みんな無事に当選した。法前と植木は同クラスの仲間から祝福され、打ち上げに行くらしい。赤石も誘われたそうだが、他学年の中に1人いるのは嫌だという理由で断ってきたと言っている。
ということなので……。
「みんなで赤石の打ち上げに行こうぜッ‼︎」
赤石の打ち上げをするために白浜と倉本、北瀬に小深に西枝を呼んでみた。
が、しかし、
「すいません。赤石さん、柚子木くん。これから私、家族で用事が……」
「何しに行くの?」
「その、お父さんがもうすぐ誕生日なので、お食事の予定を入れてしまって」
うわぁ、なんでいい子なんだ。この年でもお父さんのことを思っている優しい子だなんて。将来、結婚して娘ができるなら、こんな子がほしい。ってかマジ天使。
「まぁ、家族へのサービスも必要か。しょうがないな」
白浜の天使のような優しさに免じて帰ることを許可した。
俺は他の4人を見る。4人とも難しい顔をする。そんな4人をじいっと見ると俺から目をそらす。
おいおい、お前ら。ちょっとお前ら何を考えているんだ?お友達の打ち上げ会に参加しないのか?マジでそんな顔すんなよ、参加するのが俺だけとか悲しすぎるだろ。
俺一人でおごらないといけなくなるだろッ‼︎
「ゆ、柚子木、俺さこれから部活が……。予選大会がもうすぐだし……」
「……まぁ、部活なら……」
北瀬、離脱‼︎
「そのさ、柚子木。私はさ、もしかしたらグラドル界に戻るかもしれないし、体の維持をしないと……」
「お前、戻んのか?」
「いや、もしかしたら……で。その、これから、ジムに……」
「……ああ、じゃぁ、来れたら来いよ」
小深、離脱‼︎
「し、師匠。その、僕もジムに……」
「おい、お前小深のパクったろ?」
「パ、パクってなんかいませんよ!ぼ、僕は漢になるために筋肉をつけなきゃいけないんです!」
熱い眼差しと、暑苦しいオーラがキュートでちっちゃな体から出ている。可愛い顔をして、中身はナイスガイ。
が、しかし、これ以上人員を減らされたら俺のお財布から悲鳴が出る。それだけは死守したい‼︎
でも、そこで小深がいらんことを言うために首を突っ込む。
「でも、西枝くん。うちのジムで凄く人気よ。可愛い子が頑張って筋トレしているっていうので、ジムではみんなから可愛がられているよ」
いらないことを言わないでぇ〜。その情報さえなければ西枝の言っていることを嘘にして強制的に打ち上げに出席させることができたのに〜。
「本当か?西枝?」
西枝は涙目になりながら首を縦に振る。
「西枝くんは、ジムのアイドルなの。女の子みたいで可愛いっていうと、可愛い顔で必死に反論するの。それがまた可愛いってなってまたイジくられてるの」
小深の話を聞いているだけでなんとなく想像はできた。その想像の中でも西枝は可愛い。そんな西枝が必死に反論している姿を想像してみた。
…………。
…………。
…………。
「ブハッ‼︎」
鼻から血が吹き出してしまった。
ということで、西枝は可愛いので免除してあげる。
俺は倉本の方を振り返る。しかし、そこに倉本の姿はない。代わりに手紙が置いてあった。
柚子木へ
その打ち上げとやらは面倒くさそうなので行かない。
二人っきりでラブラブするんだな。
by.トンズラ名人 倉本
そして、その手紙の裏にはこう書いてあった。
追伸
私も西枝くんの姿を想像して鼻血を吹きました。同類ですね。
その手紙が置いてあった所には血らしきものがポツンと落ちている。よく見るとその血が道のように落ちているではないか。これは倉本の逃げた痕跡である。
多分、西枝のことを想像していたのだからついさっき消えたのだろう。とすると……。
まだこの近くにいる‼︎
「倉本がどっかに行っちまう‼︎行くぞ、赤石!」
俺は赤石の手を取り全力疾走で倉本を追った。
「マテェェ‼︎倉本ぉぉぉぉ‼︎」