新幹線に乗ってU市までまず直行の予定。集合場所から新幹線まで移動する。
「23号線か。あっ、自由席だからな」
「知ってるよ。移動が新幹線なんだから自由席に決まってるわ。ただでさえ俺たちのサイフがスカスカなんだからな」
「しょうがないだろ。電車だったら遅くなる」
電車だと紅葉狩りの時間が減るから、新幹線にした。つまり、新幹線にしたら紅葉狩りの時間ができてしまう。そしたら多分自由行動とかとるんだろう。そしたら、何が起きるのかな。
俺たちは列に並ぶ。まだ、新幹線の中では清掃員の人たちが車内を綺麗にしている。列に並び周りを見る。周りに俺たちぐらいの年の人なんか誰一人としていない。出張の会社員の人や、おじいちゃんおばあちゃん、外国人くらい。
駅の電光掲示板には文字が右から流れてくる。その中には俺たちが降りる駅もある。その文字を見ると、旅行へ行くということの実感が湧いた。でも、嬉しいわけじゃない。
車内の清掃が終わり、列はゾロゾロと中へ向かう。俺たちもそれに続いて車内に入る。前の方から人が次々に座る。でも、大体は隣に誰もいない席に座る。
俺たちは運良く三人席を二つ取れた。
そう、そこまでは良かった。けど、問題はここからである。
「さて、席をどう振り分けるかだな」
今、俺たちにはある人たちを塊にするとNG的な雰囲気が流れている。
一つは、俺と蕗見と広路を一緒にすること。これはもう本当に修羅場になりそう。
そして、もう一つは、清戸と北条を一緒にすること。この二人が一緒になると残ったもう一人の人の居場所がなくなってしまう。
別に二つの席を向かい合わせにすればいいんじゃない?という考えもあるが、俺たちは今お年頃だから目立ちたくないんだよ。旅行気分を周囲にまで撒き散らしたくないの。
としたら、もう答えはひとつしかない。必然的に決まる。
「前列は女組。後列は男組。オッケー?」
「うん。僕はそれでいいよ」
「あたしも」
「私もかな」
「俺も」
「私も問題はない」
「つーわけで決まりな。じゃぁ、あとは自分たちで決めろよ」
男は後ろ、女は前になった。清戸も泉野も席に座り、リュックサックを上に乗せる。泉野は座るなり、座席の前に備えつけてある旅行雑誌を手にとる。清戸はイヤホンをつけて目を閉じる。どうやら朝早く起きたので眠いようだ。
俺は車窓側だった。窓に頭をつけて外をぼーっと眺める。ビルが前から来たかと思えば、すぐに後ろの方に過ぎ去っていく。窓の微妙な振動が俺の頭を揺らす。
俺が窓の外を見ていると前の女たちが盛り上がっていた。蕗見と広路と北条。意外な組み合わせだけど、意外と仲が良いものである。
けど、高一の頃は意外な組み合わせではなかったのだがな。
蕗見は地味な女の子で勉強ができるくらいしか取り柄がなかった。広路はGHBにいるってくらいしか言うところがないような何もない子。北条はもう入学式の頃から先生に殴りかかろうとしていたツワモノ。
類は友を呼ぶっていう感じか、嫌われ者は嫌われ者同士で仲が良かった。
俺たち男組はそれとは正反対だけど仲が良かった。成績がそこそこ良かった俺。俺ほどではないけど成績はいいし、スポーツ万能な清戸。濃いキャラだけど全然憎めない泉野。俺たちはどちらかっていうと人気者って感じだった。
でも、いつからかこの六人でよくいるようになった。馬鹿騒ぎして、めちゃくちゃ楽しいことしてた。
でも、楽しいことがあるなら辛いことも並行して起きていたことを俺はもっと早くに気づけばよかった。馬鹿ばっかりしてたからか、もうその頃の俺たちは盲目になってたんだ。
通り過ぎるものを何も見なかった。気付かなかった。
で、気づいた時はもう手遅れだった。