新幹線の車窓から見える建物の過ぎ去るスピードがだんだんと遅くなる。そして、止まりそうになった時、目の前は灰色の板が前にある。そして、新幹線は動きを止めた。
「着いたァー‼︎」
北条と清戸が子供のような顔をしながらそう口にする。泉野は腰のあたりを手で押さえている。座っている時間は1時間ほど。それほど座ってないのに腰が少し痛いらしい。お前はその歳でおじいちゃんか。
上に置いていた荷物を背負い新幹線から降りる。新幹線から降りると少し肌寒く感じた。新幹線の中が温かかったから、外が寒く感じてしまった。まぁ、もう冬といっても過言ではないくらいの時期なのだが。
「ウゥー。ザビッ!」
蕗見は持っていた上着を羽織る。少し蕗見の服は薄手である。
「お前、そんな服で大丈夫かよ。あったかいやつあるけど貸す?」
俺が声をかけると蕗見は手のひらを俺に向ける。そんで、俺に笑顔を見せる。
「別に大丈夫だから」
だから、その笑顔見せんじゃねぇって。
俺たちは新幹線のホームを降りる。改札を出て、二枚あった切符のうちの一枚が改札に取られる。
そこから電車のホームまで移動する。途中、トイレに行きたいという人たちがいたので、したい人を待っていた。俺は特にトイレに行きたいわけではないので、トイレの前でみんなの荷物係。
最初に戻ってきたのは清戸だった。清戸は洗った手をスボンの横で拭いていた。
「きったねぇな。お前。スボンで拭くなよ」
「えっ、いいじゃん。ちょうど手を伸ばしたら、いいところに布があるんだから」
「ハンカチくらい使えよ」
「いや?ガリレオちゃん女子?」
「女子じゃねぇよ。ってかその呼び名ヤメロ。つーか、ちゃん付けもすんな。勝手にグレードアップさせるな」
「じゃぁ、ガリレオちゃんはハンカチで手を拭くの?」
「……」
「ん〜?」
「……ット」
「ん⁉︎何かな?」
「ポケットだけど……」
「えっ?何それ、カビ生えそう」
とりあえず、預かってた清戸のリュックサックを頭に全力でお返ししてあげた。上から下に、全力で。
ゴンッ‼︎
「いったぁー、ガチで痛いんだけど」
「くたばれ」
「やだ☆くたばんない!」
とりあえず、もう一発。
ゴンッ‼︎
「やばい。記憶飛びそう」
「空の
俺がそう言うと馬鹿な目をして俺に言ってきた。
「あなたは誰?チャイニーズ?コリアン?」
もう一発。
ゴンッ‼︎
清戸は険しい顔で俺の方を向く。
「仏の顔も3度までぇ〜」
「…………」
「……あっ、ゴメ」
ゴンッ‼︎
泉野が出てきた。ハンカチで手を拭いている。さすがは紳士。
「ごめん。僕のも持ってもらって。ってか、会長、どうしたの?うずくまっちゃって」
「今、俺に話しかけないで……。あと、会長って呼ぶな。清戸と呼べ。俺は今日から会長じゃなくなる……」
泉野はちらっと俺を見て、そして「あはは」って笑った。笑われるためにやったわけではないのだが。
「二人は今でも変わらないよね。門ちゃんがツッコミで、会ちょ……清戸はボケ。二人はいつでもムードメーカーだなぁ」
「こればかりは変われないんだよ。このバカがボケを死守するから」
「いやいや、死守してんじゃないんだよ。ガリレオちゃんがボケになることができないから仕方なく」
何で俺が悪いみたいになってんだよ。
泉野は俺たちをニタニタと見る。
「なんだよ」
「いやぁ、いつ見ても二人は二人だなぁって思ってて」
「そういうお前も変わってない」
「あははっ、そうだね。全然変わらないね。僕たちは」
そう、あくまで変わってないのは『俺たち』。女たちは少し変わってしまった。
恋っていうものが彼女たちを変えた。