放課後、俺と清戸と泉野がGHBの部活でダベってた。入学してから二ヶ月が経ち、人気者となっていた俺たちには毎日ラブレターが送られてくる。
「今日はこなかったわ。清戸、お前は?」
「俺?俺もこなかった。泉野はどう?」
「ああ、今日下駄箱に入ってた」
泉野は苦笑いをする。この頃俺たち三人の内の誰か一人は必ずラブレターをもらっている。そういう日が続いていた。そりゃ、もう毎日告白を断ってたら心が傷つく。
「で、今日はどう断った?」
「普通に断ったよ。さすがに毎日これは辛いな」
清戸は泉野のラブレターをGHBの部室の端に置いてあるゴミ箱に投げ捨てる。
「それは酷いよ。さすがに」
「いいや、泉野。ここで断ち切らないとまためんどくさくなる」
「それもそうだけど……」
泉野は優しい。優しいから、人に好かれてしまう。少しは棘を持った人になってもいいのではないだろうか?まぁ、清戸はそこらへんは見境なくばっさりと切り落とすけど。
ゴミ箱にはラブレターが何通も捨てられてある。多分、入ってるゴミはラブレターだけかもしんない。
俺たちはGHBの部室の机を囲んで騒いでたら、ガラガラと扉が開いた。そこにいたのは広路と見慣れない女子生徒二人であった。広路は扉を開けて、俺たちが部室にいることに気づく。
「あっ、門川くん……」
いかにも俺を避けているように言う。俺は別に広路に嫌なことをしたわけではないのだが。
清戸が見慣れない女子生徒の一人をじぃっと見る。すると、女子生徒の方もギクッと驚く。面識があるのだろうか?
「ゲッ!何でお前ここにいんだよ!」
「君は、あの時の?」
「清戸、知ってるのか?」
「ん?いや、不良数人に囲まれてたから助けてあげた。え〜っと、確か君は、ほ……北条さん?」
北条という名の女子生徒は清戸を見ると、広路に帰りたいと意思疎通を図るが、失敗する。清戸がニタァっと笑顔で彼女を見るので、彼女はドン引きである。
すると、泉野がもう一人の女子生徒を指さした。
「思い出した。蕗見さんだね?」
「誰だよ。つーか、指さすな。それでもジェントルマンを目指す男か?」
「ああ、うん。そうだね。え〜っと彼女は何かめちゃくちゃ天才的な頭脳を持ってるらしい」
「ふ〜ん。俺と清戸以上ってことか?」
「そうだよ。だけど、理科の論文に科学者顔負けの論文を書いたんだよ。そしたら、理科の先生にきみ悪がられたらしい」
泉野のご丁寧な解説を聞いた後、その蕗見という生徒を見た。その生徒は少し大人っぽい。特に胸部の辺りが。
広路は俺の顔を見て固まっている。俺が広路を睨むと広路は目をそらす。面と向かって話さない姿が気にくわない。
「おい、広路、何だよ」
俺が広路に聞いても広路は何も返してやくれない。蕗見がきみ悪いといわれていても、俺にとっては広路の方がきみ悪い。何を話しても、全然返答しない。
「通称、
「ん?清戸、何それ?」
「知らない?ほら学年で言われてんじゃん。嫌われ者の三人の女子。こいつらのことだよ」
「ふ〜ん」
清戸の解説に曖昧な相づちを打つ。別に興味ない。学年で嫌われ者の女たちなんてどうせ面白そうじゃない。
清戸は三人を笑い、泉野はそれを止める。けど、なぜか泉野の口元は緩かった。それを見た三人は顔を赤くする。
が、俺はなぜかその場では笑えなかった。特に興味がないから。それだけだった。
清戸と泉野が笑ってると、北条が二人の前に出てきて、清戸を殴ろうとした。けど、さすがは清戸。女子の生半可な拳をいとも簡単に止めた。
「おいおい、女の子が手出すなよ。俺、結構強いよ。知ってるでしょ?」
清戸も泉野も、他のみんなと一緒だった。他のみんなと一緒で、三人のことを笑っていた。
バカにしても面白くはないのだが。
「やめろ、二人とも」
「えっ?助ける気?手出してきたのはあっちだけど」
「いーから、そんな事してないで。あっ、広路、そのゴミ箱に捨ててあるラブレターさ、全部捨てといてくんね?」
「えっ?でも、これは」
その時、広路が俺に物事を言う力はなかった。それは権力という一言で理由を述べられる。
「いーからしろよ」
俺の威圧的な言葉に広路は「うん」と返事をするしかなかった。でも、俺が望んでた言葉じゃない。
「つまんない」
彼女とすれ違う時、俺はこう言った。そのまんまの意味である。俺は自分の鞄を持って部室を出た。それにつられて清戸と泉野も部室を出る。
そんな胸糞悪い出会いが最初だった。天狗になってた俺たちの鼻が折れるまで3ヶ月前のことであった。