清戸を先頭に、俺たちは山を登る。上を見上げれば赤と黄色の紅葉と冬に近づくにつれて日が落ちやすくなる空が見える。まだ4時くらいなのに、もう夕日が見えている。いわし雲が赤い空に浮かぶ。
下を見れば茶色の土と木の根っこだけ。単色だけだが、上を見ていると転んでしまう。前には蕗見がいる。だから、ただ茶色の下だけを見ている。
それでも、俺はみんなについていく。今は、少しでもみんなと一緒にいたい。
過去にあったことを忘れることなんてできないし、なかったことにもできない。けど、あったこと全部をひっくるめて今、またみんなで笑いあうことはできるような気がする。
まぁ、俺がそんなことを言える立場じゃない。この六人を引き裂いたのは俺なんだ。
綺麗なものは散ってしまう。俺たちが遊んだあの時の記憶は今でも綺麗にまぶたの裏に焼きついている。
嫌なほど、俺の脳裏によく現れる。
それは夏の初めのことだった。
その頃にはもう俺たち六人は放課後にGHBの部室でグダグダと喋ることが日課になっていた。お菓子を持ってきてみんなで食べて、ゲームや漫画を持ってきてみんなで遊んだ。
それまで、清戸と泉野は女子たちのことをバカにしていた。けど、GHBで接していくうちに段々と彼女たちのことを理解し始めた。で、侮辱しようともしなくなった。それは女子たち三人も同じである。元々ひどく言われていたけれど、清戸と泉野をよく思い始めた。
夏の初めのある日、俺は宿題を提出していたから、少しだけGHBへ行くのが遅くなった。
「すまん、遅れた」
少し遅れて部室に着いた頃にはもう、みんなが大騒ぎしていた。紙コップに自分のものであるという印をつけて、テーブルの上にはポテチの袋と2リットルのペットボトルが二本あった。
「お前ら準備万端だな」
「そんなことねぇって。俺たちの最終目標はこの部屋にテレビをつけて、ゲームを何台か用意して、漫画を30種類くらい全巻揃えることだ‼︎」
「バカかお前は。ここはGHB、学校の風紀を正して美化する部活だ。部外者が勝手に入ってくんな。ボケ」
「えー、いいじゃん!ねぇ、広路ちゃん?」
「あ、は、はい。……そうですね」
清戸は広路に話をふるけれど、広路は全然喋らない。話をふる相手が間違えている。
なんだかんだ言って、俺もパイプ椅子を出して輪の中に入る。紙コップに自分の名前をサインペンで書いて、ジュースを入れる。ジュースを入れようとすると、広路以外の誰かが俺の腕を
バカ騒ぎである。廊下まで響くほど騒いで、遊んで。廊下の端っこにいるのに、前は先生に静かにしろと怒られた。それぐらい、周りが見えなくなっていた。言い換えればそれほど楽しかった。
つまんないと自分で言いながらも、楽しかった。今、みんなとこうしていられるっていうことが楽しかった。俺だけじゃない、みんな、自分でいられる空間が好きだった。
すると、清戸が話の流れで遊びに行こうとみんなを誘った。もちろん、みんなその誘いを断る理由がなかった。即答である、
「んじゃ、期末終わったら海、行こ〜ぜ‼︎」