぁ、ちょっとな。……緊張してしまっているな」
俺は赤石の膝の上に置かれている手を見た。手は震えている。全然『ちょっと』じゃない。
だから、俺は赤石の手を握った。手汗がすごかった。どれほど緊張しているのかを感じ取ることができた。
「こ、光牙。こ、これはどういう……い、意味だ?」
「ん?いや、緊張してるかなって思ってさ。まぁ、大丈夫だって。心配すんなよ。大恥なんてかくような事はしないをだからさ」
赤石は少し顔を赤くする。やっぱり緊張しているのかな?
「い、いや……、い、今の方がき、緊張するのだが……」
「えっ?何で?」
赤石は俺と彼女の手を指さした。
「……あっ、ご、ごめん!」
俺がそう言った時、暖かい光を感じた。スポットライトである。上にいる倉本が俺と赤石に向けてスポットライトを当てている。
「チッ‼︎少し遅かったか。もう少し早ければ、みんなに
「やかましいわ!お前は自分の仕事をしてろ!」
倉本は「ヘイヘイ」なんて言いながらスポットライトを壇上に戻す。
俺は再び赤石を見る。赤石は未だに顔が赤い。
「おい、赤石。もうすぐだぞ」
「う、うん……。分かってる……」
「言いたいことは忘れんなよ」
「ああ。……あっ、忘れちゃった……」
「ええ?まぁ、今、自分で考えろ」
俺は赤石にそう言って、その場を去る。そして、向かうのはみんなの正面。壇上である。
俺は壇上へと上がる。少し悪い意味で俺の名前は有名であるため、みんなからの視線に少し気にしてしまう。
けど、そんなことしている暇はない。今日の主役は俺たちではない。
俺はマイクを持ってこう言った。
「さぁ、ではこれから、生徒会選挙を始めたいと思います!」